共産党の再生は可能か(その2)

高市政権の不意打ちで1月23日召集の通常国会冒頭解散が急浮上、野党共闘不発を見越してか

1月10日の読売新聞報道をきっかけに、1月23日召集の通常国会冒頭での解散が一気に浮上してきた。衆院選は「1月27日公示、2月8日投開票」あるいは「2月3日公示、2月15日投開票」の〝超短期決戦〟となる模様だ。総務省は1月10日、各都道府県選挙管理委員会事務局あてに「報道以上の情報はない」としながらも、最速で1月27日公示、2月8日投開票の日程を念頭に「各種スケジュールの確認や業者との調整を含めできる準備を進めておく必要がある」と事務連絡した。

高市首相の意図を巡っては、(1)昨年10月の高市内閣発足以降、報道各社の世論調査で6~7割台の内閣支持率を維持しており、高支持率が続くうちに解散に踏み切ることが得策、(2)台湾有事に絡む首相発言をきっかけに日中関係が悪化し、時が経てば日本経済への打撃が避けられない、(3)通常国会の予算委員会では物価高対策や日中関係についての野党追求が始まり、支持率が下がる恐れがあるなど、いろんな背景が憶測されている。

朝日新聞は1月12日、「冒頭解散検討、国民生活より党利党略」との社説を掲げた(要旨)。
――通常国会が1月招集となった1992年以降、会期の冒頭で衆院が解散された例はない。歴代政権が国民生活に直結する予算案の年度内成立を優先したためだ。首相は物価高対策や経済政策の効果を早く実感してもらいたいと「目の前の課題に懸命に取り組む」と繰り返してきたが、言葉だけだった。国会が始まれば、一問一答の予算委員会の場で、経済対策の実効性や台湾有事をめぐる首相発言を引き金に悪化した日中関係への対応、官邸幹部による「核兵器保有論」への見解など、首相の答弁が問われる場面が続く。

――政策以外の問題もある。韓国で昨年末、自民党と旧統一教会との密接な関係を示す文書が報じられた。首相が代表を努める政党支部が政治資金規正法の上限を超えて企業献金を受け取っていた問題や、連立を組む日本維新の会の「国保逃れ」もある。一連の問題に対する説明責任を果たさないまま解散するなら、追求をかわすための「自己都合」と受け取られても仕方がない。

――2017年臨時国会の冒頭で、安倍首相は少子高齢化と北朝鮮の脅威に対応する「国難突破解散」と称したが、森友・加計学園問題の追求を避けるためだったことが回顧録で明かされている。首相が真に国民のためというのなら、今は予算審議と山積する内外の諸問題への対応に全力を注ぐべき時だ。

だが、こんな正攻法の批判は高市首相には通じないだろう。保守右派頼みの高市氏はもともと党内基盤が弱く、しかも日本維新の会との連立政権が不安定極まりないだけに、自民単独過半数の議席獲得が至上命題となっている。その「千載一遇の機会」が目の前に転がっているとなれば、これに挑まない理由はない。何が何でも権力の座に座り続けたい高市氏にとって、このチャンスを自分のものにできるかどうかが政権の分かれ目になる。早期解散に踏み切ることは早くから予想され、その引き金になったのが、野田立憲代表の「あいまい路線」による野党第一党の不振であり、野党共闘の不発だった。

この状況を読売新聞(1月11日)は、「国会冒頭解散検討、短期決戦 擁立急ぐ」「野党協力 道筋描けず」との見出しで、立憲民主党の醜態を次のように報じている(要旨)。

――通常国会冒頭の解散を警戒していなかった野党からは、「寝耳に水だ」との声が相次いだ。選挙準備が進んでいないところが多く、野党間の選挙協力に向けた道筋も描けていない。2026年度予算が成立した後の4月以降に衆院選があると想定していた立民は、自民党との連立から離脱した公明党を意識し、「中道路線」の野党結集に向けて安全保障やエネルギーなどの基本政策の見直しに向けた議論を始めたばかりだった。野田氏は「限りなく候補者を一本に絞っていく」と表明しているものの、残された時間は少なく、立民幹部は「野党協力はほぼ不可能だ」と厳しい表情を見せる。

――公明党でも、野党協力に向けた機運は高まっていない。比例選に注力して、24年衆院選で得た596万票を上回る「600万票以上」を確保し、党勢回復の糸口をつかもうとしているが、課題は現職の党幹部4人がいる小選挙区などの対応だ。党内では「自民との選挙協力がなければ小選挙区では勝てない」との声があり、難しい判断を迫られている。

国民民主党と公明党は25年度補正予算案についても賛成に回った。両党は26年度予算案についても肯定的な立場だ。立民との選挙協力に否定的な国民民主党の玉木代表は「51議席、比例900万票を目指して、全都道府県での候補者擁立を加速したい」と表明した(読売新聞、同上)。こうした情勢から言えることは、高市政権に不意を突かれた野党各党は、それぞれの選挙態勢を整えるのが精一杯で、とても野党共闘どころの話ではないというのが実情だろう。

これに対して共産党の対応はどうか。赤旗は1月11日、解散報道を受けた田村委員長の記者会見(1月10日)を「攻勢的に構え準備進める」と報道したが、1面トップには依然として、アメリカの『資本論』読書会の様子が(のんびりと)掲載されている。事実、1月5日に開かれた「2026年党旗びらき」のあいさつ(赤旗、1月6日)では、「今年は、高市政権が高い支持率を背景に情勢の反動的打開を狙い、解散・総選挙に打って出る可能性があります」と一応述べられていたが、予想はあくまでも「可能性」の段階にとどまり、その5日後に解散報道が出るなど露ほども予測していなかった。志位議長もこの間、『資本論』学習会の宣伝一本槍で、通常国会の冒頭解散など全く念頭になかったのである。

昨年12月25日に開かれた党幹部会は、党勢拡大の「集中期間」を4月末まで延長せざるを得なかった。志位議長は幹部会発言で「参議院選挙の結果というのは大変に厳しいものでした。286万まで得票を減らしたことはこの間にない後退でした」「党員拡大についてはまったく止まった状態から出発した。働きかけも止まってしまった状態から出発した。そういうところから出発して、運動を起こしていくというのは、並大抵の努力ではなかったと思います」と語っている(赤旗、12月27日)。

共産党の比例得票数は、416万票(2021年衆院選)、361万票(22年参院選)、

336万票(24年衆院選)、286万票(25年参院選)と恐ろしいほどの勢いで縮小している。昨年9月から12月までの「集中期間」の拡大実績は、入党者は目標の3割、日刊紙・日曜版の読者は増勢どころか依然として減少が止まらない。いわば党勢が「どん底」にあるところへ、「青天の霹靂(へきれき)」とも言うべき解散・総選挙の大波が襲いかかったのだから、その狼狽ぶりは推して知るべしだろう。

共産党は、今回の総選挙でも相変わらず「650万票、得票率10%以上」の目標を掲げて選挙戦を展開するのだろうか。前回参院選で521万票に落ち込んだ公明党が「600万票以上」の目標を設定するのは意外ではないが、286万票しか獲得出来なかった共産党が倍以上の「650万票」を目標とするのは、「奇想天外」以外の何物でもない。党勢の「どん底」に見合うリアルな選挙戦に踏み出すのか、それとも空想的目標を掲げたバーチャルな選挙戦に固執するのか、共産党の選挙戦が注目される(つづく)。

「リベラル21」2026.01.16より許可を得て転載
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