将来に対する戸惑い・不安・危機感高まる

2026年の年賀状にみる市民意識

今年も友人・知人から、年賀状をもらった。それらの一枚一枚を読んで強く印象に残ったのは、市民の間で、今日の世界と日本に対し、戸惑い、不安、危機感が深まりつつあることだった。

私はこれまで毎年、多くの友人・知人と年賀状の交換をしてきたが、これまでの年賀状の文面といえば、「明けましておめでとうございます」とか、「初春のお慶びを申し上げます」とか、あるいは「謹賀新年」「迎春]「賀正」といった、いわば新年を言寿ぐ型どおりの挨拶や、新しい年を迎えての抱負や決意のほか、家族の近況・消息を伝える文章が大半であった。

だが、ここ数年、世界や日本の政治・社会状況への感想、それに自らの政治的主張を表明した年賀状が増えてきたように感じる。以前は、年賀状では政治的、宗教的なことへの言及は控えるというのが一般的な慣習だったが、年賀状でも政治的なことについて自分の意見をはっきり述べる人が増えてきたように私は思う。

私が1月16日まで受け取った年賀状は175通だが、そのうちさまざまな表現で世界と日本の現況と将来について言及していたのは58通で、全体の33%を占めた。2023年の年賀状では23%だったから、“物言う年賀状”はかなり増えたと言える。

世界と日本の現況に高まる平和希求
今年の年賀状の文面で私が特に感じたのは、まず、世界と日本の現況に対し市民の間で戸惑いが生じていることだった。以下の文面は、それを表しているのでは、と私は思った。

「日本も、世界も、タガが外れてしまいました」(横浜市・男性・元新聞記者)
「世界中で戦争が戦われたり、準備されたりしています。社会はまっしぐらに野蛮に向かって転げ落ちているよう」(東京都豊島区・男性・元画廊主)
「世情、キナくさいですね」(東京都世田谷区・男性・元新聞記者)
「(世の中が)こんなに右に行くとは思いませんでした」(東京都武蔵野市・男性・脚本家)
「世の中悪くなっていて、死ぬに死にきれない‼ 」(さいたま市・女性・主婦)
「小生、米寿を迎えましたが、嫌な世の到来の予感に、気持ちは晴れません」(さいたま市・男性・元会社員)
「歴史の逆行にとまどいます。人間の宿業の深さを感じます」(東京都小平市・男性・寺住職)
「歴史とは往々にして、人々が願う方向とは真逆に動くものだとつくづく思います」(東京都世田谷区・男性・元新聞記者)

こうした思いが深まれば深まるほど、「平和」への希求が強まるようだ。
「『戦争前夜』でなく、『平和前夜』であってほしいと強く思います」(東京都杉並区・男性・社労士)
「世界の人々が、豊かで平和な日々になることを希求しています」(横浜市・男性・音楽家)
「戦のない平和な世界、地域、家庭でありたいですね」(東京都町田市・男性・無職)
「平和が一番です」(東京都日野市・男性・医療ジャーナリスト)

高市政権は戦後民主主義にとって最悪の危機
昨年10月に発足した高市政権に対する年賀状の文面は、見るからに厳しかった。その一部を紹介する。
「先の総選挙で誕生した高市・自民=維新政権には何を仕出かすか分からない怖さを感じます。日本の『戦後平和(民主主義)』にとって最大・最悪の危機といえるように思います。『危機』は病が死に至るか回復に転ずるかの分岐を意味するといいます。なんとしてもこの危機を乗り越えて、孫ひ孫の世代により良い世界を引き継ぎたい。心からそう思わずにはいられません」(東京都杉並区・男性・元労組書記)
「世界では戦争の危機が高まり、不安定な日々が付いて続いています。これを口実に日本政府(高市・吉村)政権は中国を敵として脅威をあおり軍拡に狂奔しています。彼らの目論見は決して成就することはない」(長野県諏訪市・男性・大工)
「わが国初の女性総理・高市政権の誕生に伴って、80年前に何が起きたかを忘れたように、非核三原則の見直しや防衛費の前倒し増額、スパイ防止法制定等々が本格的に検討されています。このことに大変疑念を抱いています」(福岡県飯塚市在住の男性)
「地震、豪雨、川の氾濫、土砂崩れなど日本のあちらこちらで被害が出ています。軍需費にお金をかけてる場合ではないでしょう。にもかかわらず、防衛費の増加が止まりません。さらに日本の国是である『非核三原則』が破られようとしています。早く政権を変えなければとの思いはますます強くなります」(沖縄県石垣市在住の男性)
「危うげな高市政権に経済・軍事面でうすら寒いものを感じています」(長野県下諏訪町・女性・無職)
「『改憲の危機』を肌身で感じています」(さいたま市・男性・研究者)
「世界各地で戦争が止まず、きな臭い動きも広がり、高市政権の暴走が始まっています。排外主義・ポピュリズムに抗し、市民政治の言論空間の強化へ。ともに駆け上がりましょう」(東京都千代田区・男・雑誌編集長)
「世界動乱に日本混迷。富国強兵に向かう高市政権にオールドメディアのひと刺しを」(東京都板橋区・男性・フリーのジャーナリスト)
「タカイチに沖縄・広島・長崎でスピーチさせたくないですね」(神戸市・男性・元新聞記者)
「高市政権を支持する人が7割近い。日本人は何をしてきたのでしょう」(東京都昭島市・男性・元新聞記者)
「クレージーなトランプをノーベル平和賞にという高市首相の人気率80%。いったいどうなっているのか。衆参両院議員で戦前生まれは6人とか」(神奈川県鎌倉市・男性・翻訳家)
「高市軍拡を止められるか否か! 今年が勝負の年になるのでは?」(東京都杉並区・男性・元新聞記者)

平和への希望を持ち続け歩んでいきたい
その他、心に残る文面にこんなのがあった。
「分断とか、不寛容とか、険しい時代ですが、利他の心は大切にしたいと思います」(福岡市・男性・テレビ局勤務)
「地球環境、社会不安、終わらない世界の戦争と私たちは厳しい時代を生きています。こんな時代だからこそ、いつでも帰ってこられる心の居場所が必要です。……弱い立場の私たちだからこそ、持てる力を少しずつ寄せ合って、あきらめずに平和への希望を持ち続け歩んでいきたいです」(東京都調布市・女性・特定非営利活動法人役員)

「リベラル21」2026.01.19より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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