選挙戦は始まったが~嘆いて、嘆いて、嘆いて・・・(2)原発は必要だったのか、再稼働への不安

 安倍元首相銃撃事件の山上被告に奈良地裁の無期懲役判決がくだった2026年1月21日の東京電力は、午後7時02分に新潟県柏崎刈羽原発6号機を再稼働させた。夕刻、そのニュースを聞きながら、この再稼働も一日延期してのこと、「また、“不具合”で止まるんじゃないか」と話していた。その翌朝、再稼働5時間後に制御棒に不具合が生じ、停止したとのニュースを聴くに及んで、やっぱりの思いとあらためて大いなる不安にかられた。報道によれば、この6号機に関しては、昨年6月以来、制御棒を巡る不具合は何度かあり、その内の一つは設定ミスであって、1996年の稼働以来正常に機能していなかった可能性があるというのだ(「臨界4時間後に異変」『朝日新聞』20026年1月23日)。そんな状況を原子力規制委員会はどう見ているのだろうか、の素朴な疑問も生じた。

 というのも、1月5日には、中部電力の静岡県浜岡原発の不正が発覚したばかりであったからだ。原発を推進する電力会社って、同じようなことをやっているんじゃないか、発覚しないだけではないかとの不信感が募るのだった。今回の選挙では、この原発については大きな争点にはなっていないが、あえて、立ち止まって考えてみたい。

 いま、原発は、どのくらい動いているのか。電力はどのくらい足りているのか、足りていないのか。いま政府は、安定的で、安価な、コスパの高い、電力供給源として、原子力発電を進めているが、果たして本当なのか。原発は、初期投資、維持費、事故対応などを考えると、素人考えでも、莫大な経費が予想される。原発が安定的といわれるけれども、不覚にも、私は、いまになって知ったことがある。原子力規制委員会の資料により、原発には、1基ごと「定期事業者検査」のための「停止」という措置が義務付けられ、一年間に通常でも3・4カ月を必要とし、その間、停止するのである。中には半年、一年以上停止し、さらに長期検査中の原発もある。規制が厳しくなれば、「停止中」は長期化し、9原子力発電所にわたり22基がある。ということは、停止中の発電を補完するためには、一つの発電所に複数の原発が必要になり、加えて、耐用年数の40年、60年に延期したとしても、現在「廃棄措置中」が12原発20基にも及ぶことからも、新設も必要になってくるという、悪循環になることは想像に難くない。福島第一原発も含め、廃止措置工程は半世紀単位の長期にわたり、使用済み核燃料の中間貯蔵施設もままならず、再処理に至る困難さは想像を絶する状況である。次代の人々の生命と環境の破壊をもたらすことに対する責任は、誰がとるというのだろう。

 また、上記「廃止措置中」もこの廃止措置には通常30年にわたる作業工程を必要とされている。なお、「廃止」とあるのは、福島第一原発の6基であって、汚染水の海への放出強行、デブリの抽出にさえ難渋している現状は、時折報はされるが、先行きはまったく不透明である。

  2011年3月11日の東日本大震災による福島原発事故にみまわれたとき、日本の原発はすべて停止した。そして東京電力は「計画停電」なるものを実施したが、いまだに何が「計画」だったのかわからないまま、中途半端な形で実施された。大規模停電が発生する可能性があるときに、地域を区分けしながら順次実施するものだったらしいが、東電に問い合わせても「計画」なるものは不明であった。原発が稼働しないとどうなるかという「政策的」な停電であって、「脅し」のようにも思われた。さすがに、その後は、「計画停電」を持ち出さなくなった。政府も、原則的には行わないとしている。

<参考>
原子力発電所の現在の運転状況(原子力規制委員会 2026年1月14日現在)
https://www.nra.go.jp/jimusho/unten_jokyo.html

 さらに、発電所別に見ると以下のようになっている。運転中の11基は黄色のマーカーで示した。ただし、上記資料は1月14日現在だが、その後、1月23日に関西電力高浜原発2号機が停止中となり、1月24日に、九州電力川内原発2号機が停止中となり、現在、運転中は11基となった。停止中は22基、廃止措置中は20基、廃止が6基合計59基の原子炉を抱え持っていることになる。さらに建設中が3基ということで、どこまで進んでいるのかは不明だが、この狭い日本列島に60以上の原子炉が必要だったのだろうか。しかも、廃止措置、廃止決定をあわせると26基、これらの作業工程が終了するのは、途方もない年月がかかることは誰もが認めている。

 少し面倒ですが、下の「発電所別運転状況」をご覧ください。

 発電所別運転状況

  • 北海道電力株式会社 泊発電所の現在の運転状況1号機 停止中(定期事業者検査中)

2号機 停止中(定期事業者検査中)

3号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 東北電力株式会社 東通原子力発電所の現在の運転状況

1号機 停止中(定期事業者検査中)

 ・東北電力株式会社 女川原子力発電所の現在の運転状況

1号機  廃止措置中

2号機 停止中(定期事業者検査中)2026年1月14日~ ← 運転中(25年9月1日~)* 

3号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所の現在の運転状況

1号機 停止中(定期事業者検査中)

2号機 停止中(定期事業者検査中)

3号機 停止中(定期事業者検査中)

4号機 停止中(定期事業者検査中)

5号機 停止中(定期事業者検査中)

6号機 停止中(定期事業者検査中)

7号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所の現在の運転状況

1号機 廃止

2号機 廃止

3号機 廃止

4号機 廃止

5号機 廃止

6号機 廃止

  • 東京電力ホールディングス株式会社 福島第二原子力発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機 廃止措置中

4号機 廃止措置中

  • 日本原子力発電株式会社 東海第二発電所の現在の運転状況

停止中(定期事業者検査中)

  • 日本原子力発電株式会社 東海発電所の現在の運転状況

廃止措置中

  • 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機 停止中(定期事業者検査中)

4号機 停止中(定期事業者検査中)

5号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 北陸電力株式会社 志賀原子力発電所の現在の運転状況

1号機 停止中(定期事業者検査中)

2号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 日本原子力発電株式会社 敦賀発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 停止中(定期事業者検査中)

  • 日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉もんじゅの現在の運転状況

廃止措置中

  • 日本原子力研究開発機構 新型転換炉原型炉ふげんの現在の運転状況

廃止措置中

  • 関西電力株式会社 美浜発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機 運転中

  • 関西電力株式会社 大飯発電所の現在の運転状況

1号機廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機 運転中

4号機 運転中

  • 関西電力株式会社 高浜発電所の現在の運転状況

1号機 運転中

2号機 停止中(定期事業者検査中)

3号機  運転中

4号機 運転中

  • 中国電力株式会社 島根原子力発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 運転中

  • 四国電力株式会社 伊方発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機  運転中

  • 九州電力株式会社 玄海原子力発電所の現在の運転状況

1号機 廃止措置中

2号機 廃止措置中

3号機 運転中

4号機 運転中

  • 九州電力株式会社 川内原子力発電所の現在の運転状況

1号機 運転中

2号機 運転中 → 停止中(定期事業者検査中) 2026年1月24日~*

(注1)廃止措置中には、研究開発段階炉である「もんじゅ」と「ふげん」を含みます。
(注2)建設中は、電源開発大間、東京電力東通、中国電力島根3号機です。

 さらに、安価で、効率がよいとする試算は、公表されてはいるが、その反論に対しての反論は届いてこない。
 まずは、企業や国民が、自覚をもって節電をして、太陽熱や風力をはじめとする再生可能エネルギーのデメリットを超えて、さらなる活用を地道に進めていけば、危険極まりない原発は不要になるのではないか。
 原発を建設し、廃炉までの工程で、現場の人たちの大きな犠牲のもとで、利益をあげ続けている企業があるやもしれず。原発はいらない。まだまだ、私の知らないことも多いだろう。目を凝らして注視してゆきたい。

 なお今回の調査にあたって、「原子力安全推進協会」のホームページものぞいて、原発の「本日の運転状況」なる一覧表を閲覧した。ところが、その表の記述と個々の原子炉の運転状況と異なったまま半月以上も経っていることがわかった。女川原発の2号機が、定期事業者検査中で停止中にもかかわらず「営業運転中」となっていたのである。問いただせば「申し訳ありません、ありがとうございました」というが、「安全推進」の看板、「バカにしないでよ」と返したいくらいである。

<参考>資源エネルギー庁

あらためて知りたい、原発の「再稼働」~なぜ必要なの?ほんとうに安全なの?2025年8月22日)https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/genshiryoku_saikado.html

原発のコストを考える(2017年10月31日)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html


池の端のミモザが黄色いつぼみをつけはじめた。3月8日國際女性デーの花でもある。その頃は満開になていることだろう。1月24日撮影。

初出:「内野光子のブログ」2026.1.30より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2026/01/post-0fe634.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/
〔opinion14655:260131〕