衆院選で惨敗した「中道改革連合」、参院選と統一地方選は元の「立憲・公明」で戦うという〝2面相〟政党は国民に信頼されないだろう
衆院特別国会は2月18日に召集される。会期は7月17日までの150日間、召集日に首相指名選挙が行われ、高市首相が再び選出される予定だ。20日には首相の施政方針演説、24~26日には衆参両院で代表質問が行われることになっている。投開票日から現在に至るまでの間、中道改革連合の代表選挙や党人事などが行われ、また選挙結果に関する各紙の世論調査も実施された。未曽有の惨敗を喫した中道改革連合はこれからいったいどこに向かうのか、世論は中道改革をどう評価しているのか、その動向を中心にこの間の経緯を追跡してみた。
立憲民主党の水岡俊一参院議員会長は2月12日、衆院で中道改革連合を結成した公明党との関係について、18日召集予定の特別国会では参院の統一会派を見送ると記者団に表明した。中道への合流を巡っても「結成の際の条件や約束を聞いていないので、述べることができない」と慎重姿勢をにじませた。中道は衆院選直前に結成したため当初は衆院議員のみが参加し、将来的には参院側の合流を見込んだ。参院での統一会派結成がそのステップになるとみられていたが、衆院選惨敗を受け、参院側では合流への慎重論が出ている(共同通信2月12日)。
中道改革連合の小川淳也代表は2月15日のNHK番組で、幹事長をはじめとする執行部人事を巡り、党内融和を重視する考えを重ねて強調した。「一致結束した上で外に訴えていく。極めて慎重に、いろいろなバランスに配慮したい」と述べた。両党に残ったままの参院議員の合流は、時間をかけて検討する考えを示した。「衆院選の厳しい結果を受け、固定観念を持って考えるわけにいかない。柔軟に、時間の幅を持って考えたい」と説明した(同、2月15日)。
この2つの記事には、中道改革連合の将来を展望する上で看過することができない重大な内容が含まれている。衆議院の惨敗を目の当たりにした立憲民主党の参議院側が中道改革への合流に「待った」をかけ、統一会派も組まないことを表明した。小川新代表も、参議院側の合流は「時間をかけて検討する」として確たる方針を示していない。もしこのまま時間が経過すれば、来年4月の統一地方選や2年後の参院選では、立憲民主党と公明党がバラバラに選挙を戦うことになり、中道改革は身動きができなくなる。
自民党をはじめ与野党各派が今後激しい選挙戦を繰り広げることが予想される中で、立憲・公明両党の候補はいったいどのようにして統一地方選・参院選を戦うのか。選挙政策一つにしても、立憲・公明それぞれが独自の政策を掲げるのか、それとも衆院側とすり合わせて共同の政策を掲げるのか、まったく予測が付かない。それぞれが独自の政策を掲げるのであれば、衆院側との整合性が問われるだろうし、共同の政策を掲げる場合は「どっちつかず」の曖昧な内容になり、有権者にアピールすることが難しくなる。どっちにしても衆院側と参院・地方側の顔が異なる〝2面相〟政党は、政党の存立に関わる根本的矛盾を抱えることになる。
読売新聞の投開票日直後の2月9~10日に行った緊急全国世論調査によれば、今回の衆院選の結果を「よかった」と答えた人は全体で55%、男女別では男性61%、女性49%、年代別では18~39歳63%、40~59歳58%、60歳以上48%となり、若い世代の男性を中心に自民党の圧勝を歓迎している。一方、中道改革に「期待しない」と答えた人は80%、衆院解散直後の前回1月調査から11ポイント上昇し、「期待する」は6ポイント下落して16%になった。また、自民が大きく議席を増やした理由(9項目から複数回答)を見ると、「高市首相の政治姿勢が期待された」81%で第1位、「野党の党首に魅力がなかった」64%で第2位となり、高市首相の人気の高さに比べて中道党首への不評が際立っている。
その後、朝日新聞(2月14~15日)と日経新聞(2月13~15日)の世論調査が相次いで実施された。朝日新聞は中道改革に関する質問がないので比較できないが、自民党が3分の2を超える議席を得たことに対する回答は「ちょうどよい」29%、「多すぎる」62%、「少なすぎる」2%となっている。「多すぎる」と答えた割合は年代が上がるほど多く、18~29歳では44%に対して70歳以上では78%に達した。また、国民の間で賛否が分かれている政策は「慎重に進めるほうがよい」63%、「積極的に進めるほうがよい」30%となった。この回答は男女差が大きく、「慎重に進めるほうがよい」は男性52%、女性73%となっている。朝日の質問は、自民党の国会運営に関する内容が中心になっていて、ブレーキをかける回答も用意されているので、回答もその方向に傾いている。
日経新聞の質問は読売新聞に近い内容となっている。自民党が3分の2の議席を獲得したことについては、「妥当な結果だった」44%、「もっと少なくても良かった」49%、「もっと多くて良かった」4%となり、中道の新代表への期待に関しては「期待する」29%、「期待しない」60%だった。朝日・日経の調査は投開票日から少し日が経っていることもあって世論が沈静化し、読売調査よりも自民党圧勝に対する評価が否定側に傾いている。しかし、中道改革に対する期待感が薄いのは同じで、代表選挙が行われたばかりの中道新代表に関しても「期待しない」が「期待する」をダブルスコアで上回っている。
各紙の世論調査から見ても、中道改革の前途には想像以上に厳しいものがある。小川新代表は、参院側や地方に残った議員の去就について「時間をかけて検討する」とは言っているが、残されている時間はそう長くない。もし特別国会で「野党第1党」としての中道改革の存在を発揮できなければ、政治力学の遠心力は「解党」に向かって働くことになる。いわば「薄氷を踏む」ような事態が待ち受けているのであって、今後の政局ের動きは予断を許さない。
一方、議席数「4」に半減した共産党の方はどうか。小池晃書記局長は2月16日の記者会見で、3月13~15日の日程で中央委員会総会を開き、議席減に終わった衆院選の総括を行うと発表した。投開票日翌日に出された常任幹部会声明は、「なぜ日本共産党が重大な後退をきっしたか。その総活については党内外の方々の声によく耳を傾け、学びながら、あらゆる面で自己検討を深め、次の中央委員会総会で明らかになるようにします」とあるので、どのような総括を行うかが注目される。
しかし、いつものような「党の力が足りなかった」ことが得票数と議席減の最大原因であり、「強く大きな党をつくる」ことが今後の課題だとする通り一遍の総括は、もはや通用しない。また、党指導部の責任を棚に上げ、党員や支持者の奮起を促すような一方的で偏った総括も受け入れられないだろう。党組織の抜本的改革と党指導部の刷新が具体的に提起されない限り、共産党の再生が難しいことは誰もが知っているからだ。最後に、前回の拙ブログに対して寄せられたある党支持者のコメントを紹介して終わりにしたい。
「党組織の抜本的改革と党指導部の刷新に関しては、わたしは常任幹部会のメンバーは退き、新しい指導部のもと、党名・規約・綱領(社会主義という目標など)・幹部政策(選抜方法・定年制・任期・給与など)の検討をして出直すのがす筋だと思います。いままでそうできなかったから、今日の惨状があると思います。わたしは選挙のたび、票読みもし、カンパもしてきましたが、今回はやめました。赤旗発行に毎年10億円の赤字を出し、それを党員のカンパで補填するといったでたらめな党運営では太平洋に塩を投げ込むようなものだと思ったからです。投票日に、党の地区委員に現状維持ならば『大勝利』、普通に行けば『半減』と言って悲しそうな顔をされましたが、同時にその方はそうなるかもしれないと言っていました。ネットの登場した社会と人々の意識の変化がわからない幹部たちには、残念というより怒りです。党員の皆さんはなんのために苦労してきたのでしょうか」
このコメントには、国政選挙における共産党の得票数と議席数が構造的に減っていく有様が、まるで「絵のように」描かれている。その上で共産党の再生を図るための具体的で現実的な提案が附されている。共産党が本当に「党内外の方々の声によく耳を傾け、学びながら、あらゆる面で自己検討を深める」のであれば、このコメントにあるような声に応えることがまず求められるのではないか(つづく)。
「リベラル21」2026.02.18より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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