3月8日は「国際女性の日」で、高市首相のこの日にちなんだメッセージが公表された。記者会見でも同様の内容を話す映像を、NHK7時のニュースで見た。それを聴き、また首相官邸のHPで見て、「なに?それ!」という違和感を覚えた。というのは、とくに強調していたのが「女性の生涯にわたる健康支援」というものだった。具体的に何を支援するのか。「メッセージ」では、以下のような段落がある。
「高市内閣は、性差に由来した健康課題への対応を加速すべく、診療領域を横断した対応策の整理や診療拠点の整備を進め、特に女性の生涯にわたる健康支援を強化します。女性に特有の健康課題の解決に向けて、職場や地域において理解を深める取組を全国に展開していきます」。
これでも、何が言いたいのかよくわからないが、乳がんなどの検診促進、出産支援などが思い当たるが、どうなのか。 女性活躍・男女共同参画担当という黄川田仁志大臣もメッセージを出しているのを知って、のぞいてみると、どうでもいい挨拶に続いて、女性初の首相へのオマージュについで、以下のような段落があった。
「日本政府においては、希望する働き方を選択でき、その能力を十分に発揮できる社会の実現に向けた取組を進めてまいります。また、社会のあらゆる意思決定に女性が参画することを官民共通の目標として取り組んでまいります。」
首相の「健康支援」とはつながらない、これまた大雑把な話であった。役人が書いた文章であったのだろう。
そこで、「女性の生涯にわたる健康支援」なることばは、何を指すのか、これまでにもそんな発言があったのかを調べてみると、「男女共同参画白書」(令を和6年度版)に登場していた。それによれば、女性の共同参画拡大の施策を以下のように11分野に分け、その第7分野に該当するらしいことがわかった。
第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
第3分野 地域における男女共同参画の推進
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備
第7分野 生涯を通じた健康支援
第8分野 防災・復興、環境問題における男女共同参画の推進
第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献
「白書」だから、各省庁の横断的な課題なども総花的に記述が続くが、「第7分野 生涯を通じた健康支援」の内容は「妊娠・出産に対する支援」がほとんどで、それに「年代ごとにおける取組の推進」として「学童・思春期/成人期/更年期/老年期」に分けての課題が数行ほど示されていた。たしかに、女性の生涯において「妊娠・出産」は大事で、少子化対策の一環として、その支援も重要である。しかし、以下の分野においては、それぞれ、つぎのような大きな積み残された課題があることを忘れてはならない。
第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備
あらゆる分野で、女性の意見が政策・方針過程に反映されないこと、非正規雇用のうちの7割が女性であること、職場や地域・家庭におけるパワハラやセクハラの横行、さまざまな業界における性加害の頻発、いくつかの要因が重なっての女性の貧困の問題こそが喫緊の課題で、政府は、すぐにでも、その一つでも真剣に取り組んでほしいのだが。
「皇位継承は男系男子」と言ってみたり、「選択的夫婦別姓」には反対で、旧姓併記いや単記とか言ってみたりの認識の首相には無理だろう。私たち高齢者、老年期にある者に、「攻めの予防医療」といいながら、医療費の実質的値上げ、OTC薬の保険外しをやってのけるのだから、絶望的でもある。
ちなみに、女性活躍・男女共同参画担当という黄川田仁志大臣は、正式には、
「内閣府特命担当大臣」(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、こども政策、少子化対策、若者活躍、男女共同参画、地方創生、アイヌ施策、共生・共助)、女性活躍担当、共生社会担当、地域未来戦略担当だそうである。これが務まるから不思議?


3月8日のミモザ、ハクモクレン、施設内に木々にも春が近い
初出:「内野光子のブログ」2026.3.9より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2026/03/post-4f2485.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14714:260309〕









