韓国通信No.786
自然と向きあう仁者の境地とはほど遠い日々。押し寄せる生活不安にくわえ、トランプ大統領と高市首相の怪しげな「戦争デュエット」が共鳴する。国民を安眠させない政治家は失格である。不眠に苦しむ人が増えているらしい。いつでもどこでも眠れるのを誇っていたが、デエビゴという睡眠薬を飲むようになったのが情けない。

3月3日、トランプの似顔絵に「逮捕しろ!」、裏面には「NO! STOP! WAR!」というイラスト入りステッカーを駅頭で掲げた。(右/写真/雨天)
日中関係をぶち壊して経済をピンチに追い込んだ高市首相。ガソリンの値上がりに国民は「イライラ」。こちらはトランプのイラン戦争のせいだ。原因がいつのまにか中国とイランにすり替わっているのもいただけない。「ニコニコ」顔の首相を「カワイイ」という国民が70パーセントもいるのも情けない。
気に入らなければ拉致か殺害。ベネズエラ、グリーンランド、キューバに食指を動かす。アメリカはまぎれもないテロリスト国家になった。

3月7日、外国人が日本語を学ぶ教室の授業。講師になって17年になる。用意した「焼き場に立つ少年」の写真と解説を教材に使った。
原爆投下直後の長崎をアメリカの従軍カメラマン(ジョー・オダネル)が撮影した。少年は死んだ弟を背負って焼き場の順番待ちをしている。背中と子どもの重さを想像する。裸足で直立不動の姿。一心に何かを見つめる表情。想像を絶する戦争が伝わる。
中国人生徒の二人と核戦争と戦争について話し合った。戦争の悲惨さを彼らと共有したかった。
◇◇◇
授業が終わると「さようなら原発全国集会」へ。
千代田線で原宿駅へ一直線。快晴。
3月11日で東日本大震災、原発事故発生から15年。
事故直後の衝撃と怒りを思い出すと、いまだに15基の原発が稼働していることが信じられない。事故の責任も後始末もほったらかしにして原発回帰。休止中の原発を全部動かしても足りないと政府はほざくが、真っ赤なウソ、ふざけた話だ。相変わらずの「命より金儲け」。
会場で「さようなら原発あびこ」の仲間9人と合流。フクシマを忘れずあきらめない身近な仲間たちだ。
今回もNHKを始めほとんどのメディアから無視された。国に都合の悪いことは報道しない。治安維持法下の報道規制と変わらない。都心の代々木に8千人の大集会とデモがこれほど無視される理由がわからない。ひょっとしてわが国には権力から独立した報道機関、ジャーナリズムはなくなっているのかも知れない。
<共感の街、渋谷>
さようなら原発のデモ行進はこれまで渋谷の街を行く外国人観光客にとって旅行のみやげ話になる程度だったかも知れない。だが今回は反原発のデモと彼らが共通の思いで繋がっているように感じられた。ひょっとして「ならず者トランプ」のせい?
沿道から手を振る多くの人、Vサイン送る人たち。こんな経験は初めてだった。反原発は、国境を越えて反戦平和、環境、人権運動と地続きなのかも知れない。
朝露館の関谷興仁さん(訃報) 今秋11月14日に追悼会

去る2月14日、腎臓病加療中に誤嚥性肺炎で急死された。1932年生まれ、享年93歳だった。
関谷さんの陶板作品はみずからが心に刻んだ物語から生まれた。歴史のなかに刻まれ表現された無辜の死に対する鎮魂。それは死をもたらした権力者に対する憤怒と抵抗の蟷螂の斧だった。
強制連行された中国人の名前を彫り続けた執念を考えて欲しい。花岡の遺族が陶板から遺族の名前を見つけ出して号泣するのは何故なのか。理不尽な死はもちろんだが、彫り続けた作家の気の遠くなるやさしさと感謝にではなかったか。
あたりに戦争が迫りつつあるこの時代にこそ、平和への祈りが詰まった作品を見て触れて欲しい。
2010年8月27日号「週刊金曜日」梶村太一郎氏の記事を読み、益子にある朝露館を訪ねた。今から16年前のことである。軍国少年だった関谷さんが教員から陶芸の道へ。陶板に込めた思いを聞いて感動した。
関谷さんが住職の息子というのは気になるが、彼の学生時代と教員時代に注目する。
1951年(早大入学)から教員をやめる1966年までの約15年間は戦後史の中で民主主義の大転換が図られた戦前回帰、逆コースの時期として記憶される。特に教育に対する国の露骨な干渉が強まった時期である。
「再び教え子を戦場に送るな」という教職員組合のスローガンも揺れた。組合の活動にかかわっていた関谷さんの苦悩はいかばかりだったか。
陶板作品に表れた関谷さんの人生と時代背景を知ることは混迷する現代を知る上で欠かせない。
11月14日(土)関谷興仁作品展と追悼行事を予定している。
初出:「リベラル21」2026.03.21より許可を得て転送
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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