2012年10月9日 連帯・共同ニュース第290号
■ 民主党は総裁選をおえ内閣改造をして政権最後の局面に臨もうとしている。自民党は安倍晋三返り咲きで保守的性格を強め年内選挙を要求している。自民党の政権復帰という巷の予想に気をよくしてのことである。解散をめぐる民主党と自民党や公明党との緊迫も政党内部の緊迫感と国民の意識にはズレがある。民主党政権には愛想をつかしているが、自民党政権の復活にも疑念を持っている大方の人々の意識はこんなところだろう。世界の動きは混迷度を増すばかりだが、日本の政治もそれと軌を一にしているかのようである。尖閣諸島問題で勢いづくナショナリストは迷惑な存在であるだけだ。こうした中で唯一の救いは脱原発運動の広がりと深まりである。経産省前テントひろばは存続し、毎週金曜日の首相官邸前行動は持続し、全国化している。全国での毎週金曜日の行動は200箇所を超えている。日々拡大して行くことと思われる。選挙をめぐる政局の動きを横目で睨みながら、国民の意志表示(権力や体制に対する異議申し立て)の運動に僕らの現在から未来をたくしたい。そこが時代の分水嶺であることを脳裏に刻み込みたい。
■ 「9条改憲阻止の会」の面々は脱原発運動の中で奮闘しておられ、多くの場面で活躍をしている。あらためて述べることではあるまいが、自民党の安倍総裁には驚きとともに内心では期するところもあったのではないのか。「9条改憲阻止の会」は安倍内閣の誕生と憲法改正の動きに反対して創設されたのだからである。だから面々の意識には憲法のことはいつも念頭にあったはずだ。自民党は選挙のみならず、今後の日本の政治的構想として対外関係《特に中国との対応》を軸に憲法改正を打ち出してくるだろう。自国の軍事―防衛体制の強化論であり、深化された中国脅威論を背景にしてである。これは中国脅威論を軸にしたアジア戦略に世界戦略の中心をすえたアメリカの動向と一致する。日米同盟の深化としての集団自衛権容認と自衛隊の国軍化がめざされるのであり、中国脅威論を憲法改正に結びつけて行こうという動きである。僕らは、憲法9条が再び世界史の中で試されることを認識しておかなければならない。アジア地域住民の連帯を憲法9条を根底にして構築せねばならない。「戦争で紛争は解決しない」という地域住民のナショナリズム《排外的意識》を超えた連帯は憲法9条によって指示線がみえる。これが日本国民の領土問題や対外意識についての態度であり、意志であることを主張せねばならない。日米同盟論が対中国脅威論で日本の集団自衛権行使の容認や自衛隊の国軍化に向かう動きに対抗せねばならない。軍事による紛争の解決をめざすことを否定する憲法9条の精神は中国や韓国などのアジア地域住民の連帯の軸になり得る。今こそ出番だ。僕らはじっくり腕を磨いておこう。
■ 毎週金曜日の首相官邸前行動と経産省前テントの保持を中心にして現在の持久戦的動向に対している。こうした中で少し先になるが二つのことを提起しておきたい。一つは10月28日(日)午前10時から開かれる「9条改憲阻止の会」総会である(早稲田のキリスト教会館《高田馬場からバス》)。この会の設立以来の動きを振り返り今後の方向を確認する。もう一つは首都圏反原連などから提起されている11月11日の100万人による国会包囲行動である。これは現在、全国的な広がりを見せている金曜日行動の集中でありより大きな国民的意志結集である。 (文責 三上治)