主敵は、「アベノミクス」

日本では、あらゆる分野で「空気」に依る一種の感染症が流行する傾向がありますが、現在では、政権も反政権の立場に立つ人々もが「アベノミクス」に感染しているのではないでしょうか。 例えば、本日2月15日付の「交流の広場」で「9条改憲阻止の会」の三上治氏は、「アベノミクスとやらで株価の値上がりと円安が進行している。」と断言されておられますが、リフレ派の御用学者や御用新聞化したマスゴミならば、いざ知らず、明白に安倍政権に抗しておられる方が、彼らの宣伝に誤魔化されてはならないのではないでしょうか。

金融部門で職に就いている方や、私自身も含めて元本の寡少を問わず投資をしている者は、そうした誤った認識はしていません。 何故なら、第一に今の円安傾向で云えば、為替は、政権の自由に操作が出来るものでは無いからです。 また、株価の上昇は、実態経済を反映したものではありませんので、二次的なものです。

どう云うことかと云いますと、円安は昨年の夏時点を起点にして、ユーロ危機が小康状態になると同時に、リスクオフに転環した投資マネーがユーロその他通貨に流れ込んだのです。私が購入して保持しています外貨建て債券が急速に評価額の上昇に転じたので分かります。 また、ユーロその他の債権の購入案内が多量にありましたし、投資家の欧州その他を観る眼が変化したことを感じました。 その結果は、「通貨ユーロはドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が昨年7月にあらゆる手を尽くして救済すると表明してから対ドルで12%も上昇した。」(ロイター本日付)と云う現実が物語っています。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91E01H20130215

焦点:欧州株、ユーロ高による企業業績悪化の打撃受ける懸念

ロイター 2013年 02月 15日

未だ野にあった安倍氏の言等は、円安傾向には何の関係も無かったのです。 株価は、円安を受けて輸出企業の業績回復を織り込み上昇しましたが、今後は、輸入価格の上昇を受けて(特にエネルギー面で)業績が悪化する企業も出て来ますので楽観はしていません。 また、国内土建国家関連の企業を筆頭に、短期筋の思惑買いで株価は上昇しましたが、皆、長期保有等は考えていません。 買うと同時に何時売るかを考えています。 私も当然、年内早い時期には売り逃げします。

ともあれ、新年度予算(案)を観れば、明らかなとおり、歳入予算の半分が借金の国家予算は、正常な神経であれば正視出来るものではありません。 国債の消化が未来永劫に継続する筈も無く、借金の利息である長期金利が上昇に転じれば、財政政策も何も無くなります。 その折に、世界第三位の経済の国の破綻を他国が静観している筈もありません。 日本発の世界恐慌を防ぐために、それこそ力づくに国家財政の再建を迫るでしょう。 ギリシャどころではありません。 あらゆる財政再建策を採らねばならないのが必至になり、国民は窮乏化しますので、自然発生的に、生死を賭けた生活防衛のための要求運動や暴動が起こるでしょうし、治安の悪化や国民の飢餓が現実になるでしょう。 その前に、馬鹿げたリフレ策の「実験」を止めなければなりません。 私達は、「アベノミクス」にこそ、決死の覚悟で立ち向かわねばならないのです。