こちらは「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝さんからの情報
です。
皆様
安倍首相のトルコ訪問で三菱重工等の企業連合の受注が正式決定しました。政府は、10月25日にトルコ及びUAEとの原子力協定の承認案件を国会提出。衆議院外務委員会では、早ければ11月1日、遅くとも来週には実質的な審議が行われる予定とのことです。
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)ではトルコとの原子力協定・シノップ原子力発電所の問題点に関するファクトシートを作成(下記参照)。現在、衆議院外務委員会の委員への働きかけを行っています。
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
 田辺有輝
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http://www.jacses.org/sdap/nuke/turkeyfact2.pdf
トルコとの原子力協定・シノップ原子力発電所計画の問題点(第2版)
 2013年10月30日
 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)田辺有輝
●周辺インフラの耐震性が低く事故対応が極めて困難:
 –    トルコは世界有数の地震頻発地帯で(1900年以降にM6以上の地震が72回)
 、1999年のトルコ北西部地震(イズミット地震・M7.8)では、1万7000人以上の
 死者・4万3000人以上の負傷者が発生 。機器損壊が相次ぎ重要な変電所が数日間
 にわたり停電する事態も発生 。
 –    建物やインフラの耐震補強は進んでいない。例えば、イスタンブール市の
 耐震化率は、全建物の1%で、3000の学校のうち250校、635の公立病院のうち10
 か所のみ(2009年) 。
 –    仮に日本から輸出する原子炉の耐震性が高いものであったとしても、大地
 震が発生した場合、周辺インフラが寸断される可能性が高く、事故対応が極めて
 困難。
●活断層調査の委託先の妥当性・調査結果の信ぴょう性に問題:
 –    政府は日本原子力発電株式会社に委託してトルコのシノップ原子力発電所
 の地層調査を行っているが(平成25年度原子力海外建設人材育成委託事業:11.7
 億円) 、当社は、原子力規制委員会が活断層と認定した敦賀原子力発電所直下
 の断層を活断層ではないと主張し続けており、国費で行う調査の委託先の妥当
 性、調査結果の信ぴょう性が問題。
●事業の経済性評価が不十分:
 –    シノップ原子力発電所のコストは、220~250億ドル(約2兆2000億円~2兆
 5000億円)と推定されているが、ロシア企業が受注したアックユ原子力発電事業
 では、コストが200億ドルから250億ドルに跳ね上がり、現在も見直し中であるこ
 と等から、トルコのエネルギー専門家は、原子力発電が他の代替エネルギー源に
 比べて長期的にコスト高になると指摘している 。
● 「推進と規制の分離」がなされていない:
 –    日本では福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原子力の推進機関と規制
 機関の分離が行われ、原子力規制委員会が発足したが、トルコでは、推進と規制
 の両方をトルコ原子力庁(TAEK)が担っており 、「推進と規制の分離」が図ら
 れていない。
●廃炉計画・放射性廃棄物の処分計画が不明:
 –    廃炉計画・放射性廃棄物の処分計画が不明である 。週刊朝日2013年6月21
 日号記事 によると、トルコとの交渉について、経産省関係者は「最終処分場問
 題についてはあえて触れないと、事前に申し合わせていた」とのこと。
●地元市長及び市民が反対している:
 –    地元のシノップ市長は、観光産業に甚大な影響を与えるとして2009年の選
 挙で原発反対を掲げ当選。以来、反対表明を継続 。市民もデモを多数開催 。
●シビアアクシデント対策、地震対策、テロ対策、住民避難計画、住民への情報
 公開、住民協議の開催状況等について、政府は未確認 。














