大企業に、強引にベア要求した安部政権

 安部晋三首相の強引な政治手法を危険視する声が次第に高まってきた。野党だけでなく与党内からも、有識者からも批判的な意見が少なくない。第1次内閣(2006年)時の安部首相はひ弱に見え、政権を投げ出してしまったが、第2次の首相は〝権力者〟の辣腕を欲しいままにしているようだ。

 アベノミクスをはじめ集団的自衛権、特定秘密保護法推進など、重大テーマに執念を燃やしている。

 4月からの消費税引き上げ(8%)を前に、各企業に対し安部政権の賃上げ(ベースアップ)要請した。その手法に限って考えてみたい。

 今年の春闘は従来とは様相が違い、政府の積極介入が際立っていた。消費増税によって物価高が先行し、景気回復の芽が摘まれては政権基盤が崩れてしまう。「一時金ではデフレ脱却にならない」と判断。昨年末には復興特別法人税の1年前倒し廃止を決め、経済界に賃上げ圧力をかけた。

 日経新聞319日付朝刊は、「甘利経済財政政策担当相は企業の一斉回答日の11日を控えた記者会見で『何の対応もしてくれない企業は、経済の好循環に非協力ということで経済産業者から何らかの対応がある』とまで述べた。念頭に置くのは上場している1800社を5月までにアンケート調査し、社名と収益、ベアや一時金を経産省のウェブサイトで開示も試みたい」と、企業への圧力の凄まじさを指摘していた。

通常なら距離を置くべき民間の賃金交渉に介入するとは、権力の横暴ではないだろうか。トヨタ自動車をはじめ大手企業は、従わざるをえなかったのである。難色を示していたスズキも一律ベアに追い込まれたという。

消費税アップが、どう世間に反応するか。アベノミクスの正念場である。

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