(ネオ・ニコチノイド系)農薬の残留基準緩和に待ったがかかった

厚生労働省・農林水産省が住友化学他の農薬業界とグルになって、とんでもない(ネオ・ニコチノイド系)農薬の残留規制の緩和を画策していたことにストップがかかりました。欧州ではネオ・ニコチノイド系農薬は使用禁止へ(オランダは先日、使用禁止を決定、EUは期間限定で3種類を使用禁止)、米国その他の国々でも使用規制・残留規制が格段に強化され始めている中で、こと日本だけが、この危険なネオ・ニコチノイド系農薬の残留規制を信じられないほどに緩和しようとしていたことが挫折したということです。

 

背景には、多くの環境団体や市民団体の反対行動があります。(こんなものが住友化学の要請通りに認められていたら、子どもたちや妊婦は、放射線被曝とのダブルパンチで、危険な状態に置かれていたであろうことは十分推測できます)

 

●緊急オンライン署名 ネオニコチノイド系農薬の基準緩和に反対します  国際環境NGOグリーンピース

http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/nico/

 

●2014-2-3 ネオニコチノイド系農薬の残留基準値の規制緩和の即時凍結を求め ――NGO5団体と厚生労働省に申し入れ  国際環境NGOグリーンピース

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2014/pr20140203/

 

●オランダ議会は、すべてのネオニコチノイド系農薬の使用禁止を票決。家庭でも使用禁止に。  国際環境NGOグリーンピース

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/48887/

 

(一部抜粋)

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厚生労働省は3月18日、①いったんは承認した、ネオニコチノイド(ネオニコ)系農薬の残留基準の大幅緩和案を再審査する、②残留基準の安全性審査を4月から厳しくする、と発表した。(中略)問題になっているのは、農薬のトツプメーカー住友化学が「ダントツ」などの商品名で販売しているクロチアニジン。

 

住友化学はこの農薬の販売を促進する狙いで「登録内容(使用方法)の変更」を農林水産省に申請した。(中略)作物に残留する農薬が増加え、残留基準を超えてしまうので、基準の緩和が必要になる。

 

今回のホウレンソウの場合、最大残留値が27ppmだったので、その約1.5倍の40ppmが基準案とされた。現行の3ppmに比べ13倍にもなる大幅緩和で、FAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)が定めた国際基準(2ppm)と比べても桁違いの高さだ。

 

厚労省は残留農薬量が、慢性毒性の指標であるADI(生涯にわたって摂取しても健康への悪影響がないと推定される「1日摂取許容量」)に日本人の平均体重(約53kg)をかけて算出した「摂取許容量」の80%以下という条件さえ満たしていれば、影響なしと判断するのだ。クロチアニジンの残留基準案はこの条件を満たしていた。

 

ところが、昨年10月にパプコメが始まると、異変が起きた。危機感をもったグリーンピース・ジャパンや反農翠泉京グループなどの環境NGOが意見の提出を呼びかけたところ、厚労省に反対意見が殺到したのだ。通常は10件程度の意見が寄せられるだけなのに、この件に関しては1カ月の募集期間内に1656件もの反対意見が届いた。一方、賛成はたったの1件だった(内訳は情報開示請求をしたグリーンピース・ジャパンによる)。

 

反対の主な理由は二つだった。一つは、わずかな量を子どもが食べただけで急性中毒を起こす可能性があるほど危険な農薬の残留基準が、ホウレンソウなどいくつもの作物に設定されていたこと。

 

欧州連合(EU)はほとんどの農薬についてARfD(1日にこれ以上摂取すると中毒を起こす可能性がある「急性中毒基準量」)を定めている。この指標で計算すると、40ppmのクロチアニジンが残留しているホウレンソウを子ども(1~6歳、平均体重約16kg)が食べる場合、40g(1株半くらい)で急性中毒を起こす可能性がある。

 

もう一つの理由は、EUがネオニコ系農薬への規制を強めつつあることだ。ネオニコ系は、農家には便利な農薬だが、殺虫力が強く、重要な授粉昆虫であるミツバチ大量死の原因の一つと指摘されている。この点に注目してEUは昨年12月、クロチアニジンを含む3種類のネオニコ系農薬の使用を厳しく制限する規制を始めた。

 

さらにネオニコ系農薬については近年、ごく低濃度でも胎児や乳幼児の脳神経系の発達に影響を及ぼす可能性のあることが分かってきた。このため、欧州食品安全機関(EFSA:日本の食品安全委員会に当たるリスク評価機関)は昨年12月、現行の許容基準では安全性が十分ではないとし、アセタミプリド(日本曹達が開発、商品名は「モスピラン」など)を含む2種類の、ネオニコ系農薬についてADIなどの引き下げを勧告している。

 

このような問題点を指摘されると厚労省も動かざるをえない。農水省や食品安全委員会と協議のうえ、クロチアニジンの残留基準案を再審査する

ことにした。

 

併せて、厚労省は数年前から検討していたARfDの導入に踏み切った。残留基準の安全性審査でこれまでは慢性毒性だけを考慮していたが、今後は急性毒性も考慮することになる。そのため食品安全委に対し、優先順位の高い農薬から順次、ARfDを設定するよう要請した。

 

反対運訪を展開したグリーンピース・ジャパンは今度の結果について「市民の声が厚労省を動かした」とし、「今後も声を上げ続けよう」と呼びかけている。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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