那覇の「対馬丸記念館」にまでご訪問
天皇皇后両陛下は6月26日、2年ぶりに沖縄県を訪れ、戦没者の墓に花を供えられた。 両陛下は沖縄県糸満市の国立沖縄戦没者墓苑を訪れ、遺族会の人たちに対し、「ご苦労さまでした。お元気で」と声をかけられた。27日には、戦時中の1944年8月22日に米潜水艦に撃沈された学童疎開船「対馬丸」の犠牲者を慰霊するため、那覇市の対馬丸記念館を訪問した。今年は学童約780人を含む「対馬丸の悲劇」から70年にあたり、両陛下の強い意向で訪問が実現。訪問に先立ち、両陛下は戦争で犠牲になった子どもらを慰霊する「小桜の塔」にも白菊を手向け、残されたランドセル、衣類などに見入っておられた。
足尾銅山鉱毒事件の博物館へ
両陛下は平和を願う旅を続けており、5月21日には1泊2日の予定で、栃木、群馬両県を訪問。湿地保全のラムサール条約登録地「渡良瀬遊水地」の自然を散策したあと、足尾銅山鉱毒事件の解決に取り組んだ政治家、田中正造(1841~1913)の出身地、栃木県佐野市の市郷土博物館でゆかりの品々をご覧になった。鉱毒事件にまで関心示されたことに、驚かされた。
五日市郷土館に足を運ばれた美智子皇后
皇后陛下は5月の憲法記念日に因んで、東京都あきる野市(元五日市町)の五日市郷土館を訪問された。五日市憲法は1831年に起草されたもので、全204条。そのうち150条は基本的人権について触れ、国民の権利保障に重きをおいたものだ。当時としては国民の権利などについて画期的な内容が含まれ、現日本国憲法に近い内容もみられる。
皇后陛下は「明治憲法の公布(明治22年)に先立ち、地域の小学校の教員や農民が寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で、基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など204条が書かれており、地方自治権等についても記されています。近代日本の黎明期に生きた人々の政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えました」と語っていた。
水俣病患者とも懇談
昨年10月27日には、第33回全国豊かな海づくり大会のため熊本県に滞在していた両陛下は水俣市を初めて訪れ、水俣病慰霊の碑に供花。水俣病患者らと懇談し、水俣病資料館などを視察されている。
80歳、79歳のご高齢にめげず
天皇は心臓手術のあと無事回復され、いま80歳。美智子妃も79歳になられたが、病身という。ご高齢にめげず、お二人で全国を行脚されている姿は感動的だ。福島原発事故被災者をたびたび訪ねているのを始め、各県を訪問し続けている。「象徴天皇」に基づき、凛として平和憲法を実践されている気迫は素晴らしい。政治的混乱が続いている現在、そのお姿に敬服するばかりだ。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4897:140630 〕