原発事故の損害賠償を何故きちんとしないのか(続-2):ある病院が再建できないのはなぜか(福島民報)他=原発稼働とは こういうことだ,という生々しい実態,こんなことを「他人事」にしておいていいのか!!

福島第1原発事故に伴う損害賠償・補償に関する昨今の新聞情報です。許されない被害者の切り捨てが大規模に展開されています。日本は本当に法治国家なのか,日本は本当に国民主権の民主主義国家なのか,日本は本当に人権が保障される市民社会なのか,この福島第1原発事故後の被害者に対する損害の賠償・補償のあり様を見ていると,まるで日本という国が,原子力ムラ一族の支配する専制抑圧国家であり,人々の生存権も幸福追求権も顧みられることのない暗黒社会であることが浮き彫りになっています。

 

こんなことを「他人事」だとして放置しておいていいのでしょうか? 原発を稼働するということは,突き詰めれば,こういうことなのだ,ということが,まるで思い知らされるように,今私たちの目の前で,巨大な規模で展開されています。原発・原子力を推進すれば,そのいい加減さと出鱈目の結果,必ずや大規模放射能事故の大惨事を引き起こし,その結果生まれる被害者は,適当にあしらって踏みつぶす,そうでなければ原発・原子力など永続的にやっていけるわけがない,そういう生々しい現実が,福島県その他の放射能汚染地域でおきているのです。

 

今,安倍晋三・自民党政権は,原発・核燃料施設の再稼働に猪突猛進しています。しかも,許しがたいことに,今までとてもできなかった厚顔無恥丸出しの,原発・原子力最優先政策を,多くの有権者・国民・市民の意向を無視して強引に導入しようとしているのです。焼け太りどころの話ではありません。単なる再稼働ではなく,原発・原子力の完全復権と最優先での国家的大大推進,それを徐々に徐々に,無関心な有権者・国民・市民をだましだまし,ごまかしごまかししながら,やろうとしているのです。下記に見られる被害者踏みつぶし政策は,そのための土台作りです。被害を受けても反抗させない,権力でどこまで抑えつけられるか,その社会実験が堂々とこの国で行われています。

 

かようなことを放置することはゆるされません。これは福島第1原発事故の被害者の方々の問題ではなく,私たち同時代に同じ国に生きる人間,一人一人の問題です。脱原発は脱被曝と一体であり,脱被曝のためには被害者は完全救済されなければなりません。文字通りの完全救済です。断固として,被害者と手を取り合い,自分達のこととして,この原子力ムラ邪悪権力に徹底抗戦してまいりましょう。知らぬふりをしたり,自分だけ良ければと立ちまわったり,こそこそと逃げ回っても,この狭い日本ではどうすることもできません。無為無策・逃避の時間の後にくるものは,そう「次はあなたが被ばく被害を受けて,切り捨てられる」ことになるのです。何故なら,このままいけば,原発・核燃料施設の過酷事故は必ず起きるからです。

 

(1)東京電力福島第1原発事故 賠償の底流(8)~(10) 第2部営業損害 病院再開を模索(福島民報 2015.2.10~12)

(2)東京電力福島第1原発事故 賠償の底流(11)~(13) 第2部営業損害 解雇か・・・悩み尽きず(福島民報 2015.2.13~15)

(3)東京電力福島第1原発事故 賠償の底流(14) 第2部営業損害 被害ある限り償いを (福島民報 2015.2.16)

(4)農林水産省 休業賠償なし正式通知 南相馬市(福島民報 2015.2.13)

(5)福島県原子力損害対策協 賠償終了 見直し要求 営業損害で政府・東電に(福島民報 2015.2.5)

(6)田村市都路町住民339人 精神的賠償37億円請求、東電と国提訴(福島民報 2015.2.10)

(7)トモダチ作戦の後遺症 被曝賠償 行方を注視(東京 2015.2.6 夕刊)

 

1.2.福島民報:東京電力福島第1原発事故 賠償の底流(8)~(13) 第2部営業損害 ある病院が再建できないのはなぜか

このシリーズ記事を私が下手にまとめるよりも,下記サイトをご覧いただく方が早いと思います。南相馬市のある被害者(病院)が,なんとか福島県内で病院を再開しようとするのですが,加害者・東京電力や事故責任者・国が賠償・補償をぐずぐずといつまでも行わず,政府・自治体の支援も不十分のまま金銭的に厳しい状況に追い込まれ,そこへ「営業補償打ち切り」の知らせが届きます。「死ねということか」という,この病院の院長さんのその言葉は,私の胸に突き刺さったままです。こんなことは絶対に許してはならないのです。

 

この病院をはじめ,こうした多くの被害者の方々を,賠償・補償もろくすっぽせずに,ここまで追い込んでおいて,あるいは一人一人の被害者に寄り添って,個別事情を勘案したしっかりした再建・復興の支援施策を講じないでおいて(「人間の復興」を棚上げにして),何が「福島県の復興」なのでしょう? 劣化する(地方)行政と原子力ムラ代理店政府の「共同作業」で,福島県民をはじめ,放射能汚染地域の被害者は悲しみと苦しみのどん底に陥れられています。

 

(福島民報)一連のシリーズ記事が掲載されています。

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014CompensationNA/

 

(個別記事ごと)

(8)http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/02/post_11464.html

(9)http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/243367319f0e7b065b97f105a895297e

(10)http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/81ae7ca59085824c98f5d4b699118ab7

(11)http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/7c2c0beb3c9c6ef90abf64473e5a78d3

(12)http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/f7c478325b9ab140cb357b27704d46b5

(13)http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/e563710d1a670e1a5294f7e9b370e614

 

3.東京電力福島第1原発事故 賠償の底流(14) 第2部営業損害 被害ある限り償いを (福島民報 2015.2.16)

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/02/post_11515.html

 

(田中一郎コメント)

「被害ある限り償いを」をしなければならないのは「当たり前」のことです。世の中の常識ではありませんか。それが原発・原子力の世界では,ねじ曲げられて潰される。こんな話があり得ますか? 「移転費用を損害として求められるのかという問題がある」などと,つまらぬことを言っていないで,福島第1原発事故によって生じたすべての損害を賠償・補償させ,加えて慰謝料・迷惑料や,支払いまでの遅延損害金を支払わせるのが,この件の正しい解決方法です。東京電力が払えないのなら,さしあたり政府が立て替えればいいのです。カネ勘定よりも被害者救済が最優先でしょう。

 

加害者・東京電力や事故責任者・国に対して甘い対応や姿勢は無用です。それは原発・核燃料施設事故の再発防止の観点からも必須のことです。

私は,この原発事故の賠償・補償の問題は,もはや良心的に奮闘して下さっている東電原発被害損害賠償弁護団副事務局長の紺野明弘弁護士や,その他の有志の弁護士の方々だけの問題ではなく,日本の法曹界=日弁連全体の問題だと思っています。

 

この福島第1原発事故の被害者の方々を救済できないのであれば,日本の法曹界など,あってもしょうがないでしょう。人権侵害どころか国家的犯罪を犯す悪質な原子力ムラ代理店政府の邪悪な権力に対して,日本の法曹界や司法が,どこまでこれを食い止め,その存在意義を発揮できるかが問われています。どこまで日本の有権者・国民・市民=被害者を守りきれるのか,が問われているのです。日弁連よ,すべての弁護士を引き連れて,福島第1原発事故の被害者救済のために立ち上がれ。日本のすべての弁護士のみなさん,今こそあなた方の出番なのです。法は国民の権利を守るためのものではなかったのですか?

 

4.農林水産省 休業賠償なし正式通知 南相馬市(福島民報 2015.2.13)

http://www.minpo.jp/news/detail/2015021320938

 

(一部抜粋)

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農林水産省は12日、南相馬市役所で開かれた市地域農業再生協議会意見交換会で、同市の旧警戒区域外の稲作農家について、今年から東京電力の休業賠償の対象から外す方針を正式に伝えた。農業者からは反発が出たが、同省の担当者は早ければ今月中に結論を出す考えを示した。

 

同省は、平成26年の市内産米から食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されなかったことを受け、旧警戒区域外を休業賠償の対象から外す方針を固め、1月に県、市に通知していた。意見交換会では農業者から、休業賠償が認められる全量生産出荷管理区域の指定の継続を求める意見が出た。

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5.福島県原子力損害対策協 賠償終了 見直し要求 営業損害で政府・東電に(福島民報 2015.2.5)

http://www.minpo.jp/news/detail/2015020520799

 

6.田村市都路町住民339人 精神的賠償37億円請求、東電と国提訴(福島民報 2015.2.10)

http://www.minpo.jp/news/detail/2015021020860

 

(田中一郎コメント)

福島県,そしてそれ以外の放射能汚染で被害を受けた多くの皆様,みんなで手をつないで損害賠償・補償請求の提訴に立ち上がりましょう。今の自民党政権や内堀福島県政,あるいは宮城,茨城,栃木,群馬,千葉,岩手,埼玉,東京,新潟,山形などの被害各県の県政に期待しても,いつまでたってもラチはあきません。時間が経過すればするほど,被害者は苦しい立場に追いやられ,やがて切り捨てられることになっています。命と健康,幸せに暮らすささやかな権利,そのためのつつましい財産さえも,原発・原子力のためには踏みにじってもいいと考える連中が,政治や行政を牛耳っております。多くの被害者が手を取り合い,殺されてたまるか,踏みにじられてたまるか,と立ち上がり,闘うことでしか,この事態は解消されることはありません。

 

7.トモダチ作戦の後遺症 被曝賠償 行方を注視(東京 2015.2.6 夕刊)

http://blogs.yahoo.co.jp/erath_water/65487435.html

 

(田中一郎コメント)

人権圧殺帝国の日本とは違い,アメリカでは福島第1原発事故に伴う米海軍兵士の放射線被曝被害訴訟が始まっています。要注目の裁判について,池内了氏がうまく簡潔にまとめてくれています:田中一郎)

 

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<追>

1.OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト:「じゃあ確認しておりませんので、 私からの誤りでした。 ごめんなさい、宜しいですか  会見文字起こし

http://oshidori-makoken.com/?p=709

 

2.たんぽぽ舎MGより(必見です:川内原発「工事計画」関連他)

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┗■1.「川内原発の再稼働 早くて4月以降に」…1/23NHKニュース

|  なぜ九電の書類提出は遅れているのか、原発の諸施設が

|  「基準地震動でさえ耐えられない恐れが高い」内容になっている

└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 

○川内原発の再稼働 早くて4月以降に

九州電力は再稼働を目指している鹿児島県の川内原子力発電所について、再稼働に必要な書類を今月中に原子力規制委員会に提出できない見通しになりました。

このため、川内原発の再稼働は早くてことし4月以降になる見通しです。【後略】

 

○この種のニュースは他にもいくつか流れているのですが、なぜ稼働できないかの説明が、単に書類提出が遅れているだけのごとくに伝えられています。そんなはずがないのであって、実際に起きているのは、構造上の問題、耐震等の評価の間違い、根拠のない、または薄弱な評価結果などが、いっぱい書かれているのではないかと思われます。

 

特に「白抜き黒枠公開」によりデータや解析結果が見えなくされた「工事計画認可申請書」でさえ、書かれている内容には驚かされる。九電が書いているのだから、基準値には余裕があるとの内容だと思っていたら、「一次冷却系配管」「加圧器逃がし弁管台」「ECCS配管」「蓄圧注入系統」「余熱除去系配管」そして「蒸気発生器細管」が、軒並み基準値を超えていて、一言で言えば「基準地震動でさえ耐えられない恐れが高い」内容になっています。事業者の解析でさえ、ぎりぎりの強度しか無いことになり、これで安全などと言えるはずもない状態です。

 

○基準地震動の、ほぼ2倍の「1260ガル」程度に襲われれば、地震と同時にこれら重要配管の多くは亀裂を生じ、破断し、機能を失い、数分で炉心崩壊になると思われます。このくらいの地震は南九州の地震地体構造を考えると、いくらでも起こりえるわけで、これでは合格など出来ないわけです。

 

○特に、蒸気発生器については、川内原発1号機は新しいものに交換していますが、2号機は建設当時に取り付けた「F51」がそのまま付いています。構造上の欠陥と材料の性能不足とで、蒸気発生器細管に減肉やひび割れが多発し、施栓をしてしのいだ代物を、まだ使おうというですから「論外」といわなければなりません。実際に、2号機の審査書をみると、蒸気発生器が最も厳しい応力値になっています。これを「合格」させる「度胸」が、規制委に無いことを真に祈るのみです。

 

○規制委ヒアリング「規制委の工事計画審査を問う(院内ヒアリング)~「黒枠白抜き」隠しと「認可前事前工事」を止めろ~」が19日に参議院議員会館で行われました。後日その報告をまとめます。

 

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┗■2.始めから結論ありきの20%

|  「現状追認」から「再稼働圧力」へ

|  総合資源エネルギー調査会への疑問・不信・できレース

└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 

2030年の電源構成案に原発20%とする案が、総合資源エネルギー調査会の「長期エネルギー需給見通し小委員会」の初会合がはじまる前から「決まって」いるようだ。 よくもこれだけ見え見えの会合を真面目に開く気になるものだと、怒りよりも、むしろ呆れる。会議費用だってただではない。税金を使ってどれだけ無駄な会合を開いているのだろう。

 

○ 20%の種明かしはあまりに簡単だ。

まず、既に廃炉が決まった原発を除けば48基が残るが、そのうち建設中の大間を含めて21基が再起動のための新規制基準適合性審査を受けている。それら原発は、北から泊1~3(北海道電)、女川2・東通(東北電)、東海第二(日本原電)、柏崎刈羽6・7(東電)、浜岡4(中部電)、志賀2(北陸)、大飯3・4・高浜3・4(関電)、島根2(中国電)、伊方3(四国電)、玄海3・4、川内1・2(九州電)である。

 

この原発の設備容量を全部足すと、2,010万kwになる。しかしこれらの原発のうち、2030年には40年を超える原発がいくつもある。泊1、高浜3・4、島根2、川内1・2、東海第二だ。従って、これらのうちから40年以上運転する原発もかなりあることが前提となっていると見られる。日本の電力消費量は年間合計7,436億kwh(電気事業連合会による電力会社10社の2013年度発電電力量内訳。他社からの受電分を除いた発電電力量の合計(2014年5月)2,010万kwの設備で稼働率75%としたら、1,320億kwh、17.8%、同じく85%ならば1,486億kwh、ほぼ20%である。

 

何のことはない。20%とは、規制基準適合性審査を終えて再稼働している見込みの原発を足し算して、現在の電力消費量で割っただけのことだ。

すなわち、エネルギー基本計画などではなく、単なる現状追認である。

 

○ 最初は「追認」だが、その後は「圧力」になるのは容易に想像がつこう。既に経産省が電源3法交付金について原発再稼働した自治体に重点配分することを検討している。つまり金と圧力が立地自治体に掛かってくる。「計画を達成するために20基の再稼働は必須」などと言い出す連中がいるということだ。こんな「結論ありき」の議論など要らない。必要なのは、人口減少と省エネルギー技術の進展に伴う、電力消費量の低下により、より低密度で変動の多い消費動向を、どのようなエネルギー源を持って安定的に賄うかを考えることだ。

 

3.(毎日新聞)衆院予算委員長:民主へのヤジ、首相を注意 「抑制を」

http://mainichi.jp/m/?2rRUFd

https://www.youtube.com/watch?v=PJKSJi5GSZg&feature=youtu.be

4.徹底検証 人質事件

http://www.dailymotion.com/video/x2gmule_houtoku-tetteikensyouislamkokuhitojichijiken-nakatakoushigakatattashinjijitsu-imafreejourna

listtachi_news

 

5.(録画)20150220 UPLAN 日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会

https://www.youtube.com/watch?v=3cSscfW7KXw

 

6.翼賛体制構築に抗するという「声明」を  [国民投票/住民投票]情報室 ホームページ

http://ref-info.com/hanyokusan/