NHKラジオで参議院第1委員会室からの平和安全法制特別委員会質疑の中継を聞いていて思うのだが、安倍政権の閣僚は、首相以下全てが閣僚になる前に大学で憲法講座を受講されるべきではないのか、と。
まず首相からして、答弁になっていない。 法案の内容を説明出来ないのである。 法案が合憲と仮定しても、その根拠を問われれば法理的に合憲の根拠を説かなくてはならないのであるが、説けないし、そもそも言葉数こそ多いものの何を言っているのかが分からないのである。
付け焼刃でも何でも良いから、法案の内容と合憲の根拠を法制局よりレクチャーを受けるなり、政権の御用憲法学者(居ればの話であるが)に法理の説明を受けて、答弁可能にまで自らを鍛えてから委員会室に臨むべきであろう。
ベラベラと言葉を多用して訳の分からないことを答えても違憲の法案が合憲になる訳は無いのである。 隔靴掻痒の答弁が法案の違憲性を物語っているのである。
そもそも、この法案は、米国へ自衛隊を差し出すものである。 自衛隊を他衛隊(米衛隊)に編成替えするものである。 それが米国からの要求であるから。 首相以下の無様な答弁ぶりは、米国からの要求で慌ただしく取りまとめた法案の性質を物語っている。 憲法との整合性を問われて、狼狽える首相以下は、その性質を天下に晒しているのである。
法案が憲法違反であるのは歴然としている。 NHKが日本公法学会の会員・元会員にアンケートを郵送し、回答を集計したものでは、回答した422人のうちの377人が「違憲・違憲の疑いあり」と回答し、「合憲」は28人、とのことである。 合憲の回答があったこと自体に驚く程で、基本的に、防衛問題と世界の現状認識に相違があっても違憲か合憲かと問われれば、違憲と答えざるを得ない法案なのである。
NHK憲法研究者アンケートのこと――合憲・違憲の決着はついている 水島朝穂早稲田大学教授 平和憲法のメッセージ 2015年7月27
違憲若しくは、違憲の疑いのある法案を、多数を頼んでゴリ押しで可決しても、違憲が合憲に変じることは無い。 「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」(憲法 第九十八条)と憲法は定めている。 今も、そしてこれからも国民の戦いは続くであろう。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」(憲法 前文)からである。
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