7/17付け原子力発電所事故による損害賠償制度の 見直しに関する意見書」(日弁連)

日弁連が7/17付けで「原子力発電所事故による損害賠償制度の
見直しに関する意見書」という意見書を原子力規制委などにあてて
提出しました。
A4:8ページ程度ですのでぜひ全文をお読みいただければと思います。

日弁連 2015年7月17日
原子力発電所事故による損害賠償制度の見直しに関する意見書
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2015/150717.html

意見書全文(PDFファイル;245KB)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2015/opinion_150717.pdf

*全文から「第2 意見の理由」の見出しだけ書き出します。
第2 意見の理由
1  はじめに
(1) 原子力損害賠償制度専門部会設置の経緯
(2) 現行原賠法の仕組みと当連合会の見解
2 原子力事業者の無過失・無限責任制度を維持すべきこと
(1) 有限責任化は,被害救済を図れなくするとともに,原子力事業者の
モラルハザードをもたらし,ひいては原発事故防止のための対策が
おろそかになる危険性があること
(2) 電力システム改革下での原子力事業の優遇策はとるべきでないこと
(3) 以上のとおり,原子力事業者の無過失・無限責任制度を維持すべきであり,
有限責任制度を導入すべきでない。
3 検討すべき損害賠償制度の在り方
~完全賠償を実現するための制度の改正こそ急務であること
4 結論
よって,当連合会は,意見の趣旨記載のとおり,原子力損害賠償専門部会に
おいて原子力損害賠償制度を検討するに際し,原子力事業者の無過失・無限責
任制度を維持することを求め,有限責任制度の導入に強く反対するものである。

—–
いわき市議佐藤和良さんのBlogに分かりやすい概要があります。

2015年 07月 30日
原子力損害賠償制度見直しで日弁連の意見書
http://skazuyoshi.exblog.jp/23490052/

日本弁護士連合会は、7月17日付けで「原子力発電所事故による損害賠償制度の見直しに関する意見書」を内閣総理大臣、経済産業大臣、原子力委員会委員長に提出した。
意見の趣旨は、「原子力損害賠償制度において、原子力事業者の有限責任制度の導入に強く反対し、無過失・無限責任制度を維持することを求める」もの。

原子力委員会の下に設置された原子力損害賠償制度専門部会が本年5月21日、初会合を開き、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた賠償制度の見直しの作業を開始した。この部会は原子力事業者と保険関係者など構成されるが、福島原発事故の被害者も今後の事故の潜在的被害者というべき全国の原発立地地域住民の代表もはいっていない。このような部会が、原発事故被害を防止できる、公正な損害賠償制度を提案できるのか、極めて怪しいといわざるを得ない。

現状で、原子力損害賠償支援機構法に基づく補償は極めて不十分な状況にあるが、有限責任制(事業者による賠償打ち切り制度)となれば、原発事故が起きても、電力会社は一定額の保険に入っていれば、それ以上の責任を問われない法的仕組みとなる。深刻な原発事故を起こしても、電力会社の経営には何の影響もないことになり、原発の再稼働を容易にしようとする魂胆が見える。

 

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5543 :150802〕