まず先の『レーニンへ帰れ』についての記事で訂正があります。付録で掲載されるデボーリン論文は「レーニンと現代」ではなく、『レーニン文稿』第9巻序言(1929)でした。お詫び申し上げます。
さて、「ぜひ読んでほしい」というのは、松尾さんの『この経済策が民主主義を救う』の第2章「人々が政治に求めているもの」の部分です。
松尾さんは、人々は何よりも「景気の回復」を渇望していると見ており、ここ数年の「野党陣営」の選挙での敗北は、この人々の気持ちを掬い上げなかったところにあると分析しています。つまり、野党陣営、とくに旧民主党の「脱成長」、「財政の無駄の削減」などの政策スローガンは「景気拡大に反対なのではないかというイメージ」(同書71頁)を人々に与えてしまったのではないかと分析しているのです。
そして、こうした動向を一番象徴しているのは、2014年の東京知事選だと、松尾さんは言っています。
具体的に言うと、「高尚なイメージ」の細川さんは、所得の高い層で支持が多く、低所得層で低かったとのこと。細川さんは、「民主主義擁護・脱成長・脱原発」というある程度裕福な都会の「市民派」の感覚には適合するが、「オイラの生活はどうなるんだ」という庶民の感覚には適合できなかったというわけです。
松尾さんは、こうした都会の裕福な「市民派」の感覚に依拠する野党陣営の思考に反省を求め、「安心して働けて、暮らしが豊かになれるという展望をもってもらえる、そんな政策をアピールすること」(同書75頁)に転換することを提言しているのです。
みなさん、いかがでしょうか?それこそ「オールド」新左翼なら、レーニンの『何をなすべきか』を手にして「唾棄すべき経済主義」と言うかもしれません。でも、ちょっと待ってください。大衆の中に理解者がいない理論ほどみじめなものはないのではないですか?
まあ,私も「物象化」とか「貨幣の物神性」とかという話が好きなので、これは、自己反省の言でもありますが。とにかく、今の左翼にはネトウヨと「お友達になれる」ほどの度量、庶民の中に入っていける度量が必要だと思います。