韓国通信NO487号
[ルポ]安倍政権のごり押し改憲に「平和憲法死守」5万人の叫び
5月3日、東京有明で開かれた憲法集会の模様を韓国の『ハンギョレ新聞』が写真入りで大きく伝えた。
見出しの日本語訳を付けたが、大集会は決して珍しくない韓国の特派員の目にも驚きの大集会に映ったようだ。丹念な取材が光る。
外国の新聞記者に安倍政権の「ゴリ押し」の姿勢は見えても、わが国のメディアには「国家機密保護法」、「集団的自衛権容認の閣議決定」、憲法違反の「戦争法」の強行採決、改憲へ突き進む安倍政権に対する危機感は薄い。報道の「中立性」の中に逃げ込んだ報道姿勢とハンギョレは対照的だ。
記事は元東条内閣の閣僚で戦後首相をつとめた祖父岸信介の侵略戦争は「正しい戦争」という認識、憲法は押しつけられたとする信念を受け継いだ安倍首相の執念を紹介している。
首相の強い改憲の意思にもかかわらず、国民は改憲に納得していない。参加者の声を紹介して、最新の世論調査と5万人の参加者たちの「憲法を守ろうとする『普通』の日本人たち」の熱気を伝えた。
□世論調査に一喜一憂することはない。しかし政府の「提灯持ち」「太鼓持ち」を続けるメディアに流されず、憲法を変えるべきでないと考える人たちが増え続けている。『ハンギョレ』のような報道が日本で行われたら内閣はいくつあっても足りない。安倍内閣はマスコミのおかげで「もっている」と云えなくもない。
デモ帰り、有楽町線の車中で見知らぬ男性に声をかけられた。彼は参加者の多さと熱気に「元気をもらった」といたく感激していた。「親たちから聞いた戦争の苦労を次の世代に味あわせてはいけない」。平和を享受してきた同じ世代同士エールを交換して有楽町の駅で別れた。その日は全国的な「約束の3日」。我孫子駅に降り立つと、男性がひとりで「アベ政権を許さない」のステッカーを掲げていた。有明に行けなかったからと笑っていた。
□ゴールデン・ウィークは結構忙しかった。30日は伊藤真さんの講演、5月5日は永山茂樹さん(東海大学教授・憲法学)の講演を聴いた。弁護士の伊藤さんの話は水も漏らさない完ぺきな憲法学概論、それでいて安倍首相の狙いをわかりやすく解説した説得力溢れたものだった。永山さんは改憲の総仕上げといえる「緊急事態条項」に的を絞った。夏の参院選挙が「天王山」だということを実感した。賢くなったぶん友人や後輩たちに伝えて行くのがゴールデン・ウィーク以降の私のつとめということになる。岩波ブックレットNO945『憲法に緊急事態条項』は必要か』永井幸寿著がわかりやすい。ヒットラーの全権委任法と緊急事態条項は全く同じだ。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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