「難民引き受け」ばかり叫ぶ者は恥を知れ! トランプ:中東に“安全地帯”を作って湾岸諸国に支払わせろ!

著者: 童子丸開 どうじまるあきら : スペイン・バルセロナ在住
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バルセロナの童子丸開です。

今回の和訳文自体は非常に短いものですが、その内容との関連で、私の身近で繰り広げられている出来事をご紹介する「前置き」を付けています。その「前置き」の方が和訳文よりも長くなってしまったのですが、近頃どうにも堪忍ならないことが多く起こっていますので、ついつい書いてしまいました。

この記事はこちらでもご覧いただけます。

http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/Trump-Wants-to-Build-Safe-Zones-in-Syria.html

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「難民引き受け」ばかり叫ぶ者は恥を知れ!

トランプ:中東に安全地帯を作って湾岸諸国に支払わせろ!

 

2月18日にバルセロナで、「難民引き受け・救済」を主張する巨大なデモが行われ、主催者発表で50万人、自治体警察発表で16万人、実数はおそらく20~30万人と思われる人々が、市中心部のウルキナオラ広場から港へ続くライエタナ通を埋め尽くした。またその1週前の11日にはムンジュイックの丘のオリンピック会場になった室内競技場パラウ・サンジョルディに地元カタルーニャを中心に活躍する歌手やバンドを呼び、観客1万5千人を集めて、同じ趣旨のコンサートが開かれた。今後、マドリッドやセビージャなど、スペイン各地で同様のデモやイベントが予定されているらしい。

 

このバルセロナでの連続イベントはカタルーニャ語で“Casa Nostra Casa Vostra(私たちの家はあなたたちの家)”と呼ばれ、主催者は地元の大学院生や若い芸術家による同名のグループである。しかしこのイベントを賛助しデモの発起人となったグループや主要な参加者・団体を見ると、表向きの主催者とは別に実際に企画した人々が只者ではないことが分かる。

 

180を超える団体が発起人になっているが、その中には、Oxfam、アムネスティ・インターナショナル、カトリック教会などのキリスト教団体、UGTやCCOOといったスペインの主要労働組合、カタルーニャ独立運動を中心的に担っているオムニウムやANC(カタルーニャ民族会議)、反‐民族差別団体SOS Racisme、カタルーニャの多くの大学や研究所、反‐性的少数者差別団体、各地の住民団体や文化団体、学生組織、教職員組織、様々な種類の数多くの基金などが含まれる。さらに110を超えるバルセロナ市内の企業や商店が参加している。

 

個人の資格で参加した人々には、バルセロナ市長アダ・クラウ、副市長ジュアン・ジュゼップ・オメリャ、カタルーニャ州政府委員ネウス・ムンテー、州議会議長カルマ・フルカデイュ、国民党を除くカタルーニャの各政党の代表者、元バルセロナ市長・カタルーニャ州知事パスクアル・マラガイュなど、大勢の政治関係者の顔が見える。他に150人を超えるカタルーニャの俳優、歌手、文学者、学者、文化・スポーツ関係者がいるが、その名簿の中にはマンチェスター・シティー監督ペップ・グアウディオーラや元FCバルセロナ選手カルラス・プジョルの名前も見える(さすがにこれは名前を貸しただけだろうが)。

 

主催者は、「難民引き受けを叫ぶヨーロッパで初めての巨大な規模のデモ」と胸を張っているが、それを聞く私の気分は重い。確かに、凍える冬の地中海を渡ってヨーロッパを目指す難民たちの姿は哀れとしか言いようがない。途中で息絶える人も多い。彼らを何とか助けたい…、確かにそうだ。しかし、彼らにとって最も幸せなことは、言われのない戦争や救い難い貧困の無い故国で生き、自分の生活と国の建設を支えることではないのだろうか? 誰が何のために中央アジア~中東や北アフリカの国々で不和を掻き立て分裂させ戦争を引き起こしてきたのか?

 

この点は今まで当サイトで散々言ってきたことなので繰り返さないが、難民が出てくる原因を取り除くことが、彼らにしてあげられる最大のプレゼントのはずだ。しかし、バルセロナで「難民引き受け・救済」を叫ぶ人々や政党がこの点に触れることはない。スペインの政治関係者ではポデモス党首のパブロ・イグレシアスただ一人が、2015年に「サウジアラビアやトルコに圧力をかけてイスラム国(ISIS)の資金源を断つように国際世論に訴えるべきだ」というまともなことを語っていた。私がポデモスにかすかな望みを感じているのはこのためである。

 

今回、和訳(仮訳)したのは、次のスプートニク・ニュースの記事である。
https://sputniknews.com/us/201702191050832281-trump-syria-safe-zones-gulf-states/

Trump Wants to Build ‘Safe Zones’ in Syria, Make Gulf States Pay for It

05:56 19.02.2017 (updated 05:57 19.02.2017)

 

短いものだが、この記事にある内容はこちらのABCニュースでも報道されているものだ。アメリカ大統領ドナルド・トランプが、難民をアメリカに入れる代わりに、シリアやその他の戦争に苦しむ国々に安全地帯を作り、その費用を湾岸諸国に支払ってもらう、と語ったのである。もちろんこのトランプの言葉を額面通りには信用し難いし、その「安全地帯」がどんなもので、それを誰がどうやって作り、その「安全」を誰がどのように保障するのかは知るよしもない。

 

しかし、少なくとも「難民が作られる原因」を取り除いて、難民となった(なる可能性のある)人々が故国で生きることができるようにしよう、そしてその費用を中東のテロに最大の責任を負う湾岸諸国に負担させよう、という、具体的な方針を語ったことだけは確かだ。いままで、世界中のどの国の政府も、どの(特に左翼を自称する)政治団体・党も、「難民問題」に関心を寄せ人権や反戦や平和を訴える集団の誰も、難民をなくし「難民問題」を根本的に解決するための具体的な提案を示したことがない。真っ先に言ったのが何とトランプ…。

 

「難民問題」に関するトランプの諸発言に対する文句はいくらでも言えば良いと思う。しかし、文句を言うのなら、トランプ以上に具体的で実効ある「難民を作らないようにする対策」を打ち出さなければならない。それもしないで、ただ単に「難民引き受け」や「難民排斥」を叫ぶだけの似非人権団体、似非人道主義者、似非左翼、似非右翼、似非愛国主義者たちは、恥を知るがよいのだ。

 

2017年2月20日 バルセロナにて 童子丸開

 

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【引用・翻訳開始】 ※太文字・斜体は原文通り

 

トランプは、シリアに安全地帯を作り、湾岸諸国に支払わせたいと願う

2017年2月19日 5時56分 (アップデート 2017年2月19日 5時57分)

 

 日曜日のフロリダでの政治集会の前の発言で、アメリカ大統領ドナルド・トランプは、シリアと他の戦争に苦しむ国々に作られる安全地帯だけが難民危機を止めることができると主張し、湾岸諸国がそういった地帯のために支払うべきだと強調した。

 

モスクワ(スプートニク) ― 合衆国に人々を受け入れる代わりに、シリアのような紛争に引き裂かれた国々に安全な地帯を作ることが必要であり、湾岸諸国がそれらの安全地帯に対して支払うべきだと、トランプは言った。

 

「私のやりたいことは、シリアやその他の場所に安全な地帯を作り上げることだ。そうすることで、彼らはそこに安全にとどまって生活できる。我々は湾岸諸国にこれらの安全地帯に対して支払ってもらうつもりだ。それらは何は無くても金だけは持っている。そして我々は、我が国に何万人も受け入れるのではなく、そのようなやり方をするつもりだ。我々は我々を愛する人々を、我が国にとって重要になるはずの人々を望むが、悪い考えを持つ人々は望まない。」トランプは日曜日にフロリダでのキャンペーン集会でこのように語った。

 

合衆国大統領はまた、合衆国を「安全に」保つという意図を表わした。

 

1月20日に大統領の職務に就いて以来、トランプは合衆国に流れ込む移民の流れをそらすことを狙った物議を醸す決定をしている。

 

トランプの「この国を外国のテロリストの合衆国への侵入から守る」題された最近の大統領令は、イラン、イラク、リビア、シリア、そしてイエメンから来る旅行者を90日の間妨げている。さらにこの大統領令は120日の間全ての難民に対して合衆国への入国を禁じるが、一方でシリアの亡命希望者は無期限に禁じている。その目的が国の安全保障を引き上げることである一方で、この入国制限は世界中で反対を引き起こし、合衆国内部で多くの抵抗運動を引き起こしさえしている。

 

1月25日にトランプは、メキシコからの不法移民を防ぐために、合衆国南部の国境に沿う壁の建設の促進を狙った大統領令を出した。

 

【引用・翻訳ここまで】

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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion6523:170221〕