今年もまた西サハラ難民の人々は、RASD(サハラ・アラブ民主共和国)の建国記念日を、アルジェリアにある難民キャンプで迎えてしまいました。 41年目です。 約1年前に西サハラ難民キャンプを訪問したパン前国連事務総長は、「こんな酷い難民生活に40年間も耐えてきた西サハラの人々に驚嘆するとともに、もうこれ以上、この人々を待たせるわけにはいかない」と、感極まった記者会見をしたくせに、<この人々を待たせたまま>国連から逃げていきました。 西サハラ難民キャンプを訪れた人は必ず、「何とかしてあげなくては、、」と思うのですが、帰国するとケロッと忘れてしまうのです。 建国記念日前夜にアメリカの議員団が難民キャンプを訪れ、元国連事務総長と同じ言葉を発しました。
頼むよ!忘れないでその言葉をアメリカまで持って帰ってね!!
(1) 国連安保理で西サハラが、ちょっとだけ話題に:
2017年2月22日、国連安保理は、暗礁に乗り上げた西サハラ和平交渉とゲルガラト緩衝地帯でのモロッコ軍事挑発を取り上げたようだ? 安保理事国の多数は、両当事者の直接交渉が中断していることに深い懸念を示したそうだ? 非公開で行われた西サハラ問題の審議のほどは、僅かに漏れてくる情報から推測するしかない。同日の記者会見でも報道官から西サハラ審議の報告はなかった。2,3の記者から、「モロッコが追放した国連PKO・MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の文民要員は職場復帰したのか?」など、具体的なモロッコの妨害状況に関する質問が出た。が、国連報道官は、「我々は国連PKO機能が回復するように努力している、、」と、逃げた。
(2) 国連事務総長と西サハラ代表の会談:
2017年2月24日、アハマド・ブハリ西サハラ国連代表がブラヒム・ガリRASD大統領の緊急親書を携えて、アントニオ・グテーレス新国連事務総長を表敬訪問した。その親書では、モロッコによる飽くなき、和平交渉妨害とゲルガラト緩衝地帯での軍事挑発と、さらにモロッコ占領地・西サハラに於ける西サハラ住民に対するモロッコ占領当局の迫害が、強い調子で非難されていた。
(3) アメリカ上下両院議員団の西サハラ難民キャンプ訪問:
2017年2月26日、アメリカ上下両院議員代表団の10人が西サハラ難民キャンプを訪問し、自らの目で41年になる西サハラ難民の状況を視察した。ジェームス・インフォフェ共和党上院議員、ランディ・ヒュルツグレン共和党下院議員、議会人権委員会のトム・ラントス委員などが率いる一行は、アメリカ・アフリカ検証ツアーの一環として西サハラ難民キャンプに立ち寄った。西サハラ難民大統領に会い、難民の聞き取り調査をした一行は、41年難民の真摯な言動に感銘を受けたという。「我々は西サハラ人の民族自決権を支持している。長期にわたる西サハラ紛争に終止符を打つため、西サハラ住民投票実現を目指して、交渉再開をトランプ政権と協力して進めていきたい」と、アメリカ議員団は語った。そして、「我々は、必ず西サハラの人々の苦渋を、トランプと政権担当者に伝える」と、西サハラ難民に約束した。ホントだね!
(4) 第41回RASD(サハラ・アラブ民主共和国)建国記念日:
2017年2月27日の第41回RASD(サハラ・アラブ民主共和国)建国記念日に向け、
パナマ大統領ホアン・カリオス・ヴェレラ・ロドリゲス、メキシコ大統領ペナ・ニエト、AU委員会議長で前AU事務総長のンコサザナ・ドラミニ・ズマ、アルジェリア大統領アブデルアジズ・ブーテフリカなどが、西サハラ難民政府に祝辞を送った。(先着順)
キューバ大統領ラウル・カストロはメールや手紙ではなく、西サハラのキューバ大使ラウル・バルザガ・ナバスを長とする友好使節団を、西サハラ難民キャンプに送った。キューバは1980年1月22日にRASD(サハラ・アラブ民主共和国)を承認し、以来、両国は大使を交換している。
建国記念祭で西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリは、「モロッコ王国が突然、ゲルゲラト緩衝地帯からモロッコ兵を遠ざけると発表した。が、数メートル後退させただけだ。モロッコ王国のトリックに騙されてはいけない」と、演説した。
2016年8月11日、モロッコは1991年の西サハラとの国連停戦協定を破って、ゲルゲラト国連緩衝地帯にモロッコ兵を侵攻させました。 BBC英国TVが2017年2月27日にモロッコ兵のチョットだけ後退を報道しました。 そのうえで、「モロッコ兵後退は、モロッコ国王モハンマドⅥ世の個人的な独断によると言われている。彼をその気にさせたのは、新国連事務総長アントニオ・グテーレスが電話で撤退を促したからでは??」と、言及しています。
グテーレスさん、お願いです。 トランプさんもお願いです。 これ以上、西サハラ難民との約束を延ばさないでください。
西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年2月28日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6539:170228〕