2017年10月6日午後3時(ニューヨーク時間)に再開された国連脱植民地化第4委員会は、冒頭から荒れました。 品のいいアルジェリアの外交官が、「国連ニュースセンターが西サハラ植民地討議に関して、フェークニュースを流した」と、唾を飛ばし顔を真っ赤にして第4委員会と担当官を怒鳴りつけたのです。 「何事ならん?」と、すぐに調べました。 誰が国連ニュースセンターに侵入しフェークニュースを流したのか? 第4委員会の議長と委員には分かっているそうですが、証拠があがるまで正式発表を控えています。 推測発表をしたら、新たなフェークニュースを誘導することになりかねない、、そうなれば、泥仕合で国連の威信に傷がつきます。 【西サハラ最新情報】229では、時系列でこれまで起こったニュースをお伝えします。
(1) ブハリ西サハラ難民政府国連代表がグテーレス国連事務総長に面会:
2017年10月5日、ブハリ・アハマド西サハラ難民政府国連代表がアントニオ・グテーレス国連事務総長にニューヨーク国連本部で会った。ブハリ代表はグテーレス国連事務総長に、「一日も早く、国際法に違反するモロッコの西サハラ占領を止めさせるように。モロッコ占領地・西サハラでの西サハラ住民に対する虐待と人権侵害を、止めさせるように、国連管理の西サハラでモロッコが続けている無許可非合法生産活動を止めさせるように、」と申し入れた。そして、ブラヒム・ガリ西サハラ難民政府大統領の親書を手渡し、諸悪の根源はモロッコによる植民地支配にあることを強調した。そして、国連が約束した国連西サハラ住民投票を行使し、西サハラ住民の民族自決権を回復して欲しいと訴えた。
2917年10月9日、アフリカ議会開会式で演説するため、南アフリカに降り立ったガリ西サハラ難民政府大統領
(2) アメリカ下院がUN安保理を急かせる:
10月5日、アメリカ下院が、担当委員会を通じてアメリカ国連代表部に、「2017年4月に国連安保理で採択された西サハラ2351決議を、速やかに実行するように」と、呼びかけた。西サハラ問題に関する討論でアメリカ下院は、第3綱領を鑑みると、MINURSO(国連西サハラ住民投票)の代表団と担当委員会の指導の下で西サハラ人民を援助することは、妥当な外交政策だ」と、している。アメリカ下院は常に、西サハラ問題はモロッコと全く切り離して扱い、西サハラは国際社会の見解に従って、国連管轄の地域と認識している。
(3) カナリア諸島からの訪問団:
10月7日、スペインのカナリア諸島から、49人からなる代表団がアルジェリアにある西サハラ難民キャンプに到着した。一行はカナリア諸島の州政府関係者や民間の西サハラ支援団体で構成され、10月10日まで西サハラ難民キャンプに滞在し、難民政府の要人を始め様々な難民と交流する。
カナリア諸島出身で、西サハラ難民を支援するスペインのアカデミー賞役者ハビエル・バルデムは参加していない。彼に会いたい人は2017年公開の<パイレーツ・オブ・カリビアンー最後の海賊>をご覧ください。 難破船と化したスペイン軍艦「サイレントメアリー号」の生ける亡霊艦長<海の処刑人>が、バルデムです。
(4) 国連脱植民地化第四委員会第7回目会議:
2017年10月6日、第72回国連総会で脱植民地化第四委員会の討論が行われた。現在、世界には国連が規定する植民地は17か所あり、そのうちにはグアムのようにアメリカの植民地がいいという住民もいる。住民自身が独立を希望する地域の筆頭に挙げられるのが、アフリカ最後の植民地・西サハラである。一方、西サハラを植民地支配するモロッコは、西サハラはモロッコ領土だと主張している。今年の脱植民地化討論は、モロッコ占領地・西サハラに集中した。
午前の一般討論では、約30か国が所信表明をした。その中で南アフリカ、モーリシャス、ナイジェリア、モザンビーク、ウガンダ、セント・ルシア、レソト、ジンバブエ、ケニアなどは、国連が提案した西サハラ民族自決権に基ずく<国連西サハラ住民投票>の早期施行を主張した。ナイジェリアは住民投票の日程表を国連安保理に迫った。フランスやモロッコから経済援助を受けているセネガルなど数国が、モロッコの西サハラ領有を支持した。
この日の午後、モハメド・ベッセデク、アルジェリア国連副大使が国連ニュースセンターが流した西サハラの請願者たちに関する誹謗中傷フェークニュースを告発した。 国連第4委員会議長と国連事務総長事務局は訂正と陳謝をし、フェークニュースの真相追及を約束した。ブハリ西サハラ難民政府国連代表を始めとする西サハラ支援の陳述は、モロッコの妨害にも拘わらず1時間に及んだ。モロッコ側の反支援陳述は僅か8分だった。
国連総会は第一委員会から第六委員会の6つの主要委員会で構成されています。 各委員会の主要議題は、第一委員会が軍縮・国際安全保障、第二委員会が経済・財政、第三委員会 が社会・人道・文化、第四委員会 が-特別政治・脱植民地化、第五委員会が 行政予算、第六委員会 が 法律、と、なっています。
国連脱植民地化第四委員会の総会陳述で涙を誘ったのは、西サハラ難民キャンプ出身の少女ファテイマの透明な声でした。 西サハラ民族衣装を着て眼鏡をかけたファテイマは、英語で「42イエース(イヤーズ・年)もパレンツ(ピアレンツ・両親)はキャンプで頑張っている、見にきて、、」と、参加国に呼びかけましたが、持ち時間の4分がきてカットされてしまいした。
彼女のお誘いに便乗したい方、ご連絡ください。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年10月9日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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