「権威者は権威に弱い」 モロッコの最高権威者モハンマドⅥ世国王は元ドイツ連邦大統領で国連事務総長西サハラ個人特使を、特使の要望通りに迎えました。 モロッコ最高権威者は、元アメリカ大使で前任の国連事務総長西サハラ個人特使を、5年半以上も謁見どころか、目もくれませんでした。 元ポルトガル首相で国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、人道主義者でもあり巧妙な人操主義者でもあります。 「権威に弱い権威者」の虚栄心をよくご存じです。 正式就任後わずか一カ月、元ドイツ連邦大統領でホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使の初西サハラ地域視察成果にご注目!
(1) モロッコ国王の謁見(CORCAS王立サハラ問題諮問評議会):
2017年10月17日にモロッコ王国のコルカス(CORCAS王立サハラ問題諮問評議会)が、「10月16日と17日にラバトで、ナセル・ブリタ外交国際協力大臣が、ホルスト・ケーラー国連事務総長サハラ個人特使と作業会議を行った。モロッコ外務省によると、オマル・ヒラル国連モロッコ大使とダビド・シャウク、ケーラー氏の特別顧問も同席したそうだ」さらに10月18日、コルカスは、「前日、モハンマドⅥ世国王陛下がラバト王宮で、地域視察の一環としてモロッコ訪問中のホルスト・ケーラー国連事務総長モロッコ・サハラ個人特使を、御謁見された」との、王宮発表を公表した。
10月19日の国連ヌーン・プレス・ブリーフィングでモロッコ関係者と思しきジャーナリストが、国王と個人特使の会談内容を質問したが、報道官は視察後に発表すると答えた。
(2) 西サハラ難民キャンプ視察(SPSサハラ・プレス・サービス):
10月18日、SPS(サハラ・プレス・サービス)がホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行の西サハラ難民キャンプ視察模様を伝えた。SPSによると、「ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行は、アウセルド難民キャンプを視察し、キャンプ長を始め老若男女や青少年たちと会談した」とのことだ。難民の諸団体と対談した後、ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行は、AFAPRADESA(西サハラ政治囚と行方不明者の家族を助ける会)事務局を訪れた。事務局長は一行に、モロッコ占領当局の暴挙とモロッコ占領下で虐められている西サハラ住民の惨状を訴えた。さらにケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行はラボニセンターにあるゲスト・ハウスで、西サハラ側の国連交渉代表団と会談した。ハトリ・アドウ団長は、「個人特使はモロッコの国際法非整合など、直面する諸問題の解決に向けて全面的に尽力する。私は楽観視している」と語ったことを、明らかにした。そのうえで団長は、「西サハラ交渉代表団は、未だに未解決のまま放置されている脱植民地問題を変わることなく主張していくと、国連事務総長個人特使に強調した」と、発表した。
10月19日、ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行はブラヒム・ガリ西サハラ難民政府大統領兼ポリサリオ戦線事務総長と会談した。大統領は、「ダイレクトで前向きで意義深い会談だった。国連の役割は、アフリカ最後の植民地・西サハラの脱植民地化にある。モロッコが提案している妥協案には断固として反対する。ケーラー氏が国連事務総長や国連安保理、特に五か国国連安保理常任理事国の支持を得ることを願ってやまない」との声明を出した。
ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使を迎えたアウセルド西サハラ難民キャンプの女県知事
(3) 元南スーダン独大使がケーラー特使の助っ人に:
ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行の中で、常に特使の隣に座ってメモを取っていたダビド・シュウェイク元ドイツ大使に注目したい。ダビド大使は、超ベテランのドイツ外交官である。ベトナムやコンゴ民主共和国などのドイツ大使館に務め、2013年から2015年までは、内戦の南スーダンで大使に就任していた。日本は2013年5月31日に南スーダンに大使館を開設し、日本の自衛隊は2012年1月から2017年5月までPKO国連平和維持活動に参加していた。ちょうど、ダビド大使の南スーダン就任時期と重なる。大使は駐ワシントン・ドイツ大使館政治顧問も務めていた。
10月20日、グテーレス国連事務総長はホワイトハウスに足を運び、UNESCO脱退や国連分担金削減を公言するトランプ・アメリカ大統領に、国連に対する米予算削減を思い留まるよう直談判した。グテーレス国連事務総長は、PKOの縮小や効率的で経済的な国連改革を約束したとか?、、アメリカ国務省は国連に対して、25年間も無駄遣いをしているPKO・MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)をさっさと作動させるように催促している。アメリカ通のダビド元大使がどう動くのか?乞うご期待、、
ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使一行は10月21日にアルジェリア外務大臣に会った。その外務大臣は10月19日に経済フォーラムで、「モロッコの麻薬ハシッシによる現金収入を、モロッコ国内銀行がマネーロンダリングをして、サハラ以南のアフリカに流している。モロッコ王国航空は麻薬ハシッシを密輸している」と、暴露した。大問題だ!!
フランスの外務大臣はモロッコを訪れ、テロ問題、経済問題、アフリカ問題、西サハラ問題などをモロッコ王国と討議したと、MWN(モロッコ世界ニュース)が発表しました。 <討議>というより、<指導》という言葉のほうが当たっているようです。
モロッコの旧宗主国フランスは,フランコフォン(フランス語を喋る共同体)の西アフリカ旧フランス植民地にモロッコ領有権支持を指示し、この地域の戦闘をモロッコに押し付けようとしています。 フランス外務大臣は西サハラ問題に関して、モロッコ支配下での地方自治州案を支持しているようです。ドイツ連邦元大統領が 西サハラ問題を国連憲章に添って公明正大に解決していこうとすると、必然的にフランスVSドイツとあいなります。 フランスとドイツはカタルーニヤ住民投票を共に拒否し、イギリス離脱後のEUをなんとか維持していこうとガッチリ連帯しているように見えます。 が、元々、歴史的に仲が悪いのです。
ドイツと西サハラVSフランスとモロッコの争いは、<武器なき戦い>でお願いします。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年10月23日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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