SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】243 難民の救世主・ドイツ首相メルケル復活

 ドイツ首相メルケルの笑顔がようやく戻ってきました。 昨年9月の総選挙後、なかなか政権樹立がままならず眉間にしわを寄せたメルケル首相を見るのは、移民難民流民にとって辛いものがありました。 移民難民流民虐待を救う女神は、メルケル首相です。 2018年1月12日、保守系、キリスト教民主・社会同盟と第2党の中道左派、社会民主党が政権樹立をめぐる予備交渉で大枠合意し、大連立継続に向けためどが立ったようです。 なかんずくホッと胸をなでおろしたのは、同じ党の同志でもある元ドイツ大統領ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使です。 

(1) EUCJ(EU司法裁判所)MWNとSPSの報道
  MWN(モロッコ世界ニュース)が、「1月10日、CJEU(EU司法裁判所)がEU法務官による、EU(ヨーロッパ連合)とモロッコの漁業協定(2016年12月21日締結)は無効だとの調査結果を公表した。その理由は、協定が西サハラとその領海を含んでいるからだそうだ」と、報道した。さらにMWNは、「件のEU法務官メルチオ・ワスレトは、EUは、西サハラ人の民族自決権を侵害するモロッコの違法行為が巻き起こす紛争を認識し、職務怠慢を反省しなければならない」とEUを非難している。さらに法務官は、「EUは西サハラ住民に利さない天然資源の盗掘に歯止めをかける法を設定すべきだ。EUによる西サハラ領海内での漁業操業は、西サハラ住民の権利を侵害していると、法務官は警告した」とMWNは言及している。この記事は、西サハラ難民政府側の記事ではなく、モロッコ側のものだ。
 メルチオ・ワスレト法務官の調査結果は、SPS(サハラ・プレス・サービス)西サハラ通信でも同時に同様の内容で、発表された。MWNと違うのは、SPSが西サハラ難民大統領のEUに対する強い抗議を伝えていたことだ。
1月9日の国連ヌーン・プレス・ブリーフィングでステファン報道官は国連事務総長が西サハラ難民政府大統領に書簡を送っていたことを白状した。1月11のブリーフィングでリー記者が、「書簡にEU司法裁判所によるEUモロッコ漁業協定糾弾の件が含まれていたのではないか?]と、問いただしたところ報道官は、「私的書簡なので内容は知らない」と、逃げた。

(2) UN事務総長個人特使はEUに助けを求めたけど?、、:
ドイツのメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟と中道左派、社会民主党が1月12日に合同記者会見をし、連立政権に向けて基本合意に達したことを発表した。難民問題でも、メルケルが求める年間受け入れ上限を維持することになった。ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使はメルケル首相のキリスト教民主・社会同盟に属している。UNが仕切りあぐねている西サハラ問題の仲介を、元ドイツ大統領ケーラー国連事務総長個人特使はEUに打診した。EU副大統領で欧州委員会副委員長兼 欧州連合外務・安全保障政策上級代表のフェデリカ・モゲリ―ニにも直接会って相談した。ケーラーの頼みは、EUの牽引役であるメルケル首相だ。が、期待できない。なぜなら、もう一人のEU牽引者がフランソワ・マクロン仏大統領だからだ。マクロン仏大統領はこれまでの大統領を継いで、モロッコを指導し支配している。フランスのモロッコ支援はアメリカのイスラエル支援に匹敵する。

(3)元ドイツ大統領ホルスト・ケーラー国連特使がAU(アフリカ連合)に頭下げた:
 MWN(モロコ世界ニュース)が、「1月12日、ナセル・ブリタ モロッコ外務国際協力大臣とアブデルワフィ・ラフテイト内務大臣が、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)トップで国連事務総長特別代表コリン・スチュワートの表敬訪問を許した」と、発表した。   
一方、同じ1月12日に、ホルスト・ケーラー国連事務総長個人特使はアフリカのエチオピアに飛び、アジスアベバAU(アフリカ連合)本部で、AU事務総長ムーサ―・ファキ・マハマトと2018年AU(アフリカ連合)議長国ルワンダの大統領ポール・カガメに面会した。ケーラーは暗礁に乗り上げている西サハラ和平解決に向け、AU(アフリカ連合)の助けを求めた。元アフリカ宗主国の一つが元被支配国に頭を下げたのだ。
さらに一方、同じ1月12日にはアメリカ大統領に、AU(アフリカ連合)55か国が謝罪を求めた。アメリカ大統領トランプがアフリカや南米の国を「野糞の国」的な表現で侮辱したからだ。元ご主人が奴隷にどやしつけられた。これは、まさに歴史的ターニングポイントだ!

AUアフリカ連合本部を訪れたホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使と右にムーサ―AU事務総長、左にカガメAU2018年議長

(4)トランプはオバマがお嫌い?:
 2018年1月、アメリカ国務省儀典局が、モロッコ国王がオバマ大統領在任中にオバマに貢いだ品目を公表した。2016年には、数百万ドルに上った。例えば、ダイアモンドとルビーを散りばめた金のブローチ、ダイヤモンドのイヤリング、ダイヤモンドとエメラルドで飾った金のイヤリングなど、どれもこれも最高に豪華なものだ。その他、キューバ政府直送の一本2,000ドルの葉巻やラム酒などが列挙されている。
 1月11日アメリカ大統領トランプは、2月に予定していた英国訪問を取りやめたと言った。トランプは、新築したロンドンの在英国米国大使館の落成式に出席するはずだった。「オバマ政府はロンドンの一等地をピーナッツ(超安値)で売り渡し、12億ドルで三等地に新大使館を作った。. 私の感覚(不動産感覚?)が許さない。納得できない落成式のテープカットをやる気はない」と、ツイートしている。
 要は、トランプはオバマが嫌いなんだ。だけど、オバマは前アメリカ大統領で立派なアメリカ人だ。偏執的で病的な毛嫌いを続けていたら、オバマからまとめてきついしっぺ返しを喰らうよ、、

「ミーツー!(私もよ)」と、政権維持のめどがついたドイツ首相メルケルが、欠席を噂されていたダボス経済フォーラムへの出席を決めました。 約60か国の首脳が参加するダボス経済フォーラムは1月23日から26日まで開かれ、アメリカ大統領トランプは25日に到着予定です。 24日にドイツ首相メルケルとフランス首相マクロンがデュエット演説をやり、アメリカ大統領トランプの出鼻をくじく算段をしています。
移民難民流民に心を配るメルケル首相、、応援してま~す!
 西サハラ難民をお忘れなく!!

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年1月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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