20年後の香港行政長官は民選または協議選?

2019年10月3日,小生は「20年後の香港行政長官は民選または協議選?ー香港問題の専門家にご教示願いたい」と題して本サイトちきゅう座に投稿させていただいた。すると早速,元九龍勤務者様より,「民選または協議選」に関して倉田氏の,次のような論考をご案内をいただいた。倉田 徹氏の論考『返還後 20 年の香港政治:中国と香港の巨大な変化』。
事実の確認をゆっくりさせていただくとしても,本論考は読み易く明快であり,中立的に返還20年後の香港の状況を的確に描いているように思える。九龍勤務者並びに倉田氏にお礼を申し上げたい。
さて本論考を読んで分かったことは次のことである;
-1997年の香港返還に関する英中政府の声明通り,行政長官の選出方式は,民選または協議選であった。しかし中央政府は2007年,14年の行政長官選出を民選にした。しかし民選にならなかった。-
したがってジャ-ナリスト田端光永氏らの「約束された民選」指摘(10月2日)はある意味で正しい。しかし香港の行政長官選出を中央(北京)政府が決定するというのは,高度な自治という言葉からするとおかしい。矛盾する。なぜ中央が地方(香港)に口出しするのか。香港のことは香港で決めればいいのではないのか。
もし中央政府が香港に口出しできるとすれば,逆に約束したとされる民選を取り消すか,延期しても何ら問題はない。なぜなら口出しできるのだから。
本論考が指摘するように,民選を約束したのが香港政庁ではなく,中央政府だったとすれば,香港に関する全ての問題は,中国の内政問題である。外国政府がああだこうだと口出しできる問題ではない。
したがって,暴徒化したデモ青年たちが英米の国旗を棚引かせた理由がわかる。後にカナダや日本など旗も棚引いたようだが,中国共産党,中央政府,北京政府の旗は一つもなかったのは反愛国の象徴=旗を棚引かせようとしたからである。その意味で筋が通っている。
しかし反愛国的であれば法輪功と同じく反乱罪あるいは反逆罪の対象である。中央政府が強権をもって対応しても何ら問題はない。
しかも香港の行政長官は「愛国」の中国人でなければならない。とすれば民選であれ協議選であれ,反愛国の人物が長官に選ばれれば,中央政府はこれを拒絶するだろう。
繰り返すが暴徒デモ青年たちは中央政府が決めた民選を,また取り消したとしても中央政府の決定に従わねばならない。もちろん反対はできる。しかし暴徒(mobs)化してはならない。
中央(北京)政府の間違いは,2014年の黄色の雨傘運動騒乱がようやく下火になった今年に「引き渡し条例」改正を香港政庁に要求したことである。要求するのは内政の問題であって,国連以外に他国や外国人が文句言えることではないが,「なぜ今なのか」。その答えはすでに「中国擁護のわけ XXX」で出している。中米加の問題である。
倉田徹氏の論考『返還後 20 年の香港政治:中国と香港の巨大な変化』を読んで以上のような感想を抱く。