let’s Join Hands 1月29日 添付3点 甲状腺がん裁判 立ち上がっ若者 

◎福島原発事故のあと、少年時代に福島に住んでいて甲状腺がんにかかった6人の勇気ある提訴の続報です。小寺隆幸さん(チェルノブイリ子ども基金)からの「報告と訴え」を本日はそのまま紹介させていただきます。きわめて重要な歴史的裁判になると思いつつ下記youtubeを見、応援したいと思いました。(本とおたよりの紹介は、日を改めてさせていただきます)

 

皆様 福島第一原発事故の被ばくで甲状腺がんになり、手術を繰り返したり過酷な放射線治療を受けた事故当時6歳から16歳の子どもだった6人が東電を提訴しました。

そのことについては1月19日に記者会見が行われ、NHKや各紙が報じ、ご存知の方も多いと思います。東京新聞が最も詳しく、現在17歳の子どもの思いを二つの記事で紹介していますのでお読みください。https://www.tokyo-np.co.jp/article/154959

https://www.tokyo-np.co.jp/article/154986

<ここまでは、一度お送りしましたのでお読みになった方もおられるかと思います 江口>

 

昨日、1月27日午後1時に東京地裁に提訴し、2時から衆議院議員会館で記者会見が、そして4時から提訴報告集会が行われました。下記のYoutubeで2時からの様子を視ることができます。

(全部で3時間半もありますが、ビデオの5分後から1時間20分までが記者会見、

その後40分の空白時間があり、2時間後から提訴集会になります。

なお記者会見では原告が一名、匿名で参加し記者の質問にも答えています。)

https://youtu.be/jnVKczm_9rc?t=20

 

私自身は4時からの集会に参加しました。原告の方々は参加していませんでしたが、音声メッセージが流されました。また一人の原告の母親が発言されました。井戸弁護士、海渡弁護士ら各弁護士の決意のあと、川田龍平、福島みずほ、山本太郎、近藤昭一、阿部知子氏らの国会議員も発言しました。

開場で配られたチラシと19日の記者会見資料を添付します。その中に6名の病状や声が記されていますのでご覧ください。

 

訴訟費用1000万円を目標にしたクラウドファンディングが始まっています。

https://readyfor.jp/projects/311supportnetwork

BBCは次のように世界に報じています

Fukushima nuclear disaster: Japanese youth sue over cancer diagnoses

https://www.bbc.com/news/world-australia-60150733

 

健康への不安、差別・中傷されることへの怖れを感じながらも、思い切って告訴

した17歳から27歳の勇気ある6名を孤立させることなく、裁判の勝利まで、そし

て甲状腺がんの子どもたちが安心して暮らせるための制度の実現まで、支えてい

くことが、原発事故を防ぐことができなかった私たちの責任だと思っています。

https://chikyuza.net/wp-content/uploads/2022/01/54c6e9834842ed828dd5e403b834dd29.pdf

「311子ども甲状腺がん裁判」記者会見資料

東京電力福島第一原子力発電所事故当時、福島県内に居住し、現在、福島県、東京都、神奈川県在住の男女6人が、事故に伴う放射線被ばくによって甲状腺がんを発症したとして、東京電力に損害賠償を求めるもの。

原告は事故当時6歳から16歳(現在17歳〜27歳)。6人のうち4人は、再発に伴う手術で甲状腺を全摘し、生涯、ホルモン薬を服用しなければならない状態となっている。原告には、4回もの手術を受けた患者や、遠隔転移している患者もおり、進路や就業に困難が生じている。

原発事故の放射線被ばくによる損害について、公衆(作業員以外)が同社を訴える集団訴訟は、本訴訟が初となる。

 

1、訴訟の概要

(1)裁判所:東京地方裁判所

(2)原告(別紙参照)

・東京電力福島原発事故後、甲状腺がん手術を受けた17歳〜27歳の男女6人

・事故当時年齢:6歳(幼稚園年長)〜16歳(高校1年生)

・住所:東京都・神奈川県・福島県(事故当時は全て福島県)

・病状:片葉切除2人、再発・全摘患者4人、RI治療済みまたは予定4人、肺転移1人。

(3)被告:東京電力ホールディングス

(4)請求金額:6億1600万円(5億6000万円+弁護士費用5600万円)

・再発・全摘の原告一人あたり1億円、片葉切除の原告8000万円(弁護士費用1割)

 

2、請求原因

(1) 根拠法令:原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)第3条第1項

(2) 本訴訟の主張のポイント

① 原発事故が起こったこと

② 原発事故の責任が東電にあること

③ 原告が損害を被ったこと(甲状腺がんに罹ったこと)

④ 事故が起こったこと(①)と原告が損害を被ったこと(③)の因果関係

⑤ 損害額

このうち、④が最大の争点になる。

 

3、因果関係論(総論)

小児甲状腺がんは100万人に2人程度の希少ながんであるが、チェルノブイリ原発事故後に多発し、IAEAなどの国際機関も事故との因果関係を認めている。このため、国は福島原発事故後、当時18歳以下だった子ども38万人を対象に甲状腺スクリーニング検査を開始し、現在までに300人近い子どもが甲状腺がんと診断されている。これについて、国や福島県は、通常より数十倍多いとしながらも、福島原発事故による被ばく線量は、チェルノブイリと比べてはるかに低い等として、被ばくとの因果関係を否定。精密な検査により、治療の必要のないがんを多数見つけている「過剰診断」が起きているとの可能性を指摘する。

しかし、

① 原告らは全員相当量の被ばくをしたこと。

② 甲状腺がんの明らかな危険因子は放射線被ばくであること。

③ 原発事故後の福島で小児甲状腺がんが多発していること

④ 原告らは全員乳頭がんであること。(遺伝性が認められているのは髄様がんのみ。)

⑤ 原告らの甲状腺がんは進行して手術、再手術に至ったのであって、ラテントがんではないこと。

などから、原告が甲状腺がんを発症したのは、東京電力の事故が原因である蓋然性が極めて高い。

したがって、被告側で、原告らのがんが被ばく以外の原因によるものであることを立証しない限り、原告らのがんの原因は事故による被ばくであると認められるべきである。

なお、一般に訴訟上の因果関係の立証は「特定の事実が特定の結果発生を招いた高度の蓋然性」を証明することとされているが、公害訴訟の判決では、原告住民側が公害物質によって健康被害を生じた蓋然性を証明すれば、被告企業側がそれ以外の原因を証明しない限り、因果関係を認めるという判断が積み重ねられてきた。本件においても、同様の判断枠組みを主張することになる。

 

4、原告の状況(各論)

(原告の特定は人権侵害を生む恐れがあるため、非公表です。)

 

5、請求額(損害論)

原告らは、いずれも被ばくによって甲状腺がんを発症し、2名が片葉切除、4名が全摘となっている。しかし、損害はそれだけではなく、甲状腺を全摘した場合には、生涯ホルモン薬の投与を続けなければならず、再発ないし転移の危険に常に脅かされながら生活することになる。

また、いずれの原告も10歳代で発病し、進学や就職、結婚、出産などに困難を来し、将来の夢を描くこと自体を諦めてしまった者もいる。原告らが奪われたのは、ごく普通の人生そのものである。

本訴訟では、基本的に個々の原告ごとの個別の損害に立ち入らない包括一律請求として請求するが、上記のような差異を考慮し、再発・全摘の原告については1億円、片葉切除の原告については8000万円を損害と考えている。ただし、片葉切除の原告についても、今後再発した場合には、請求を拡張する可能性がある。

金額の根拠として、小児期ないし青年期にがんにり患し、人生の大部分を再発に怯えながらがん患者として生きていくことを余儀なくされたこと、平均年収500万円×45年稼働=2億2500万円程度の生涯賃金が見込まれるところ、その相当割合を失うであろうこと、外見的にも手術痕などの後遺障害が遺っていること、本人及び家族の苦しみが大きいこと、医療保険への加入ができず、多大な医療費がかかる可能性があること、住宅ローンも組めなくなること、事故には東電に重大な過失があり、その後も東電は原発事故被災者に対して不誠実な態度をとってきたことなどを考慮して決定している。

交通事故に伴う損害賠償よりも高額となっているが、それは損害の実態が上記のようなものである以上当然であり、被爆者援護法に基づいて支給される手当(月額14万円強)と比較して高額ではない。

 

6、本訴訟のポイント(まとめ)

(1)被ばくと病気との間に因果関係が認められるかどうかが主たる争点。

(2)原告らが事故によって相当量の被ばくをしている以上、被告側において原告らのがんが被ばく以外の原因によるものであることを立証すべき。

(3)被ばくによって未成年ががんを発症するという深刻な損害が生じている。

(4)内部被ばくをめぐる訴訟としては、広島の「黒い雨」裁判および長崎被爆地域拡大訴訟と類似している。

(5)原発事故と甲状腺がんの因果関係を扱う本邦初の裁判。

(6)本訴訟が、福島原発事故の被害をめぐり、他の避難者訴訟(主に区域外避難の損害論)に影響を与える可能性がある。

 

7、弁護団

福島原発事故後、東電刑事裁判や東電株主代表訴訟において、東電の責任を追及してきた弁護士のほか、子ども被ばくや避難基準をめぐる訴訟に関与した弁護士を中心とした17人で構成。弁護団長は、金沢地裁裁判長時代に「志賀原発運転差止訴訟」で差止め判断をし、滋賀県湖東病院事件の再審裁判で西山美香さんの無罪判決を勝ち取った井戸謙一弁護士。

◉弁護団長

・井戸謙一(元裁判官、子ども脱被ばく裁判、湖東記念病院再審事件。原発差止訴訟)

◉副団長

・河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表ほか、平和相互銀行事件等、映画監督)

・海渡雄一(脱原発弁護団全国連絡会共同代表、東電株主代表訴訟、東電刑事裁判被害者代理人、原発運転差止訴訟等)

◉事務局長

・大河陽子(東電株主代表訴訟、東電刑事裁判被害者代理人、原発運転差止訴訟等)

◉総論班(因果関係論)

・田辺保雄(薬害エイズ事件、薬害肝炎事件、原発避難者京都訴訟、子ども脱ひばく裁判)

・崔信義(子ども脱被ばく裁判、放射線取扱主任者資格等取得)

・中野宏典(大間原発差止市民訴訟、伊方原発差止訴訟、東海第二原発差止訴訟など全国の脱原発訴訟)

◉各論班(原告担当)

・北村賢二郎(東電刑事裁判被害者代理人ほか)

・柳原敏夫(遺伝子組換えイネ野外実験差止訴訟、子ども脱被ばく裁判)

・光前幸一(元裁判官、子ども脱被ばく裁判)

・古川健三(子ども脱被ばく裁判・安保法制違憲訴訟、種子法廃止違憲訴訟)

・福田健治(福島の子どもを守る法律家ネットワーク、南相避難20mSv撤回訴訟)

・斎藤悠貴(福島の子どもを守る法律家ネットワーク、南相避難20mSv撤回訴訟)

・熊澤美帆(結婚の自由をすべての人に訴訟、福島の子どもを守る法律家ネットワーク)

・畠山瑠璃(福島の子どもを守る法律家ネットワーク、南相馬避難勧奨地点訴訟)

・河潤美(労働事件、ヘイトスピーチ関係の事件)

・只野靖(浜岡原発差止訴訟、東海第二原発差止訴訟、東電株主代表訴訟ほか)

 

7、提訴期日予定

1月27日 木曜日

13時 入廷行進 東京地方裁判所正門前

16時 支援集会 衆議院第一議院会館多目的ホール(終了17時半めど)

 

311子ども甲状腺がん裁判事務局広報

プレス担当:北村賢二郎弁護士

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