「パレスチナをイスラエル占領から解放!」「ガザ戦争反対!」「イスラエル・ジェノサイドを助ける武器をアメリカは送るな!」
アメリカ・ニューヨークのコロンビア大学では、校庭にテントを張って泊りがけでパレスチナ支援のデモを続けていました。 4月24日、マイク・ジョンソン米下院議長がやってきて、「学校の秩序を維持できないネマト・シャフィク学長は首だ!」と叫びました。
そして、4月30日の夜、約500人の警察隊が校庭に乱入し、300人以上を逮捕しました。
CNNテレビなどが、4月18日以降、全米の大学であわせて2000人以上が逮捕されたと報じました。 「全員釈放!!」と叫ぶ学生の声が、全米を包んでいます。
① ホワイトハウス記者会の豪華晩餐会:
ニューヨークに本拠を置くCPJ(ジャーナリスト保護委員会)が、ガザ戦争勃発以降、パレスチナ人92人を含む少なくとも97人のジャーナリストが殺害されたと報告している。
約25人のパレスチナ人ジャーナリストが、ホワイトハウス特派員協会の宴会のボイコットを呼びかける公開書簡を、アメリカ人の同僚ジャーナリストたちに送った。書簡には、「君には、権力に対して真実を語り、ジャーナリズムの真義を守るという独自の責任があるはずだ、、恐怖や職業上の配慮で、沈黙しているのは容認できない。ガザのジャーナリストは、拘束され、拷問され、殺害され続けている」と、書かれていた。公開書簡には、以前、バイデンに即時停戦を直訴したことがあるアハメド・シハブ・エルデイン記者も、ウィーンから参加した。
そんな訴えには耳も課さず、4月27日にワシントンのヒルトン・ホテルで、毎年恒例の<ホワイトハウス>特派員協会の宴会は開かれた。車を降り長いドレスを地面に引きずって会場に向かう招待客たちの歩道は警備員で固められていたが、バリケードを挟んで豪華宴会に反対する反戦団体<コード・ピンク>などがシュプレヒコールを浴びせた。「ガザの子供たちは、餓死しているのだ!豪華晩餐会反対!!「ガザの子供たちを殺すアメリカのイスラエル戦争援助反対!」「幼児殺しバイデンは恥をしれ!」と、手書きのプラカードを掲げたり、血染めのシャツを着て<ダイイン(死んだふり)>をしたりして、<セレブ>と称される招待客にアピールした。が、彼らは知らん顔、、
笑いを取るスピーチが必須とされるこの宴会で、バイデン大統領はトランプ前大統領をネタに笑いの薄い演説をしたが、ガザ戦争には触れなかった。
② ICC国際刑事裁判所がネタニヤフ戦争内閣閣僚を逮捕することは可能か?
2024年4月27日、アルジャジーラを始めとする各国マスコミが、「ICC国際刑事裁判所は、ガザ地区と被占領ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの活動を調査しており、ネタニヤフ・イスラエル首相や他のイスラエル閣僚の逮捕状を発行する可能性がある」と報じた。ICC国際刑事裁判所所長には、日本の赤根智子裁判官が就任したばかりだ。
ネタニヤフ・イスラエル首相は、「(逮捕は)言語道断であり、危険な前例を作るだろう」と猛烈に怒り、イスラエル外務大臣は、「この国(イスラエル)は躊躇せず、戦い続ける」と主張した。またネタニヤフは、「国際刑事裁判所(ICC)でさえも、誰も軍事行動を止めることはない」と、強調した。しかし、米ニュースサイト・アクシオスによると、4月28日、ネタニヤフはバイデン米大統領に電話をし、ICC国際刑事裁判所がイスラエル政府関係者に逮捕状を出すのを阻止するよう泣きついたと報じている。
イスラエルはICC国際刑事裁判所に加盟していない。米国もロシアも中国も加盟していない。ICCが出す逮捕状は、プーチン大統領の例でも明らかなように、アメリカ次第だ。この米超大国は、自国の利益を守るために自国が加盟していないICC国債刑事裁判所をいじくるのだ。
アメリカ議会内では、ICC国際刑事裁判所がガザ地区で戦争犯罪を犯したとして、イスラエル高官らに逮捕状を発行した場合、これに報復措置をとるための法案が策定されている。米ニュースサイト・アクシオスは、ICC国際刑事裁判所の試みには米上下院双方から不満が表されており、法案には同裁判所の複数の職員に対する制裁も含まれる可能性があると、報道している。逮捕状の発行時期は、一か月後?数か月後?未定だ。
4月28日、「イスラエルがこの犯罪を犯すのを阻止できる唯一の国はアメリカだ」と、ラファに対する<小さな攻撃>(?)だけがパレスチナ人をガザ地区から避難させるだろう」と、サウジアラビアの首都リヤドで開催されたWEF(世界経済フォーラム)で演説したアッバス氏は、「<2007年>以来ハマスの支配下にあるガザ地区にパレスチナ自治政府が存在しない」とし、米国の介入を促した。バイデンとアッバスの間で、ハマス抹殺の密約があるようだ?
2007年とは、総選挙でファタハ(政治組織)に完勝したハマス(政治組織)をアッバスPLO議長が、民主的に選ばれたハニーヤ首相ともども、パレスチナ自治政府からガザに追い返した年だ。アッバスの敵は、パレスチナの敵イスラエルではなくハマスなのか?
4月28日、ハマスは、最新の提案(人質の解放と引き換えに、戦争を終わらせることを意図した数週間の平穏な期間)に対する回答をするため、カイロに代表を派遣した。
4月29日にサウジアラビアを訪問し、同国の実権を握るムハンマド皇太子や、アラブ首長国連邦、カタール、エジプト、ヨルダンなどの外相とも会談したブリンケン米国務長官は。4月30日、その報告のためイスラエルに入った。しかし、ネタニヤフ・イスラエル首相は、「停戦合意に関わらず、ラファ攻撃続行」と、繰り返した。ネタニヤフから<停戦>の文言を貰えなかったブリンケンは、「代替案もあるデヨ」と、耳打ちした。<代替案>とは?バイデンとアッバスの密約・<ラファの小さい戦争>でハマスを殲滅する案を指すのだろうか?アッバス氏はパレスチナの同胞ハマスを裏切るつもりなのか?
③ 再びパレスチナ支援活動最前線に戻ってきたサンチェス首相:
パレスチナ国家承認をヨーロッパ各地で促して帰国した4月24日、ペドロ・サンチェス・スペイン首相は、突然、「4月29日まで一切の公務を停止し、政治家を続けるかどうか熟考する」と、休職宣言をした。ベゴニア・ゴメス首相夫人が、4月22日に汚職で訴追されたからだ。裁判を起こしたのは<マノス・リンピアス(清潔な手)>と称する極右選挙運動団体だという。この団体は、スペインの左翼政党に標的を絞り、様々な誹謗中傷攻撃を続けている。
サンチェス首相の職務休止中に、右翼の野党が<サンチェス退陣デモ>を起こし、左翼の与党が数千人の<サンチェス支持デモ>を行った。支持デモには、極左のポデモス党やカタルーニャ民族主義者たちも参加した。ポデモスもカタルーニャも、西サハラの民族自決権と国連西サハラ人民投票を支持している。かって西サハラを国連総会演説で公式に支持していたサンチェスがモロッコ国王側に寝返らなかったら、西サハラの旗もデモの中に見られていたに違いない。サンチェスは西サハラを裏切った。
ベゴニア・ゴメス・サンチェス首相夫人がトランスジェンダーであることは、広く知られており、そんなことで右翼が騒いでいるわけではない。夫人が運営するIEアフリカセンターと呼ばれる財団と、航空会社エア・ヨーロッパを抱える観光グループグローバリアとの金銭関係を追及している。さらに、夫人と麻薬密輸組織との関係も問題にしている。
そして約束の4月29日、サンチェス氏は「首相としてより力強く続けると決意した」と続投を表明。夫人に対する汚職調査には根拠がなく、右翼の政敵が仕組んだものと片づけた。
西サハラ難民の人々は、サンチェス夫人の裁判沙汰よりアメリカの学生たちのパレスチナ支援運動に感動し、サンチェス夫妻と一緒に応援できるような明日がくるのを待っています。
バイデン米大統領は5月2日、コロンビア大学での抗議デモを批難し、デモの影響で政権の対イスラエル政策が変化することは「ない」と、断言しました。
同じ日にサンダース上院議員がCNNに、「バイデン氏にとってのベトナムになるかもしれない」と語り、バイデン政権はイスラエル支援を見直すべきだと進言しました。 サンダース上院議員は、ベトナム反戦運動が激しかった1968年に同じコロンビア大学のハミルトンホールで、多くの犠牲者を出したデモの実況をしました。
1968年、コロンビア大学ハミルトンホールでの学生ベトナム反戦デモ。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年5月4日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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