「耐え難い屈辱」と、西サハラの作家でジャーナリストのババ・ラルーシが、5月28日に「サンチェス、あんたは、、」とペドロ・サンチェス・スペイン首相にSNSで呼びかけました。
「スペインと二重基準:パレスチナ国家の承認と西サハラの抹殺!と題して、サレク・ムフタもSNSに投稿しました。
いずれも、西サハラ支持からモロッコ支持に寝返り、今が旬だからとパレスチナ支持にまわる、そんなサンチェス首相の節操のなさを糾弾しています。
① <平和・正義・一貫性>を唱えるサンチェス自身に一貫性皆無:
2018年9月27日、国連総会で初演説をするサンチェスは惚れ惚れするイイ男だった。
「スペインに残された未解決の歴史的国際事項が、二つある。一つめは英国とのジブラルタル問題で、二つ目は西サハラ問題だ。かって西サハラはスペインの植民地だった。スペインは国際社会に、西サハラの恒久的な平和解決を期待している。スペインは西サハラ人の民族自決権実現を目指す国連事務総長と国連事務総長個人特使の努力に敬意を払う」と語り、スペイン内戦の伝説的詩人レオン・フェリペの一節「一人で抱え込むな、一緒にやっていこう」を謳い、見せ場を作った。
2021年5月5日、イイ男サンチェスはモロッコの引き渡し要求を断り、スペインでコロナと癌の治療をしていたガリ西サハラ難民大統領を庇った。ガリはサンチェスに恩がある。
2022年3月18日、イイ男サンチェスは西サハラの人々を裏切り、ワルイ男になった。
「スペインはモロッコの西サハラ自治州案を現実的解決策だと考えている。半世紀近く長引いている西サハラ紛争の解決に、この案は有効だ」と、サンチェス・スペイン首相が声明を出したのだ。西サハラをモロッコの自治州にするというのは、モロッコの西サハラ領有権を認めることになる。サンチェスが自ら語った、<西サハラの民族自決権>も<国連主導の両当事者の話し合い>も、全て、ない話だ。モロッコ国王は大喜びし、スペインのモロッコ支持を大々的に宣伝し、他のヨーロッパ諸国にスペインのような声明を出せと、迫った。何が彼をそうさせたか? 裏切の真意を、彼の閣僚も彼の党も掴めていない。
2024年、サンチェスは世界のスポットが当たるガザ戦争で男を上げようと、ラファのエジプト側検問所を訪れたりネタニヤフやアッバスに会ったりアルジャジーラに出演したり、大売り出しを開催!
しかし、4月22日、サンチェス夫人の観光業汚職問題と麻薬密輸組織との癒着が明るみになり、裁判に持ち込まれた。
サンチェス夫人の不祥事をネタにモロッコがサンチェスを脅し、モロッコから西サハラの領有権を呑まされたと、噂されている。裁判は進行中で、サンチェス側は無罪を主張。サンチェスは5日間の臨時辞職をし4月29日に政界復帰、という芝居を打って再起した。
そして、5月22日、ノルウェー、アイルランドと共にスペインはパレスチナを国家として承認する方針を発表した。ベルギーとマルタ、スロベニアも近く承認する。「私たちは多くの理由からパレスチナを承認するが、三つの言葉にまとめることができる。平和・正義・一貫性だ」と、パレスチナ国家承認演説を議会でやり、ペドロ・サンチェス・スペイン首相は待望の大拍手を浴びることに成功した。
5月28日、ワルイ男サンチェスは、モハンマド・ムスタファ・パレスチナ国家首相を国賓待遇でスペインに迎え入れ、スペインとパレスチナの正式国交正常化を公演した。
② サンチェスは偽善者:
サンチェスに命を救ってもらったガリ西サハラ難民大統領は、「人は弱い立場に追い詰められと、より弱くなると分かった。スペイン議会とスペイン政党も、約40年間変わらず西サハラ民族自決権を支持してきた立場を、サンチェスが突然、反対方向へ変わった本当の理由を見出していない、、我々はサンチェス・スペイン政権との公式な関係を凍結した。が、今も、サンチェスが立場を修正するのを待っている、、」と、優しい。
が、一般の西サハラ難民論客たちは、もっと正直で一貫している。
5月28日、ババ・ラルーシ記者は、「サンチェス、あんたにもパレスチナ国家を承認する権利があるかもしれない、が、西サハラの人々の独立の権利を尊重することは、避けられないあんたの義務だ」と、サンチェスに語りかける論文を発表した。「あんたは、パレスチナ国家を迎えゼレンスキーに10憶ユーロの軍事資金を認め、内外の賛辞を浴びた、、めでたいこった。が、あんたはその裏で、自分自身を否定し、尊重すべき西サハラの人々の権利を踏みにじり、スペイン西サハラ紛争に関するスペインの歴史的中立的立場を放棄した。あんたがモロッコの脅威に屈しモロッコ自治提案を呑んだ背信行為は、西サハラの人々だけでなく、平和と自由と正義を崇拝する世界中すべての人々にとっても、耐え難い侮辱だ。
パレスチナ問題と西サハラ問題は、脱植民地化と民族自決第1514号(1960年)の対象であることを、忘れたのか?」と、ラルーシはワルイ男サンチェスに猛省を促している。
5月28日、サレク・ムフタ西サハラ難民メディア・アーカイブ主任ディレクターは、「偽善だ!サンチェス政権が、モロッコの西サハラ領有権を認め西サハラの独立運動を潰す違法行為の裏で、パレスチナ独立国家承認をするというのは、言語道断の偽善だ。パレスチナ人民と西サハラ人民による独立国家の権利の承認は、国際的な正当性と法律によって裏づけされているのを、知らないとは言わせない。サンチェスは、自らが矛盾していることに気づいているのだろうか?」と、ワルイ男サンチェスを糾弾している。
スペイン国旗をバックに西サハラ国旗と民族衣装の西サハラ女性、
西サハラの第一外国語はスペイン語。
③ イスラエルにショックを与えたアルジェリア国連大使の演説:
<平和・正義・一貫性>というサンチェス三つの言葉は、アルジェリアにピッタリ当てはまる。アルジェリアはパレスチナと西サハラの民族自決権という<正義>と、国連による<平和>解決と、長期にわたる両民族の<一貫>した独立闘争を、アルジェリア自身の<平和・正義・一貫性>という信念で、援助してきた。アルジェリアはメンバー国として、国連安保理や国連ジュネーブ人道問題本部など、国連の舞台で外交努力を続けている。
5月29日の国連ジュネーブ人道問題本部でアルジェリア代表は、ガザ地区でシオニスト・ユダヤ人が日常的に行っている残虐行為を「強く」非難し、「パレスチナのガザにおける<壊滅的な>人道状況に深い懸念」を強調した。
5月29日、アルジェリア国連大使のアマル・ベンジャマ大使は国連安全保障理事会で、「これ以上命を失うわけにはいかない。即刻軍事作戦中止!これは、パレスチナ人と全世界の人々の悲痛な訴えだ。シオニスト・ユダヤは、人道支援に対する妨害を今、すぐ、止めろ!物流の封鎖を解除しろ!これ以上、パレスチナの人々を苦しめるな!そして、パレスチナの未来をパレスチナの人々に委ねろ!!」と、声を詰まらせながら訴えた。
さらにアルジェリア大使は国連安保理メンバー国に向かって、「シオニスト・ユダヤ組織に、がざに関する国連総会決議と国際司法裁判所(ICJ)の決定に従うよう強制することで、その責任を果たせ!」と、強く求めた。そしてアルジェリア大使は、パートナーである中国とアラブのパートナーシップの過去20年間に達成した国際的な成果を強調し、「パレスチナ大義の防衛を最優先事項にしろ!!」と、呼びかけた。アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使は、2001年から2005年まで駐日アルジェリア大使を務めていた。
5月30日に北京で、中国・アラブ諸国協力フォーラム第10回閣僚会議が行われた。今年の初めから国連安保理に加盟してパレスチナ大義を支援し続けるアルジェリアに、焦点が当てられた。ナセル・ブリタ・モロッコ外相も、会議に参加していた。その足でブリタ外相は東京に立ち寄った。
時事通信が、「上川陽子外相は31日、モロッコのブリタ外相と東京都内の外務省飯倉公館で会談し、経済など幅広い分野で連携していく方針で一致、パートナーシップを強化する協力覚書に署名」と、伝えました。
一方、MAPモロッコ国営通信は両外相の写真入りで、「覚書は、輝かしい王室と日本の皇室を結びつける歴史的尊敬の絆によって特徴づけられる」とし、「アフリカ開発会議(TICAD)の枠組みの中で、引き続き協力していく決意を再確認」と、2025TICAD9の主導権をモロッコが握ったような大キャンペーンを張りました。
モロッコは、西サハラを2024TICAD9から外す作戦を開始しました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年6月1日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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