イスラエル・ジェノサイドの犠牲になったガザの人々も、瓦礫の中で犠牲祭を迎えました。 犠牲祭初日の6月16日には、世界中のイスラム教徒が生贄を屠って肉を分け合い、お祝いをします。 しかし、今年のガザの人々は、イスラエルの飢餓作戦で、水もパンも手に入れることが難しいのです。 しかもイスラエルは、動物のガザ出入りまで、禁じています。
それでもガザの人々は、彼らの犠牲祭をやりました。
① ガザの羊飼い:
国連安保理が6月10日に<ガザ即時休戦>と<支援物資停滞の解除>を命じたにもかかわらず、イスラエル・ネタニヤフ首相にはガザ戦争を止める気も兵糧攻めを止める気も、全くない。イスラエル戦争内閣の要だったガンツ元国防相がネタニヤフのガザ戦略に反旗を翻し仲間と辞任すると、ネタニヤフは戦争内閣をさっさと解散した。彼は極右と組んでより強硬なガザ攻撃を続けた。
ガザのある羊飼いは、「私は羊を飼育し販売していたが、戦争で住居も家畜小屋も爆破され、今回の犠牲祭で犠牲にできる羊はたった1頭しかいない」と、頭を抱えた。羊飼いは、「一頭でもいい。イスラエル・シオニストに破壊された自宅の前で、私は、生贄の羊一頭を屠り、隣人と分かち合う。ガザの人間は、虐殺にも破壊にもめげず犠牲祭を祝うということを、世界の人々に知らしめてやる!」と、誇らしげにイスラム魂を誇示した。
ガザ周辺のイスラエルで、生贄は4,000シェケル(約170,000円)と、法外な高値になったため、収入も食料もなく閉じ込められたガザの人々にはとても手が出せない。
他のアラブ諸国でも羊の値段は昨年より、20%~50%上がっているようだ。
カタールのアルジャジーラ・ネットによると、エジプトでも羊の値段は昨年より20%上昇したため、エジプトの庶民は、タンザニア、ケニア、ソマリアなど、アフリカ諸国から羊を買うことになったそうだ。
イスラエル軍に破壊された自宅の前で、犠牲祭の羊と記念撮影をするガザの一家
西サハラの隣国モーリタニアでも、生贄価格が劇的に上昇した。トルコのアナドル通信社が、上昇の原因は、干ばつと砂漠化に加え、隣国マリの軍隊がワグネル(ロシア民間軍事会社)傭兵と組んで、国境の畜産農家を襲い家畜を奪い農民を追放したためだと、報じている。
モロッコも6年連続の干ばつで、生贄の価格が高騰した。
モロッコでは犠牲祭の期間中、生贄の需要は600万頭で供給は780万頭と見込んだ。
犠牲祭で犠牲になった無数の羊さんたち、ご冥福をお祈りします。
② ガザの漁民:
犠牲祭で売り物になる生贄の羊がたった一匹しかないと嘆くガザの羊業者に、進言。、この機会に、残酷な屠殺を止めて、魚にしたら?
ガザは細長く、地中海に面している。
イスラエルが人間屠殺場にする以前のガザで、漁網を繕う漁師さんたちに話を聞いたことがある。その頃もガザの沖合にはイスラエル海軍が見張っていて、漁師さんたちは海岸で投網をしていた。それでも、数軒のレストランでホタテ貝、タラもどき、ムール貝、無名の小魚、、と、新鮮な魚料理を楽しむことができた。
アルジャジーラやロイターなどがガザの漁師さんたちの今を取材している。漁師さんたちの船は全て、イスラエル軍に破壊され、海岸で投網を打つのも、危険極まりないそうだ。「家の外に出ようとすると、砲弾や爆弾で攻撃される。弾をかいくぐって海岸に辿り着いても、投網を投げる音にイスラエル軍の銃声が重なってくる、、家に逃げ込んでも、イスラエルの空爆で屋根も壁も家財道具も粉々にされ、気が付いたら瓦礫に埋もれていた、、」あの、逞しかった漁師さんたちはやせ細り、元気だった子供たちは栄養失調でしなびてしまった。ロイターはイスラエル軍に、漁のできないガザ漁民に対するコメントを求めたが、回答はなかったそうだ。
「ハマスは<思想>であり、人々の心に根付いているものだ」という言葉は、ガザの漁師さんが発したのではない。ハガリ・イスラエル軍報道官が6月19日に語ったのだ。さらにハガリ報道官は、「ハマスを壊滅できると約束する人は国民を欺いている、、ガザにハマスは残るだろう、、人質解放を巡っても、軍事作戦で全員を救助するのは不可能だ」と、ハッキリ、ネタニヤフ・シオニスト内閣を批難した。この発言に、ネタニヤフ・シオニスト内閣首相は、「軍は政府の命令に従うものだ」と、批判した。ネタニヤフは6月18日に、アメリカの弾薬供給制限も批判した。アメリカはネタニヤフを裏切り者と罵りながら、米上下両院合同議会で6月24日にネタニヤフに演説をやらせ、スタンディングオベーションをやるのだろうか?、、戦争犯罪者仲間のサル芝居だ!
③ 西サハラを巡って、国連を舞台に揉める、モロッコもアルジェリアも犠牲祭:
西サハラ難民キャンプの羊は、主として西サハラ解放区の遊牧民が供給している。ここも干ばつとモロッコとの軍事紛争で価格が高騰している。一頭、150$~300$(23,415円~46,830円)する。ちなみに、モロッコでは1頭が200$~500$(31,220円~78,050円)。アルジェリアは一頭が350$~400$(39,025円~62,440円)だそうだ。
犠牲祭に1週間前の6月10日から「植民地独立付与宣言の実施状況に関する特別委員会(C24)」が6月21日まで行われた。初日に、モロッコ人のモハメド・ヒシャム・ラドワとアフメド・ファナンとハッサン・ファナンのモロッコ人3名が、モロッコの人権活動組織と共和党を代表して、西サハラの人々の自決、自由、独立に対する権利への支持を表明した。そして3人は、モロッコ占領地・西サハラの人権状況やモロッコが西サハラの活動家に対して犯している重大な人権侵害、不法裁判、モロッコ刑務所での西サハラ政治囚に対する虐待拷問を糾弾した。さらに、3人は、モロッコ政権がモロッコ人の活動家や政敵を強制拉致し拘束していると、西サハラ政治囚たちへの非人道的な対応に重ね合わせて訴えた。
オマル・ヒラール・モロッコ国連大使は、「10日の朝C24委員会で起こったことは容認できない。アルジェリアは飛行機券と五つ星の宿代を払い、モロッコの悪口を言わせるため、3人の重罪犯をニューヨークに連れてきた、、アルジェリアはもはやモロッコのサハラ砂漠に関する誤った説を擁護する者を見つけることができず、3人の裏切り者モロッコ人に自国を攻撃させた、、モロッコは、アルジェリアの諸機関やアルジェリアの政治家を決して攻撃しない」と、激高した。そして、モロッコ大使は、「告発の後、アルジェリア大使は3人の重罪犯に挨拶し謝辞を述べた。みんなの前で言うなんて、よくやったね」と、ヘイトスピーチをアルジェリア大使に浴びせ続け、「アルジェリアはポリサリオ(西サハラ難民軍)の傭兵に何十億ドルも費やしてきた。ポリサリオ難民キャンプはアルジェリアのテロリスト家畜小屋だ」と、結論付けた。
ヘイトスピーチ大家のヒラール・モロッコ国連大使は、「6月18日の第3回国際ヘイトスピーチ抑圧デーに参加し、<ヘイトスピーチと闘う若者の能力への投資>をテーマにしたハイレベルイベントで講演した」と、自慢しています。
「よくやったね」というモロッコ大使の捨て台詞は、そのままご本人にお返しします。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年6月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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