SJJA& WPO【西サハラ最新情報】595 アルジェリアも大統領選挙

 アメリカも、西サハラ難民が居候するアルジェリアも、大統領選挙です。 日本でも首長の選挙が9月に行われます。
 ただ、日本のは自民党総裁選挙で、選ばれた自民党のトップが自動的にそのまま日本のトップになるという、間・間接民主主義。 民主主義の基盤と言われる庶民は、関係ないのです。 だから庶民は総裁選に興味がなく、遊興娯楽など自慰行為に勤しんでしまうのです。
 どこにあるのでしょうね? 日本の民主主義は、、
 
① 3候補が戦うアルジェリア大統領選挙:
2024年9月7日の投票日に向けて、アルジェリアでは3人の大統領候補が、選挙運動を活発化させている。APS(アルジェリア国営通信)やAFP(フランス通信社)を参照に、「ここは地の果てアルジェリア」の民主主義をのぞいてみる。
 アルジェリア大統領選挙は、2024年12月に予定されていた。が、2024年3月21日に、突然、アブデルマジド・テブン現大統領が、9月に早めると発表した。7月25日、選挙の全国独立機関(ANIE)の会長モハメド・シャルフィが、16人の候補者のうち3人が条件を満たすと発表した。
 第一候補・社会主義勢力戦線の候補者、ユーセフ・アオウチチェは、「若者が投資し、革新するための適切な場の提供を約束する。アルジェリアの若者は、アルジェリア革命の価値と英雄たちが払った犠牲からインスピレーションを得て、国の建設に貢献するために必要なすべての資質を持っている」と、若者の票を狙った演説を展開している。
 第二候補・平和運動協会の候補者、アブデラーリ・ハッサニ・シェリフは、ティアレットでの選挙運動集会で、「選挙に参加して、共にアルジェリアの新しい道を開いていこう、、今回の大統領選挙は、激動する世界の真っ只中にいるアルジェリアの命運をかけたものだ」と、述べた。「私の政治公約は、開発を達成し、食料安全保障を確保し、各地域の資源の使用を最適化する前向きな志向に基づいている」と、付け加えた。
 第三候補・無所属候補者、アブデルマジド・テブン現大統領を支持する諸政党の指導者たちは、様々な町や都市で集会を開いた。指導者たちは、アルジェリアを脅かす輩に立ち向かうためにも、9月7日に投票することは重要だと強調した。その中でエル・ビナ運動の代表アブデルカデル・ベングリナは、「アブデルマジド・テブンの業績は、アルジェリアの主権を守り、外国の干渉からアルジェリアを守ることに貢献したことだ」と述べ、テブン現大統領への支持を促した。
 どの陣営も9月7日大統領選挙は、国民の願望に応える大統領を選ぶ機会だと主張した。
 

2024年9月7日アルジェリア大統領選挙の候補者たち、左からアオウチチェ
社会主義勢力戦線候補者、テブン無所属候補者、シェリフ平和運動協会候補者。

 
② World Politics Review (世界政治誌)の西サハラに関する論文の要約:
 World Politics Review(世界政治誌)に、ジェイコブ・マンディ博士が論文を発表し、アメリカ、スペイン、フランス、の3か国首脳によるモロッコの西サハラ不法占拠を支持する最新の立場を、強く批判した。彼は、「この植民地主義を助長する姿勢は、西サハラだけでなく、北アフリカやサヘルなどの状況をさらに悪化させる」と、非難した。
 アメリカの姿勢とは、2019年12月10日にトランプ前大統領がムハンマド六世モロッコ国王に送った書簡の内容を指す。書簡には、モロッコとイスラエルの国交正常化と引き換えに、モロッコによる西サハラ領有権を認める意向が、記されている。
 スペインの姿勢とは、2022年3月18日にサンチェス・スパイン首相がモロッコ国王に送った書簡を指す。書簡でサンチェスは、「スペインはモロッコの西サハラ自治州案を現実的解決策だと考えている。半世紀近く長引いている西サハラ紛争の解決に、この案は有効だ」と、述べた。
 フランスの姿勢とは、7月30日にマクロン・フランス大統領がモロッコ国王に送った書簡を指す。書簡には、「西サハラをめぐる長期にわたる紛争に対するフランスの政策の重要な転換を実行する」と記されているそうだ。マクロンは、紛争に対する唯一の現実的な解決策として、地域に限定的な自治を提供するというモロッコによる2007年の提案を支持するだけでなく、紛争地域を事実上モロッコの一部と見なすことも容認したようだ。
 一方、1991年に国連安保理が提案したREFERENDUM (レファレンダム国連西サハラ人民投票)は、どうなっているのか? モロッコ西サハラ・両当事者がその和平案を呑み、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)が設置されたのだが、投票作業は不履行のまま現在に至っている。
 REFERENDUMに関して、博士は1997年から2004年まで国連事務総長個人特使を務めたジェイムス・ベイカーの不発例も挙げている。ベイカーは、独立、統合、または自治の継続を選択肢とする最終的地位の国民投票を提案していた。しかし、当時、米国のイラク占領が急速に制御不能になり、モロッコで史上最大のテロ攻撃が発生した結果、安全保障理事会は、当事者、とりわけモロッコにベイカーの提案を強制する気がなくなっていた。それ以来、安保理のスローガンは「解決策は当事者から来なければならない」だった。
 ベイカーを継いだ4人の国連事務総長個人特使は、どちらの側からも譲歩を引き出すことができなかった。現在の特使、ステファン・デ・ミストラは、就任してほぼ3年になるにもかかわらず、当事者をまとめることさえできていない
 ジェイコブ博士は、「アルジェリアは現在、安全保障理事会の非常任理事国であり、10月に世界最高峰の政治機関・国連安保理がこの問題を再検討する際には、現状維持に賭けるのが賢明だろう。だからといって、米国、フランス、スペインが、欲得がらみの目論見を、変えたりはしない。いずれにせよ、西サハラの現地では,ほとんど何も変わらないことを意味する」と、論を結んでいる。
 ニューヨーク・コルゲート大学の准教授で平和紛争研究の教授であるジェイコブ・マンディ博士は、3か国の立場が紛争の性質を変える可能性は低いと考えている。逆に、この立場は国際法上、明らかに違法であり、国連とその特使の努力に水を差すと、批難している。彼の著書「西サハラ戦争、ナショナリズム、紛争の解決」は、スティーブン・ズネスとの共著だ。アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジア、西サハラが、博士の主なフィールドワークだ。

③ ブラヒム・ガリSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)大統領が国連事務総長に書簡:
 2024年8月20日、ブラヒム・ガリSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)大統領は、アントニオ・グテーレス国連事務総長に宛てた書簡で、モロッコが続行している抑圧と暴力による西サハラ占領地の深刻な状況について、グテーレス事務総長と安全保障理事会メンバー国の注意を喚起した。
 西サハラ大統領は、「モロッコ占領当局は西サハラ人が所有する土地を窃取し、家屋を破壊し、テントを燃やし、生計を損ない、家畜を殺し、井戸に毒を投入し、西サハラ人を家や土地から追い出した。そして、多くのモロッコ人入植者やその他の人々を占領領土内に定住させた。モロッコ占領領土の人口構成を変更し、占領を永続させる政策だ」と、糾弾した。
 西サハラ大統領は、「このような行為はすべて、戦時における文民の保護に関する1949年のジュネーブ条約の規定、特に、被保護者を占領地域から占領国の領土または他の国の領土に強制移送すること、および被保護者の個人的または大規模な強制移送を禁じた第49条に反する」と、強調した。ジュネーブ条約は「占領国は、自国の民間人の一部を占領地域に追放、または移送してはならない」と規定している。
 さらに西サハラ大統領は国連事務総長に対し、「西サハラ人の天然資源略奪のため、モロッコが占領下の西サハラで行ったすべての経済活動およびその他の違法な活動について、国際世論と国連諸機関に知らせるべく、国連事務総長が使えるあらゆる手段を用いるように」と、強く求めた。
 ブラヒム・ガリ西サハラ大統領は、国連事務総長に対し、占領国であるモロッコに、国連憲章および関連決議に基づいて彼に与えられた権限を行使し、モロッコ占領地・西サハラにおける西サハラ人の基本的権利の保護を求めた。「西サハラは 国連の下で脱植民地化されるのを待っている地域である」と、再度、強調した。
 
 一方、イスラエル占領地・ガザでは、イスラエルが多数の場所に連日にわたって避難警告を出し続けています。 安全な場所などないから、ガザの人々は閉校状態の学校に逃げ込みます。 そこにイスラエルは空爆します。 8月20日もガザのムスタファ・ハフェズ学校が爆撃され、12人の死者が収容されましたが瓦礫の下にはたくさんの人たちが埋まったままです。
 ガザ戦争が始まって8月22日までに、40.265人が亡くなりました。 大部分が子供たちです。 国連事務総長殿、とにかく、停戦させてください!
 
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2024年8月24日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
 
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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