SJJA& WPO【西サハラ最新情報】596 TICADから西サハラを暴力で排除続けるモロッコ

 「モロッコは日本を馬鹿にしている」と、マライニン西サハラAUアフリカ連合代理大使が、8月23日のモロッコ外交官暴行事件を撮った画像を付けて、メールを送ってきました。 
 動画を見ましたか? <法の秩序>を最優先する日本で、第9回TICAD東京アフリカ開発国際会議の最中に、モロッコ外交官があるまじき暴行事件を起こしたのです!

① 2024年8月23日、モロッコ外交官が西サハラを襲撃:
 2024年8月23日、東京のニューオータニ・ホテルでTICAD9東京アフリカ開発国際会議の準備閣僚会議の準備会合議の冒頭で、日本の主催者が挨拶をしていた。その時、突然、モロッコの外交官が西サハラのプレートがある机に、飛び込んだ!卓上の<サハラウィ共和国>と書かれたプレートを奪い盗ろうとした!!それを見たアルジェリアの外交官が彼に跳びかかり、見事に床にねじ伏せた。会場は混乱し、会議は中断し、モロッコ外交官は会場外に連れ出されたそうだ。
 24日と25日の、TICAD9閣僚会議には、日本のスタッフに挟まれたモロッコ外交団が出席していた。シダテイ西サハラ外務大臣が代表する西サハラ外交団は、「モロッコ外交団は、サハラウィ・アラブ民主共和国(SADR)をこの会議から除外することを要求したが、失敗した。モロッコの失態は、TICAD9会議への参加問題をサハラウィ側に有利に運んだ。TICAD9の閣僚級会議は8月25日、サハラウィ共和国のTICAD9会議への参加を支持する共同声明が採択され、閉幕した。この声明は、すべてのAU加盟国がアフリカと日本のパートナーシップ会議に出席する権利を、明確に謳っている。」と、声明を出した。
 モロッコ外交団は、これまでも西サハラを国際会議から排除するため、実力行使をしてきた。特に、TICADからの西サハラ排除に執念を燃やしてきた。
 2017年、モザンビークの首都マプトで開催されたTICAD 6 の閣僚級準備会議では、西サハラ代表団を会場入り口でブリタ・モロッコ外務大臣自らが必死に<通せんぼ>した。朝日新聞の石原記者が動画報告をしている。会議は4時間遅れ、二つの分科会がキャンセルされた。
 モロッコ外交団が、西サハラ代表団を口汚く罵る場面は、国連や国際会議でも頻繁に見られる。2020年、南アフリカのヨハネスブルグで、ムハンマド・ベイサット南アフリカ大使が率いる西サハラ代表団を、アフリカ連合のモロッコ大使が罵倒した。
 ヒラール・モロッコ国連大使のオマル・西サハラ国連大使に対する、ヘイトスピーチは、日常茶飯だ。

モロッコ外交官の強奪から「サハラウィ共和国」のプレートを守ったラミン西サハラAU大使

② モロッコ側の暴行事件報道:
 「モロッコの抗議は、今のところ日本側の耳に入っていない、と情報筋は言う」と、8月24日付けのアラブニュースが伝えている。不思議なことに、何かにつけ因縁をつけることに長けているブリタ:モロッコ外務大臣の声が聞こえてこない??2024年4月30日、ブリタ外務大臣は、突然、上川外務大臣を訪問し、TICAD9東京アフリカ開発国際会議の閣僚級会議への西サハラ排除を工作したと、言われている。が、結局、西サハラをTICADから排除することには、大失敗した。
 通常、失敗してもしなくてもモロッコの素晴らしい外交工作を成功として称賛するMAPモロッコ国営通信は、これまでのところTICAD9事件直後の短い報道だけに留めている。政府発表の代わりに、MAPは政治アナリスト・ムスタファ・トッサの発言を載せている。
 まず、MAPモロッコ国営通信は8月24日に、「TICAD9東京アフリカ開発国際会議の準備作業を主催した日本の深沢洋一外務副大臣は、この会議での<ポリサリオ>の侵入は<日本の立場をいかなる形でも変えるものではない>と述べたと、Modi1TVチャンネルは土曜日の朝のニュース速報をした。日本は、国連加盟国のみをTICAD会議に招待することを強調している。」と、発表した。
 次に、MAPはこの事件に反応した政治アナリストのムスタファ・トッサの解説として、「この事件は、アルジェリア外交が、サハラ砂漠のモロッコ化を弱体させようとするあらゆるごまかしに対して、どれほど準備ができているかを示している」と述べている。「この会議に幽霊のようなSADRの参加を密かに押し付けようとすることで、アルジェリア政権は、この存在を認めず一度もこの組織を招待したことがない日本の伝統的な立場を侵害している」とトッサは述べた。彼は、「この遺憾な事件は、アルジェリア政権が後援し資金提供する、この分離主義者を拒絶するという日本の立場を、再認識させるよい機会だった」と、強調した。彼はまた、日本がそのような分離主義者を公式に否定していると付け加え、この事件は多くのアフリカ諸国に、アフリカ連合と国際パートナーとの関係を害し始めている<ポリサリオ>を、彼らの隊列から追放することを真剣に考えるようになるだろう」と、示唆した。
 以上は、評論家トッサの名を借りたMAPモロッコ国営通信のTICAD9東京アフリカ開発国際会議閣僚級準備会議で勃発したモロッコ外交官暴行事件に対する、総括でもある。

③ TICAD 9東京アフリカ開発国際会議の閉会式:
 TICAD9 閉会式は、8月25日午前9時からホテル・ニューオータニで開催された。 
 AUアフリカ連合議長国であるモーリタニアのモハメド・サレム・ウルド・メルズーグ外務・アフリカ協力大臣が冒頭発言し、各TICAD9共催者からの発言が続いた。
 午後2時に登場した上川陽子外務大臣は、30分間、TICAD9閉会式に参加し、<革新的解決の共創、アフリカと共に>を合言葉に、様々なアクターがアイディアを持ち寄り、未来志向の課題解決、若者と女性の重視、連結や知のプラットフォームの活用の3つの視点を念頭に置いた各セッションの議論を振り返って報告した。そして、上川大臣は、「今回の閣僚会合では、アフリカ側の考えをよく聞きながら、対話を通じて、課題解決を進めて行くことを重視しながら議論を行い、意見交換の中で多くの革新的な解決策が共有され、これらの解決策やアイディアをアフリカの各地に展開し、さらにグローバルな課題解決に貢献していくことで一致した(外務省ホームページより)」と、結論づけた。
 そして上川陽子外務大臣が、閉会宣言を行った。
 外務省によると、今回の閣僚級会合の成果として「TICAD9閣僚級会合共同コミュニケ」が採択された。共同声明は英文で作成され、和文仮訳と但し書きをつけてPDFで紹介している。
 深澤陽一外務大臣政務官は「来年のTICAD9に向け、今回の会合がキックオフとなり、スタートアップを含む、日・アフリカのビジネスの間で革新的な課題解決を共に創り上げ、Made with Japan”の具体的な展開が生まれることを期待している(外務省ホームページより)」と、表明した。
 TICAD9 本番の首脳会議は来年2025年8月20日から22日まで横浜で開催される。
 モロッコ外交官による西サハラ排除の暴行事件が再発しないよう、両当事者による事前の話し合いを、法の支配を貴ぶ日本政府に期待しています。

 「身体への接触がない有形力の行使も、間接暴行として暴行罪が成立する。暴行罪は<故意>による行為であることが要件となっている。」と、日本の刑法208条は、たとえ身体的危害を加えなくても、悪口雑言や強奪行為に対して暴行罪が成立すると謳っています。
 TICAD9東京アフリカ開発国際会議におけるモロッコ外交官の行為は、暴行罪です。
 被害者が暴行罪で訴え、成立すれば2年以上の懲役、若しくは30万円以下の罰金になるそうです。 優しい西サハラ外交団は、訴えなかったようですね?

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2024年8月31日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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