SJJA& WPO【西サハラ最新情報】598 忘れられる西サハラ難民食料不足

 UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)は9月11日、パレスチナ自治区ガザ中心部でUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が運営する学校の一つがイスラエル軍の空爆を受け、同機関の職員6人が殺害されたと発表しました。
 毎日毎日、ガザではジェノサイドの血が流れ続けています。 
 ハイチは武装ギャングが支配し、スーダンは内戦が激化し、、世界中が火だるまです。
 国連定例記者会見で<西サハラ>という言葉は、聞かれなくなってしまいました。

① ナミビアはドイツの植民地だった:
 9月12日の国連定例記者会見で、「事務総長は、ナミビアとドイツが主催する<未来サミットに関するグローバル・コール>で発言した。これは、未来のための協定に関する政府間交渉の共同進行役だ。事務総長は、未来サミットは国際協力に関する広範な合意の機会であると付け加えた、、さらに、彼は加盟国に対し、ビジョン、勇気、連帯、妥協の精神を持って迅速に行動し、21世紀に向けてよりネットワーク化され、効果的で包括的な多国間主義への道におけるこの重要なマイルストーンを最大限に活用するよう呼びかけた(?)」と、報道官はやや得意げに公表した。事務総長は世界の惨状に目をつむり、訳の分からない抽象的な新提案で目を逸らそうとしているように思える。
 「サミット・オブ・ザ・フューチャーの話が出ました。すでに、ドイツのショルツ首相は、橋渡し役には温度差があると白状している。しかし、事務総長は最も野心的な改革だと思っている。一体、彼は、9月22日に合意が成立しない可能性があることも考慮しているのか?」と、ドイツ人記者が聞いた。報道官は、「あなたの質問に対する簡単な答えは<NO>だ。私たちは合意がなされると信じている」と、答えた。
 「つまり、事務総長は非常に野心的な虚構を望んでいる。が、それほど野心的でもない。取引がないよりは悪い取引の方が良いと言うことなのだろうか?」と、ドイツ人記者は畳み込んだ。報道官は「彼は決意を固めていると思うし、加盟国が合意する方法を見つけると信じている」と、報道官は答えた。合意内容など、具体的な説明は、はぐらかした。
 アフリカ南西部にあるナミビアは、かって、ドイツの植民地だった。ナミビアの上にあるアンゴラは、もとポルトガル植民地だった。元ポルトガルの植民地だった東チモールで名誉市民兼を授与された元ポルトガル首相グテーレス国連事務総長は、植民地問題が再燃してきた風潮に目を付け、元植民地のナミビアと元支配国ドイツの和平共同作戦は、恰好のネタだと判断したようだ。

② ナミビアとケニアが国際社会に訴えた:
 ナミビアは、ドイツによる植民地統治後、南アフリカ占領下で白人支配層による、人種差別政策の過酷な迫害を受けていた。1960年代から独立を目指す武装闘争が続いた。そして、1989年に国連監視下でナミビア選挙が行われ、1990年に独立を果たした。
 ナミビアは、変わらず西サハラの民族自決権レファレンダム(国連西サハラ人民投票)を支持している。
 2024年9月10日、ナミビア首都ウィントフックで、ナミビアとケニアの政治外交協議に関する共同声明が発表され、国際社会に対し、「ナミビアとケニアは、国際社会に対し、西サハラに関するすべての関連する国連決議と、それぞれの地域における持続可能な平和と開発のためのパレスチナ問題と西サハラ問題を完全に実施するよう促した」と、西サハラに関するすべての関連する国連決議を完全に履行するよう求めた。
 ナミビア共和国のペヤ・ムシェレンガ国際関係・協力大臣と、ケニア共和国のムサリア・ムダバディ首相兼外務・ディアスポラ問題担当が共同議長を務めたこの協議で、多くの大陸および国際問題に関する両国の見解と立場が一致していることも言明された。さらに、ナミビアとケニアの間の二国間関係と様々な分野、特に経済協力における協力の強化が、強調された。
 ケニアはSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)を、2005年6月25日承認、2006年10月18日一時凍結、2007年2月26日完全凍結、2014年2月6日に国交を再開している。
 ナミビアはSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)を、1990年6月11日に正式国家承認し、以来、変わらぬ支援を続けている。両国とも、UN国連とAUアフリカ連合で活発な外交活動を展開している。ケニアは国連も見捨てたギャングの無防備ハイチに、400人の部隊を2024年5月末に派遣した。勿論、植民地化など、目指していない。

③ 旧植民地スペインが国際社会に西サハラ難民の支援を訴えた:
 2024年8月9日、ニュースサイト<Europa Press>によると、スペイン人民党は政府に対し、西サハラ難民の死活的食糧不足を解決するため、西サハラ難民救援特別基金をできるだけ早く設立するよう求めたそうだ。スペイン人民党の議員たちは、本会議で議論するための法案を作成した。西サハラ難民の生活状況悪化に歯止めをかけるため、スペイン人民党議員たちは政府にこの提案を国家予算に含めるよう求めた。サンチェス・スペイン首相が2022年3月18日にモロッコの西サハラ領有権を認めるに等しい書簡をモロッコ国王に送ってから、元西サハラ宗主国スペインによる様々な人道支援が大幅に減ってきた。
 欧州議会のメンバーによると、「西サハラ難民キャンプでの食糧緊急事態への対応を、これ以上遅らせることはできない」と、いう。が、現職のフランス大統領もスペイン首相も、モロッコの西サハラ自治州案を支援していて、西サハラへの追い風は吹かない。
 西サハラ難民外交団は、AUアフリカ連合と、アフリカ諸国と中南米諸国との友好関係を繋ぎ止めておこうと、貧しい外交資金をはたいて必死だ。
 9月7日、ラミン・バーリAU西サハラ大使はAU人道的災害集中会議に参加し、9月11日、モハメド・ベイサット南アフリカ大使は西サハラ問題に関する<デジタル会議>をプレトリアで開催した。9月12日、ワリド・サレク大統領補佐官はベネズエラの首都カラカスへ飛び、アメリカの厳しい制裁下にあるベネズエラに、西サハラ難民の窮状を訴えた。
 1975年以来続いている西サハラ難民の食料不足状況とは言え、世界はパレスチナを始め多数の危機に取り組んでいて、西サハラ窮状にまで目が届かない。その厳しい世界情勢は、西サハラ難民自身が、よ~く認識している。
 

1975年から約四半世紀、世界の支援組織から、食糧援助を受けてきた
西サハラ難民、援助物資配給に集まった人々

 
「四半世紀にわたる待機―国連の裏切りと国際法の虚偽のはざまで、西サハラの人々は正義を実現するため、自分自身の力に頼らざるを得ない。」ラーセン・ブーレサン西サハラ難民オピニオンリーダー。

 国連安全保障理事会は9月12日、アルジェリアの要請で、9月11日にイスラエル・シオニストがガザのヌセイラト難民キャンプの学校に対して行った2回の空爆で、国連職員を含む18人を殺害したことに関して、会合を開きました。 
 一年近く続く<ガザ難民避難民大虐殺>に、何のお咎めもないのでしょうか?!
 
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2024年9月14日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
 
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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