2019年のラマダン(断食月)が5月7日をもって、世界的に開始されました。 ラマダンはイスラム教徒にひと月間、日の出から日没まで、飲食は勿論セックスも断つようにと、命じています。 初日の出に時間差があるように、一日の断食時間は地域によって異なってきます。 欧米では16時間から18時間、北アフリカでは15時間、パキスタンやインドも15時間、湾岸諸国では14時間の断食をしなければなりません。 冬のオーストラリアでは12時間ですみますが、スウェーデンやノールウェーでは19時間の荒行となります。 一日中太陽が沈まない白夜は、、どうするんでしょうね?
(1) 国連決議2468は難民キャンプのテントを、吹っ飛ばした!
4月30日に採択された国連安保理決議2468を受けて、国連本部でモロッコ報道関係者を前に、モロッコ国連大使オマル・ヒラ―ルは、「国連決議は難民キャンプのテントをぶっ飛ばした」と、怪気炎を上げた。ヒラ―ルは、「ポリサリオ(西サハラ難民政府)は、我々が2019年に生きていることを、もはや1970年代ではないことを、今こそ思い知るべきだ」と、語気も強く言い放ち、「ポリサリオは古い言葉のイデオロギーで満ちたページを繰って、変化した世界を学べ!分離主義の時代は終わったんだ!」と、西サハラ人民の独立運動を馬鹿にした。そして、西サハラ難民キャンプを庇護するアルジェリアを非難した。
ヒラ―ルが舞い上げっているのは、国連安保理決議アメリカ草案に明記されていた<モロッコ非難>が、拒否権をチラつかせたフランスの強硬な反対で削除されたからだ。
モロッコ外務大臣ナセル・ブリタは5月1日の声明文で、「新国連安保理西サハラ決議2468には、質的な進展がある」と、これまでの国連安保理西サハラ決議とは違うことを強調した。さらにブリタは、「国連安保理決議2468は、この地域紛争に終止符を打つ、政治的解決を求めている」と、分析し、「モロッコ王国は国連が、<モロッコ領土内の地方自治案>を承認することを望んでいる」と、括った。ナセルもアルジェリアの責任を追及した。
結局、国連安保理は西サハラ紛争の政治的解決を、国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領に、丸投げしたことになる。新決議は旧決議となんら変わりがない。モロッコは<地方自治>を、西サハラは<人民投票>を、第三回円卓会議で主張することから始まる。
(2)アルジェリアは?:
モロッコに喧嘩を売られたアルジェリアは5月1日、「アルジェリアは、多くの安保理メンバーが国連事務総長と彼の個人特使ホルスト・ケーラー大統領が目指す<西サハラ人の民族自決権の明記>に賛同したことを、評価する」と、短い外務省声明を出した。
5月3日、11回目を迎えた<アルジェリア金曜デモ>はロイター通信によると、いつものように首都アルジェの中心街に集まったという。
同じようにアルジェリア国営通信APS(アルジェリア・プレス・サービス)も、<金曜デモ>を大きく伝えた。そして、「デモは、早朝と午後一番と2回に分けて組織された。午後5時頃、デモは散開し、若者たちが自主的にゴミ片付けをした」と、語った。さらにAPSは、「徹底的な改革と民主主義の確立」、旧権力者の追放」「全ての旧組織の解体」「独立した選挙の検証」と書かれた横断幕のデモローガンを描写し。 そして、「”Djeich, chaab khaoua khaoua” (アラビア語で、軍と人民は兄弟だ).」との気になるスローガンを紹介した。
翌5月4日、アルジェリア警察は、アルジェリア金曜デモが要求した三人を逮捕した。三人とは、前大統領の弟サイド・ブーテフリカと、ブーテフリカ前政権下の軍関係者だったモハメド・メデイエン将軍とアスマネ・タルタグ諜報員だ。
アルジェリア軍のトップ、ガイド・サラーは「人民の信頼を回復するために、腐敗した政治家と軍人の逮捕を続ける」と、誓った。??
アルジェリア政変の真実が判明するのは、7月4日に予定されている大統領選挙戦が始まってからかな?
逮捕されたアルジェリアの重鎮三人。右端がブーテフリカ元大統領の弟。
(出展 アルジェリア国営通信APS)
③ AUアフリカ連合とUN国際連合の年次会議:
5月6日、国連本部で、第三回AUアフリカ連合・UN国際連合の年次会議が開かれた。
ムーサ―・ファキ・ムハマド・アフリカ連合委員会議長とアントニオ・グテーレス国連事務総長が共同議長を務めた。テーマとして、アフリカ連合は<2019年のAUテーマである難民移民帰還民避難民>を、国連は<気候変動>を、提案した。
会議は、二つの組織が寄り添って、強い相互関係を築いていくことを確認した。
5月7日、スペイン警察がISに繋がるテロリスト組織のアジトに踏み込んだ。
彼らは、鳥やチーズやチョコレート製造業者を顧客にして、デンマークの間接税の抜け穴を悪用する金融組織だった。その自己資金で組織は、IS戦闘員を調達しシリア、リビア、マリなどに送り込んでいた。2014年に、スペイン領メリリヤで6人の組織員が逮捕され、以来、スペイン警察は組織の壊滅を目指してきた。この組織が製造売却したテロリストは、モロッコ人が24人にスペイン人が2人で、送り込むまでを商売とするテロリスト製造業者は、IS戦闘員のその後は知らないと言う。メリリヤは、アフリカ大陸北端のモロッコの、その北端にある小さなスペインの街だ。この街はモロッコ人も含めたアフリカ人にとって、地続きの、アフリカに一番近いヨーロッパでもある。 AUアフリカ連合が今年の課題としている<難民移民帰還民避難民>が、メリリヤとモロッコの間で途方にくれている。モロッコ国連大使ヒラ―ル殿、西サハラ難民を虐めている場合じゃないでしょ?
ラマダンの間は、悪行を避け悪口を慎み平穏に過ごすようにと、聖典コーランは教えています。 しかし、イスラム教徒と称するISイスラム過激組織は、ラマダンの間も武闘を続けると豪語しています。 戦闘的なモロッコ国連大使オマル・ヒラ―ルは、「西サハラ紛争を作ったのはアルジェリアだ。アルジェリアが諸悪の根源だ!」と、アルジェリアに喧嘩を売り続けています。
イスラム教の創始者ムハンマドの教えに従って、ラマダンを平和に過ごしてください。
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年5月8日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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