三日月が細くなってきました。 それも見えなくなると、イスラム教徒にとって辛く長~い断食月が終ります。 そんな5月30日にイスラム教の聖都・サウジアラビアのメッカで、湾岸協力会議(参加6か国)とアラブ連盟(参加21か国)の緊急首脳会議が開かれました。 5月31日にはイスラム協力会議(参加50か国強)の首脳会議も開かれました。 メッカのというより、地下資源成金の威力でしょうか? それにしても、断食中の昼間は一切の飲み食いが禁じられています。 水分を取らないと口内が乾ききって、会議で喋れません、、会議は日が暮れて、たらふく食いながらやるんでしょうか?
(1) メッカの太守・サウジアラビアのご命令:
「俺は最初の三日間は断食をした。が、水分補給を欠いたら熱中症になると、医者に脅かされたので、断食を止めた」と、日本で活躍しているアラブ人ジャ―ナリストはコッソリ白状した。が、そんな彼が、「だけど、俺は断食を続けている世界のイスラム教徒と、心を一つにしている」と、言い訳をした。イスラム教徒でない者の理解を越えた、イスラムの掟がイスラム教徒を縛っているように思える? そのイスラム教の大元締めであるサウジアラビアが、「緊急メッカ巡礼!」と、断食行の終盤に声をかけたら、断れないものがあるようだ。サウジアラビアの全員集合は<反イラン包囲網>が目的で、2017年から<サウジアラビアのイラン制裁>に反対してきたカタールも首相を送った。西サハラを巡って意見が対立していたモロッコも、モロッコ国王の弟を送った。政情不安のアルジェリアは、
ヌール・デイーン・ベドウィ首相を送った。サウジアラビア駐トルコ大使館でジャーナリストのジャマル・カショウギの首を斬って以来、サウジアラビアと距離を置くトルコですら、代表団を送った。
「国連が崩壊して国々をまとめることができない。イスラム教はコーランの下に一致団結できる」と、件の、断食をさぼるイスラム教ジャーナリストが自慢した。 ならばいっそ、敵対視するイランにも声を掛けて、地球を一つにまとめてみれば、、イランは宗派が違っても、断食を厳格に行う敬虔なイスラム教国ではないですか?
(2)封印された西サハラ地下資源:
「5月22日水曜日、アルジェリアのティンドゥフに<天然ガス>が出た!」との、ソナトラックSonatrach(アルジェリア国営石油会社)発表に、モロッコはいささか慌てたようだ。テインドゥフは広大なアルジェリア砂漠の西端にあり、西サハラに国境を接している。西サハラをモロッコ軍に追われた西サハラ住民は、祖国に一番近いこのティンドゥフに難民キャンプを張り、以降44年間、この地で難民生活をおくっている。ソナトラックSonatrach(アルジェリア国営石油会社)の発見は、西サハラにも石油と天然ガスがあるということを、改めて世に知らしめてくれた。
西サハラの大地に石油、天然ガス、ウランなどの鉱物資源が眠っていることは、1991年に国連和平案<西サハラ人民投票>をモロッコと西サハラが承諾した後の、1990年代半ばに判明した。但し、1960年12月の<植民地独立付与宣言>で、国連は西サハラを植民地とみなし、その天然資源に封印をしている。地域住民以外、その地域の天然資源に他国は手を出せない。フランスとモロッコの、元植民地宗主国と元植民地コンビは共謀して、国連西サハラ人民投票を拒否しモロッコの西サハラ領有権を主張し、その一方で、石油・天然ガスの見込み入札を始めた。
西サハラ紛争の火種は、<封印された石油・天然ガス>にある。
2006年5月には、西サハラ難民政府も鉱区を公開し、2006年3月には落札会社が公表された。 海洋鉱区は、プレミエ(Premier)、オフィール(Ophir)、エンコレ(Encore)とコメト(Comet) が落札した。陸上鉱区はエウロパ(Europa)が落札した。プレミエ(Premier)は、英国の著名な独立系石油 企業である。一方、オフィール(Ophir)は、南アフリカを拠点にする企業で、ブラック・アフリカへ重点的に投 資を行っている。
筆者は横浜の日揮本社で、「確かに西サハラには石油・天然ガスがある。しかし、西サハラ本土を縦断してモロッコが埋めた地雷(600万個以上)が問題だ。危なくて手が出せない」と、担当者から説明を受けた。
アルジェリアのティンドゥフ天然ガス新鉱区を前に記念撮影をするアルジェリア国営石油会社
(3)コスモスとカプリコム、モロッコとの石油契約を破棄:
かって、モロッコは西サ ハラ海洋2鉱区をケール・マッギー(Kerr-McGee)とトタル (TOTAL)などに落札させていたが、トタル(TOTAL)は2005年に撤退し、ケール・マッギー(Kerr-McGee)も2006年4月 に鉱区期限が来て撤退した。
2018年2月7日には、モロッコ国営炭化水素(石油・天然ガス)鉱掘局が、「コスモス・エネルギー(米)とカプリコーン探索開発会社(英)の2社が、モロッコ南にある西サハラのブジュドウール海洋鉱区からの撤退した」と発表した。声明はさらに、「コスモスは当該鉱区での全ての活動を中止するらしい。コスモスは、最近発見された西アフリカの石油鉱区の開発に商売の拠点を移した」と、言及している。
米英石油会社の探索撤退に、西サハラ難民政府は、「両石油会社は数年間、ブジュドウール鉱区の入札をモロッコに対して行ってきた。しかし、国際法は西サハラ天然資源をモロッコのものと認めておらず、入札は不法で無効だ。モロッコと西サハラ鉱物資源に関して契約をしている他社は、コスモスとカプリコーンに倣って、即刻、契約解除すべきだ」と、迫った。
モロッコは、石油などの天然資源契約廃棄ドミノ現象を食い止めようと、必死で動きだした。繰り返すが、国連が植民地と指定した西サハラの天然資源には、封印が張られている。コスモスが西サハラ内の鉱区を入札しても、実際に採掘作業はできない。
つまり、ペーパー投資に過ぎない、
(4)スペイン植民地時代から続いているリン鉱石盗掘:
チュニジア国境に近い北東アルジェリアのテバッサ地方には、アルジェリアが世界一と期待している大量のリン鉱石が、埋蔵している。ところが、5月16日にAECアルジェリアエネルギー公社が、「採掘を合同で開発する外国企業に声をかけたが、未だにどこからも返事がない」と、発表した。「沈静化しない反政府デモと、大統領不在の政情不安で、どこの国も商売の契約などやりたくないのだ」と、リン鉱石産出国として中国、アメリカに次ぎ世界第三位につけているモロッコは、ほくそ笑んでいる。因みにアルジェリアは19位だ。
しかし、モロッコが誇るリン鉱石は、モロッコ占領地・西サハラ産だ。西サハラは国連の1960年<植民地独立付与宣言>に基づいて、<植民地>と指定されている。再度繰り返すが、当該地の天然資源に、他国が手を出すことは出来ない。つまり、モロッコのリン鉱石採掘は 国際法に違反する盗掘になる。西サハラのリン鉱石は、スペイン植民地時代からモロッコ植民地の現在にいたるまで、盗掘され続けてきた。モロッコは、44年間にわたるリン鉱石盗掘の賠償金を支払わなければならない。そして、前植民地宗主国スペインも同罪だ。
♠アメリカ大統領の娘婿でユダヤ人クシュナーは、義理の父親が日本訪問を終え帰米の途に就いている頃、モロッコ国王モハンマドⅥ世から、断食後最初の食事をご馳走になっておりました。 アラビア語でイフタルと申します。 クシュナーは6月25~26日にバハレーンで「パレスチナ経済会議」を企んでおり、モロッコ、ヨルダン、イスラエルと、根回しツアーの最中です。 パレスチナ人を兵糧攻めにし、餓死寸前の鼻面に餌をチラつかせ、クシュナーはイスラエルのネタニヤフ首相と共謀し、<いうこと>をきかせようと暗躍しています。 <いうこと>とはパレスチナ人の人権と民族自決権を無視した<新中東和平案>です。
「パレスチナ人は金で魂を売り渡さない!」と、件のイスラム教アラブ人ジャーナリストは断言するのですが、、
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年6月1日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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