SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】326 モロッコVS西サハラAU首脳会議でTICAD7前哨戦

 2019年7月8日午前11時から約1時間、アルジェリア大使にお会いし、TICAD7 とニジェール首都ニアメで行われていた<AUアフリカ連合特別首脳会議-AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)設立>のことなど、勉強させていただきました。 
 その時、ニアメは8日の丑三つ時でしたが、7日、モロッコ代表がAfCFTAにケチをつける声明を出し、その対応にAUアフリカ連合や西サハラ難民政府などが追われていました。 AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)は、TICAD7を目前にした日本にとっても、注目すべき壮大な経済構想です。

(1) ニアメAU特別首脳会議:
2019年7月7日と8日、ニジェールの首都ニアメでAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)の設立をテーマに、AUアフリカ連合の特別首脳会議が開かれた。中国新華社通信は、好意的な詳細を伝えた。それによると、2019年度AU議長国のシシ・エジプト大統領は、「AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)は世界最大規模の自由貿易圏となる。成功に向けてAU加盟国は対話を進め、経済的な補完性を確保し、よりよい投資環境を作らなければならない」と語った。また、ニジェールのイスフ・ニジェール大統領は、「アフリカ大陸自由貿易圏の設立は、AUが発足してから最大の事業である。アフリカ大陸の潜在力を一層掘り出し、資源の開発が進んで、さらなる雇用が生まれるだろう」と。演説した。これまでにAU加盟55カ国のうちエリトリアを除く54カ国が調印し、このうち27カ国が国内での手続きを済ませてAU委員会に承認書を提出した。アフリカ最大の経済大国ナイジェリア大統領ブハリもAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)に署名した。
AFP(アルジェリア・プレス・サービス)は、「アルジェリア代表のヌ-ルデイーン・べドウィ首相は、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)の設立は、歴史的なターニングポイントだ。例外なしに、全てのアフリカ諸国と共に、アフリカの尊厳と独立と連帯に基ずく自由貿易の恩恵を共有していきたい」と、演説の内容を伝えた。さらに、「我が国としてAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)協定最初の行動は、<メイド・イン・アフリカ>のラベルを貼った製品を生産することだ」と、演説を要約した。

ニジェール首都ニアメでのAU(アフリカ連合)特別首脳会議に参加する

西サハラ難民政府大統領ブラヒム・ガリ、前列左端

(2)モロッコのAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)反発:
AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)設立が公式発表されたのを受けて、7月7日にモロッコ代表のナセル・ブリタ・モロッコ外務大臣が、「モロッコのAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)対応は、モロッコ領土権と国民統合を脅かすような、認識や体制や機構であってはならないよう、監視することだ。もしAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)がティンドゥフ(西サハラ難民政府SADRサハラウィ・アラブ民主共和国があるアルジェリア最西端の地名)で実践されたら、この機構は、どんな通貨を使用するんだ?結局、アルジェリア通貨を使うんだろう?その交易は、アルジェリアという国内で行われる、単なる自国商売にすぎない。AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)の範疇に入らない。署名をした他のアフリカ諸国も同様で、夫々の国が夫々の地域での経済圏に属している。見てみろ!その地域の経済圏が他の地域の経済圏と全く絡み合っていないじゃないか?!」と、統一通貨と統一市場と関税廃止を目標とするAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)の非現実性を批判した。モロッコ外務大臣ブリタは、モロッコを含むフランス語圏西アフリカと英語圏東アフリカの格差を強調し、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)は不条理だと難くせをつけた。そして、「モロッコ国王に成り代わって」と、付け加えた。
ちなみにモロッコは、ニアメAUアフリカ連合・首脳会議に、首相も送らず外務大臣でモロッコ首脳を代行させた。モロッコ特有の自己表示で、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)もアフリカ連合も馬鹿にしている。モロッコ外交は強い欧米や湾岸金持ちに弱く、弱いアフリカ諸国に強い。日本に対するモロッコの外交評価は??

(3)西サハラのモロッコ・ブリタ外相に対する反論:
  7月9日、AU(アフリカ連合)特別首脳会議が行われたニアメで、西サハラ難民政府SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)は、モロッコ外相ブリタに反論する声明を出した。声明は、「AU(アフリカ連合」貿易・産業委員会はAU(アフリカ連合)特別首脳会議に、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)の詳細と批准国のリストを提出し、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)は正式承認され効力を発揮することになった。SADRは批准国リストに載せられた。未批准のモロッコがAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)を批准すれば、2017年にモロッコがAU(アフリカ連合)憲章を受け入れたのと同様、西サハラと並ぶAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)加盟の一国となる。モロッコはこの現実を受け入れなければならない」と、モロッコのAU(アフリカ連合)に対する根拠のない難くせを批判した。そのうえで声明は、
「① モロッコはAU(アフリカ連合)の一員として、その憲章と決議に従う義務がある
➁国際司法裁判所を含め国際社会は、西サハラに関するモロッコの領有権を認めてない。
③モロッコと西サハラは、2地域で別々の国であることを、UN ,AUなどが認めている。
④モロッコ軍が西サハラを占領支配している事は、UN,AU,国際裁判所が認識している
⑤従って、モロッコ占領当局が西サハラの資源に手を出すことは、国際法に違反する」
と、項目を挙げて、モロッコ外務大臣ナセルに再考を促した。そして、モロッコ庶民を移民やテロや麻薬に追い込むモロッコ王族に、忖度しなければならない外務大臣へ同情をよせた。

AU(アフリカ連合)ニアメ特別首脳会議の合間に、西サハラ難民政府SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)大統領ブラヒム・ガリは、8月2日のモーリタニア大統領モハンマド・ワリド・アブデルアジズ大統領就任式に招待されました。 日本は西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリを招待するのかな?  「日本が招待しなくても、AU加盟国の一員として、参加する権利があるし、参加する義務がある」とは、アルジェリア大使のご見解です。 しかし、招待されない参加となると、飛行機券も滞在費も、自分で払うことになるのでしょうネ?  一番貧乏な西サハラ難民政府に、大金持ちの日本が金を払わせるの??  <思いやり外交>は、強国アメリカ専用外交のようです、、

Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年7月11日

SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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