SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】340 西サハラ国家を再承認したレソト王国

 レソト王国は南アフリカの中にある立憲王制の小国です。 人口219万人、面積は約30km2、四国の1.6倍ぐらいです。 標高1,400m平均の山国で、湿潤温暖気候に恵まれ農業畜産で人々は貧しくても豊かな自然生活を送っています。 1966年10月4日、レソト王国はイギリス植民地から独立しました。 1977年10月9日、RASD西サハラ・アラブ民主共和国を、正式に承認しました。 ところが、モロッコが、レソトは承認を撤回したと言い出したのです。 嘘つきは、誰だ??

① 国連脱植民地化委員会:
 2019年10月7日、ニューヨークの国連本部で西サハラ国連代表のシデイ・オマル博士が、国連脱植民地化委員会(通称第4委員会)の国連PKOアフリカ担当ビントゥ・ケイタ女史と会談した。オマル博士は、国連西サハラPKO・ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に関する西サハラ側の見解を説明した。10月3日に西サハラ難民政府大統領ブラヒム・ガリも、国連事務総長宛ての書簡で、「モロッコによる意図的な国連作業に対するサボタージュは、モロッコ占領地。西サハラに於けるモロッコ当局の残酷な迫害をますます助成している」と、訴えている。「モロッコのサボタ―ジュは、国連西サハラ事務総長個人特使の新任命にまで及んでいる」と、前任者のホルスト・ケーラーが突然辞任してから、既に5カ月も個人特使の席が空いたままであることにも、言及した。さらにブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領は、モロッコが前国連事務総長西サハラ個人特使が建てた交渉の道標を、モロッコは過去のレジェンデとして、脱植民地化行動もろとも、葬り去ろうとしていると、警告を発した。モロッコにかかると、国連憲章も国連決議も十羽ひとからげにレジェンデ(昔噺)として、古い遺物箱に収められてしまう。

国連脱植民地化第4委員会で発言するシディ・オマル西サハラ国連代表

② レソト王国:
 10月7日、CORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)が、「レソト王国外務省は覚書で、
SADR(西サハラ・アラブ民主共和国)の承認を撤回したことを発表した」と、伝えた。さらにCORCASは、「モロッコ外務大臣ナセル・ブリタが、7日のレソト王国外務大臣との電話でその撤回を再確認したと、モロッコ外務省が伝えている」と、言及した。
 10月8日、レソト王国外務大臣は、「モロッコが言うレソト王国の西サハラ承認撤回は全くの嘘だ。モロッコが様々なメデイアに流したレソトに関するニュースは、レソトの外交方針を歪めている」と、モロッコによる手前勝手な発表を非難した。
 10月9日、改めてレソト王国外務省はRASD西サハラ・アラブ民主共和国外務省に宛てて、正式書簡を送った。書簡はモロッコの国家承認撤回を強く否定したうえで、「1977年10月9日にレソト王国がSADR西サハラ・アラブ民主共和国を国家承認して以来、両国の関係は緊密で未来志向に満ち溢れてイルカ。レソト王国は西サハラ人民の民族自決権を限りなく支持し、ミヌルソMINURSO (国連西サハラ人民投票監視団) が、その任務を遂行し、一日も早く民族自決権のレファレンダム(国連西サハラ人民投票)を国連が実施することを、強く要望する」と、明記している。
 嘘つきは今回も、モロッコでした。
 アフリカのレソトは、王国でも西サハラを国家承認している。スウェーデン王国はヨーロッパで先駆けて、西サハラを正式に国家承認しようとしています。 日本も、「皇室王室外交」をより未来志向型にするため、平等で公正な立場で、国連がてこずっている西サハラ問題に一石を投じるお積りはありませんか?
 ちなみに、世界の君主内訳は国王が17名、首長が2名、大公が1名、公が4名、大統領が1名、元首が1名、天皇が1名、教皇が1名の約27名が在位している。世の人は、<君主>がお好きなのかな??

➂ウガンダ、ウルグアイ、、、そして、NGO西サハラ支援団体:
 10月8日の国連脱植民地化委員会(第4委員会)で、アフリカのウガンダ国連大使代理が、「アフリカ大陸最後の植民地西サハラの脱植民地化を強く支持する。西サハラの人々には、国際社会が認めている民族自決権がある。関係国は、UAアフリカ連合が主張するトロイカ(AU+EU+UN)の指導の下に、真摯に未来志向で交渉をするべきだ.(話し合い)」と、中断している国連主催の脱植民地化交渉を促した。
 同日の10月8日、同第4委員会で南アメリカのウルグアイ国連大使ルイス・ベルムーデスも、「西サハラ紛争の解決に西サハラ人の民族自決権行使が欠かせない。ようやく出来た両紛争当事国モロッコとポリサリオ西サハラ代表が交渉に就くというムードを、壊してはならない。国連憲章1514が保障する西サハラ民族自決権を、西サハラ人民が享受できる解決策を、両当事者は模索すべきだ」と、両当事者交渉の速やかな再開を促した。そして大使は、「アフリカ最後の植民地西サハラを脱植民地化させるためにも、早急に国連事務長西サハラ個人特使の後釜を決めるべきだ」とUN(国際連合の)を急かせた。
 10月11日の国連脱植民地化第4委員会で西サハラ難民政府国連代表オマル博士が、「西サハラ問題は、西サハラ人民の状況を鑑みても国際法に照らし合わせても、まさしく第4委員会が緊急に解決しなくてはならない脱植民地化問題だ」と、先陣を切った。続いてNGOの西サハラ支援者や団体の多数が、「西サハラの人々には、国際社会が認める独立権がある。国連は約束した、最後のアフリカ植民地西サハラにおける人民投票を、一日も早く施行すべきだ」と、口々に訴えた。

 日本時間の10月12日早朝、ニューヨーク時間の10月11日昼、国連定例記者会見がありました。 アントニオ・グテーレス国連事務総長はその日の早朝にノーベル平和賞がグレタ環境活動家に決まるのを予想し、その朗報を発表してデンマークの気候環境会議に出発するつもりだったようです。 しかし、ノーベル平和賞受賞者はエチオピア首相アビー・アハメドに決まりました。
 事務総長報道官は手短に、「私はこれまで度々、希望の風がこれまでになく強く、アフリカに吹きまくっていると言ってきた」と、ノーベル平和賞事務総長声明を読み上げました。
 エチオピア首相の受賞を決めたノーベル平和賞選考委員会は、非常に未来志向だと思われます。

Youtube2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年10月13日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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