やりました! オマル西サハラ難民政府国連代表の外交努力が功を奏して逃げ回る国連事務総長をアフリカのエチオピアで摑まえ、ガリ西サハラ難民大統領とグテーレス国連事務総長の対決を実現させました。
ガリ西サハラ難民大統領VSグテーレス国連事務総長、
右端がオマル西サハラ難民政府国連代表
(1) ガリ西サハラ難民大統領VSグテーレス国連事務総長の対決:
2020年2月10日、AUアフリカ連合年頭首脳会議が開かれたエチオピア首都アジスアベバで、2017年2月の国連事務総長就任表敬訪問で記念写真を撮って以来、3年越しの会談要請にやっと事務総長が応じた。フランスが主導するCOP国連気候会議と、モロッコが主張する西サハラ領有権との交換条件を呑んだとみられるグテーレス国連事務総長は、<フランス+モロッコ+グテーレス>の共同戦線を張ったようだ。ブハリ西サハラ難民政府国連代表を抹殺し、西サハラ問題を追及していたリー・マチュウ記者を国連から永久追放し、2019年5月には国連安保理が任命した国連西サハラ個人特使を首にした。以来、国連で<西サハラ>の言葉は聞かれなくなった。代わってモロッコのいうモロッコ・サハラ(西サハラのモロッコ式名称)がのさばり、<フランス+モロッコ+グテーレス>は、<西サハラ地方自治案=西サハラのモロッコ植民地化>を宣伝して回っている。
ガリVSグテーレス会談の冒頭、ガリ西サハラ難民大統領は、「9か月になろうとしている国連西サハラ個人特使の空席を、一日も早く埋めて欲しい。放置している国連和平作業を、即刻、再開して欲しい」と、強く迫った。そして、「西サハラ人民の我慢にも限界がきている。国連決議と国際法が保障する西サハラ民族自決権を取引きにするような国連作業には断固として応じない。29年前に国連安保理が約束した国連西サハラ人民投票を速やかに施行すべきだ」と、訴えた。
グテーレス国連事務総長は、「西サハラにおける政治的作業を進展させる。近いうちに個人特使が指名されることを願っている」と、述べた。彼の言う<政治的作業>とは、<西サハラにおけるモロッコ化と西サハラ側の権利剥奪>を意味する。
西サハラ代表団は、ガリ大統領、オマル国連代表、アブダテイ大統領補佐官が、右に陣取り、国連側はグテーレス事務総長、ジャン・ピエール・ラクロワPKO代表、ローズマリー・ディカルロ政治平和構築代表などが左に座った。会談をアレンジした功労者は、オマルとローズマリーの二人だ。
(2) ガリVSグテーレス会談にAU、アルジェリア大統領、南アフリカ大統領は?:
ガリVSグテーレス会談を受けてAUアフリカ連合は、アフリカ連合加盟国である西サハラ共和国とモロッコ王国が直接交渉を再開して、このアフリカの長期紛争に決着をつけることを要請した。
AUアフリカ連合年頭首脳会議で、アブデル・マジド・テッブーン・アルジェリア大統領は、「私は数日前に国連事務総長に宛てた書簡で、国連事務総長が首にしたホルスト・ケーラー国連西サハラ事務総長個人特使の後任者をしないどころか、西サハラ紛争解決に向けて働いていないのは、誠に遺憾だと苦言を呈した」と、非難した。アルジェリア大統領は「サハラ人民の神聖なる民族自決権を行使するためには、自由で公正な国連西サハラ人民投票実施が不可欠だ」と、強調した。そして、「アルジェリアは、西サハラ問題がアフリカ人民として解決しなければならない脱植民地化問題であることを、再認識している。そのために、AUアフリカ連合がその偉大な能力を発揮することを期待している」と、結んだ。
2020年AUアフリカ連合議長に就任したシリル・ラマポーザ南アフリカ大統領は、「AUアフリカ連合は、西サハラ共和国の独立を支援し続ける。そして、西サハラ人民の民族自決権と国連西サハラ人民投票を支持する」と、誓った。
(3) モロッコは欧州植民地支配者のつもり:
日本のTICAD7と同様に、AU年頭首脳会議も馬鹿にしたモロッコは、ブリタ外務大臣しか送らなかった。しかも、2月9日の開会式後に短い声明文を出しただけだった。その声明文で、「モロッコ・サハラ問題の解決は国連の手に委ねられている。国際社会の同意を得る解決策を国連は模索している」と述べた。そして、モロッコ主権の地方自治案(=モロッコ植民地案)しかないと、改めて断言した。
MWNモロッコ世界ニュースがアメリカ・ネットニュースAxiosの情報と断って、「イスラエル首相ネタニヤフがアメリカ♠政権に、<アメリカが西サハラのモロッコ領有権を認める代わりに、モロッコにイスラエルを正式承認させる>と、交換取引を強く促した」と、発表した。MWNモロッコ世界ニュースがモロッコ外務省に事実確認を聞いたところ、否定はしなかったそうだ。モロッコとイスラエルは裏で強く繋がっているが、表向きはパレスチナに忖度して正式な国交を結んでいない。もし、モロッコがイスラエルを正式承認すれば、それでなくてもボロボロのアラブ世界は崩れてしまい、イスラエルとアメリカ♠政権の新中東和平案が現実味を増してくる。チリ紙交換のように、軽い気持ちで国の交換取引
が繫盛するのだろうか?
さて、2月10日の国連定例記者会見では、事務総長のAUアフリカ連合参加を事務的に
伝えました。 事務総長が多数のアフリカ首脳と二者会談を行ったと、発表しました。が、具体的には何も報告しませんでした。 <西サハラ>という言葉は全く出てきませんでした。 どこまで現国連執行部は西サハラを無視し続けるのでしょうね?
*「アリ 西サハラの難民と被占領民」の只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行 定価 税抜き2,000円
*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2020年2月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9454:200215〕