SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】391 ロシア国連大使、ブレーク!

2020年10月31日で、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の1年任期が切れます。 昨年の2019年10月31日に、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の一年延期を、安保理メンバー15か国のうちロシアと南アフリカが棄権しましたが、賛成13で可決しました。 ロシアと南アフリカが棄権した理由は、「任期を短くし、さっさと28年を超える国連の人民投票をやるべきだ」というものでした。
フランスや旧フランス植民地諸国は、「西サハラ紛争は交渉で解決すべきで、時間がかかる」と、1年任期に固執しました。 モロッコと旧モロッコ宗主国フランスは、モロッコ占領地・西サハラの開発を活発化させ、ズルズル引っ張ってその間にモロッコ化を進める積りです。 勿論、モロッコとフランスは、西サハラ住民投票にも反対しています。 そして、1年が無為無策のうちに、過ぎていきました。
こうして30年間、国連は何もしないで、西サハラを放置してきました。

① 10月1日、国連安保理議長国ロシアの記者会見:
10月1日の国連定例記者会見でフランス人のステファン国連事務総長報道官は、「10月国連安保理議長のドイツ、、、」と言いかけて、「ロシアの(国連」総代表 ネベンチアの会見がある」と、訂正した。そして、「彼に(間違ったことを)言わないでね」と、会見室の記者団に念を押した。さらに、「Don’t let me out(私を出さないで)」と付け加えた。確信犯のステファン国連事務総長報道官がウッカリ<ロシア>を<ドイツ>と間違える訳がない。
アメリカのニューヨークにある国連は、グテーレス国連事務総長のポルトガルを始め国連常任理事国5か国のうち米英仏3か国はナトーNATO(北大西洋条約機構)側で、アンチ・ロシアになりがちだ。
陽気なバッシリ・ネベンチア・ロシア国連大使は意地の悪い欧米記者の質問を冗談でかわしながら、真摯に応答を続けた。そして中東の記者に対して、「シリアやイラクから米軍は約束通り完全撤退すべきだ。なぜなら、シリア、イラクの政府や国民が求めているからだ」と、丁寧に主張した。パレスチナのアブデル・ハミド記者に対して、「水面下で4者会談を進行させている。一方的な決定を押し付けても、パレスチナ問題は解決しない。パレスチナの友人たち、勇気をもってイスラエルとの直接両当事者交渉に挑戦してほしい。エルサレム問題や入植問題は、両当事者が直接話し合って解決すべきだ」と、強調した。「大使、予定の1時間がゆうに過ぎました、、」と、司会者が会見を終ろうとした時、大使が、「まだVTCの向こうで手を振っている人がいるよ」と、司会者を促した。レバノンから女性記者が、興奮した震え声で、「イスラエルがレバノンと経済関係の正常化を目論んでいる」と、コロナ+爆発テロ+イスラエル侵食のトリプル惨状を訴えた。「我々は、パレスチナの人々や中東の人々と共に、地域安定化のため活動を続けていく」と、答えた。そしてさらにもう一人と、こぼすことなく記者たちの質問を全部受けた。1時間26分10秒、室にいた記者たちが、笑顔でロシア国連大使に手を振って退席しいくという、珍しい楽しい光景が見られた。何もかも不確かな世の中で、人の誠実さと優しさが光ったネヴェンチア・ロシア国連大使の記者会見だった。

ロシア国連大使バッシリ・ネヴェンチア

➁ 2020年10月の国連安保理は西サハラ検証の月:
ロシア国連大使は10月の国連安保理プログラムの中で、「10月14日にミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に関して討議し、10月28日午後にミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の採択をする」と発表した。
10月14日、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に関する、最初の討論がビデオ方式で行われた。但し、未公開なので、残念ながら中継描写ができない。9月30日、国連安保理に提出された<ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)10月行動計画>の要約を紹介する。
理事会の行動予定;10月31日で切れるミヌルソMINURSOの任期延長を検討するため、コリン・スチュワートMINURSO代表の報告を受ける。
最近の主な動き;2019年5月22日に国連事務総長西サハラ個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領が突然辞任して以来、国連事務総長は後続の個人特使を指名していない。
ホルスト・ケーラー元個人特使は在任中に、モロッコとポリサリオ西サハラ代表の両当事者に、アルジェリアとモーリタニアのオブザーバーを加えた交渉の席を設けた。が、彼の辞任以来、両当事者交渉は中断している。一方。国連事務総長は西サハラ情勢に進展があること願って、<Good Office(親切な事務所)>の立場を維持し続けている
人権問題の進展;第45回人権委員会でミシェル・バチェレット国連人権高等弁務官が「人権高等弁務官」事務所は、5年前から中断している西サハラ人民の人権侵害にかんする検証
を再開する」と、語った。
問題点と提案;国連安保理のメンバー諸国は、安保理懸案事項で最長になる西サハラ紛争に於いて、個人特使の欠落と政治的進展の欠落に焦点を当てるべきだ。ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)は、1991年に創設されて以来、その本来の目的である、西サハラ人の民族自決権に基づく<西サハラ人民投票>に手をつけていない。
安保理とさらに広い国際社会の動き;多くの国連参加国が、西サハラ紛争に関して政治的進展がないことに加え、国連事務総長が事務総長個人特使の指名をやらないことに、イライラしている。
今年も、アメリカが西サハラの草案を作成する。フランス、ロシア、英国、米国に加えて、旧西サハラ植民地宗主国のスペインも草案作りに参加するが、アフリカ大陸からの参加国はいない。

➂ 対決する二人のオマル:
モロッコ国連大使オマルとポリサリオ西サハラ難民政府国連代表オマルがニューヨーク西サハラ国連検証を巡っで対決している。モロッコの方はオマル・ヒラ―ル、西サハラの方はシディ・オマルという。
「国連事務総長が、ポリサリオもその代表も国連には存在しないと明言している。国連事務総長は2020年9月23日の国連安保理に宛てた報告書で、<ポリサリオと名乗る武装分離主義者どもが勝手に国連で自己主張し、代表と称する輩が国連を徘徊してる>と、二カ所で言及している。この悪名高い輩は、ニューヨークのポリサリオ代表に過ぎず、断じて国連の代表ではない」と、モロッコ・オマルは西サハラ・オマルをヘイトスピーチでこきおろした。
これに対して西サハラ・オマルは、「西サハラ問題は国連脱植民地第4委員会で、その地域住民の独立を認める脱植民地化の行使を約束されている。モロッコ国連代表による、西サハラの国連に於ける立場に関して、全く根拠のない彼一流の脅迫観念に過ぎない。全くの作り事で独りよがりの考え方に、深入りは無用だ」と、反論した。
10月末の国連安保理西サハラ決議は、二人のオマルのどちらに軍配を上げるのでしょうか?

モロッコは11月10日まで、緊急事態宣言を延長しました。 10月15日、モロッコの感染者数は3.317人で、感染者数累計は163,650にのぼりました。 世界中でコロナ感染者数が激増し。ロシアもイギリスもフランスもコロナ第二波襲撃を宣告し、新たな旅行規制などのロックダウンを設けました。 フランスは3万621人、イギリスは2万人と、一日感染者数が急増した10月15日、WHOヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は、「今こそ追加の規制措置を講じる時だ」と新たな規制を歓迎しました。そんな中で日本だけが、検査数を規制し感染者数を改ざんし旅行規制を緩めて<Go To Eat >や<Go To Travel>などと、外国語で国民の浪費をあおっています。
「無駄遣いするなよ!」と、京都生協キャラクターが言ってますけど、、

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*難民アスリート・サラーの最新ドキュメンタリーがYoutubeにアップしました。
https://youtu.be/jz7lFr2c_Jk スペイン語ですが、西サハラ難民キャンプが見られます。

*占領地からの脱出―「アリ 西サハラの難民と被占領民の物語」只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行  定価 税抜き2,000円

*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I

Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2020年10月16日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10206:201017〕