イエスのマリアが西サハラの支援演説を、第75回国連総会第4委員会・脱植民地委員会でやりました。 マジな現代のお話です。 現存するイエスのマリアは、フルネームを<イエスのマリア・フェッレイラ>と言い、アンゴラ共和国の国連大使を務めています。 現在、第75回国連総会第4委員会・脱植民地委員会では、この地球から植民地を失くそうと、参加国が討議を重ねています。
① <イエスのマリア>の西サハラ支援声明:
<イエスのマリア>アンゴラ国連大使は、2020年10月20日の第75回国連総会脱植民地委員会で、「我が国アンゴラは、UN国連とOAU(アフリカ統一機構=AUアフリカ連合の前身)による和平案で、1990年と1991年に国連安保理が採択し両当事者(モロッコとポリサリオ西サハラ)が受け入れた国連西サハラ人民投票を、強く支持している。そして、その人民投票を施行するために設置されたミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に、勇気をもって使命を全うするようハッパをかけたい」と、西サハラ紛争を巡る国連の怠慢、あるいは故意のボイコットを、明確に理論的に非難した。さらに、「この、あまりにも長すぎる国連懸案の西サハラ紛争は、早期の決着が必須だ。そのためには、両当事者による直接交渉が一日も早く再開されねばならない。そのためには、前任者が放り出したまま空席になっている国連仲介者、国連事務総長西サハラ個人特使を、早急に任命しなければならない」と、国連事務総長に国連西サハラ人民投票の実現と個人特使の任命を強く促した。そして、「1960年12月14日の国連総会で採決した国連決議1514は、全世界の植民地と被占領民に対して、自由と解放と独立を約束した。にも拘わず、国連が創設されて75年経った今も、植民地が残っていて脱植民地化運動をしなければならない有様だ。その現実に、我々は目をつむってはいけない」と、国際社会を鼓舞した。
アンゴラ共和国は、ポルトガル植民地だった。長い独立戦争の後、やっと1975年にポルトガルから独立したが、その後もアンゴラのダイヤモンドや石油を狙う旧ソ連や欧米に干渉され、内戦が続いた。そして、アンゴラ全土に数百万発の地雷を残したまま、2002年にやっと平和が訪れた。ポルトガル語が公用語で、<イエスのマリア>は<Maria De Jesus dos Reis Ferreira>と、ポルトガル語で表記される.
イエスのマリアは、アンゴラ陸軍准将を退役した後、ポルトガル・リスボンで経済と人道関係の博士号を取得した。オーストリア、スロベニア、クロアチアなどの大使を務める一方で、ウィーンにあるIAEA(国際原子力機関)やUNIDO(国際連合工業開発機関)や包括的核実験禁止条約事務所などのアンゴラ代表を兼任した。そして、2018年5月22日、アンゴラ国連大使に就任した。
<イエスのマリア>の西サハラ脱植民地化声明は、分かり易く的を得ていた。
➁ 国連脱植民地委員会・第4委員会で相次ぐ西サハラ支援の演説:
これまで、アルジェリア、南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ナイジェリア、モザンビーク、シェラレオネ、などのアフリカ諸国が、UN国連とAUアフリカ連合の決議に基づいて、西サハラ脱植民地化支援を、第75回国連総会第4委員会・脱植民地委員会で表明した。多大な犠牲を払った植民地戦争で独立を勝ち取ったこれらの国々は、「経済侵略を含む、いかなる形での植民地と占領を、この地球上に存在させてはいけない。植民地と被占領下にある人々には、国際的人権擁護憲章と国連憲章に基づく、脱植民地化と独立が認められている」と、異口同音に植民地主義を非難する。
南アフリカ国連代理大使エクソリサ・マボンゴは10月16日の第75回国連総会第4委員会・脱植民地委員会で、「南アフリカは、今再び、西サハラの人々に国連が保証した民族自決権を行使するため、<国連西サハラ人民投票>を実現する行動を、国際社会に呼びかけている。そのために、31年も前、国連安保理はミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)が創設されたのだ。が、未だに任務を遂行していない」と、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の怠慢を指摘した。さらに、「国連安保理は、国連西サハラ人民投票の作業を速やかに進行させるため、両当事者と国際社会の仲介役を務める国連事務総長個人特使を任命すべきだ。前任者が辞任して一年半も経つのに、未だに後任者が決まらないのはおかしい」と、国連安保理を急かした。
➂ 国連脱植民地委員会・第4委員会で、モロッコ占領を支持する元フランス植民地国:
コルカスCORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)によると、コートジボワール、セネガル、ギニアビサウ、などの元フランス植民地アフリカ諸国は、AUアフリカ連合の決議や憲章を無視して、モロッコの西サハラ領有権を認めているそうだ。
南アフリカと共に国連安保理非常任理事国の席を持つコートジボワールは10月16日の第4委員会で、「サハラでモロッコが主導権を握っている<モロッコ自治領>を支援している。国連安保理が挙げている<誰もが納得できる政治的決着>に向けて、交渉すること」を、推奨した。コートジボワール国連代理大使デジレ・ウォルフランは、「2015年以来、モロッコ・サハラで展開されている政治的、経済的、文化的開発は、大いに歓迎されるべきものだ」と、述べた。さらに、「アラブ・マグレブ連盟?の枠内で、この問題は全て政治的取引きで解決され、その結果、この地域に安定をもたらすことになる。この観点から、コートジボワールはモロッコを支持する」と、モロッコによる<サハラのモロッコ化>を推奨した。
同じくコルカスCORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)は、「セネガルは金曜日の国連第4委員会で、この人為的なフェイク論争を打破しようと試みた。その上でセネガルは、現実的決着を促すモロッコ占領政策と、サハラのモロッコ化を、変わらず支持すると述べた」と、伝えている。
西サハラ紛争に関して、グテーレス国連事務総長は一年半以上も国連の責任者を指名せず、両当事者交渉の再開もせず、終にはモロッコが主張する<政治的決着>を報告書で推薦するようになりました。<政治的決着>とは、<モロッコ植民地を西サハラにのませようとする圧力解決>を意味します。 グテーレス国連事務総長は、モロッコ植民地化を指導するフランスと、<パリCOP>などで共闘する元アフリカ宗主国仲間です。
元ポルトガル植民地のアンゴラが、元宗主国ポルトガルのグテーレス国連事務総長に、西サハラの脱植民地化を懇願しても、聞く耳持たずです。
10月24日は国連の日。 1945年のこの日、同年6月に定められた国連憲章に基づき国際連合(国連)が誕生しました。 国際連合は、世界の平和と安全を維持し、国と国との友好関係を発展させるとともに、社会の進歩、生活水準の向上などを進めることを目的としているそうですが、国と国との紛争は治まらないし、社会は奈落の底に真っ逆さまだし、、
<イエスのマリア>様、どうか、イスラム教徒の西サハラ人を救ってください!
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*難民アスリート・サラーの最新ドキュメンタリーがYoutubeにアップしました。
https://youtu.be/jz7lFr2c_Jk スペイン語ですが、西サハラ難民キャンプが見られます。
*占領地からの脱出―「アリ 西サハラの難民と被占領民の物語」只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行 定価 税抜き2,000円
*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2020年10月23日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10226:201023〕