米大統領選挙戦に国連も国際社会もマスコミも、未だに振り回されています。 その一方、世界中で戦争が続き戦争が勃発し、目に見えないコロナ爆弾は、誘発を続けています。
エチオピアでは、11月4日に北部の少数民族ティグレ族の軍事組織が政府軍の基地を攻撃し、アビー首相が反撃を命じ内戦が始まりました。これまでに数百人以上が戦死し、7000人以上のエチオピア住民が隣国スーダンに難民となって逃げ込みました。 2019年ノーベル平和賞受賞者であるアビー首相は、賞金約1億1,300万円で武器を買ったのでしょうか?
長年、紛争が続いているパレスチナでも西サハラでも闘争が続き、国連が言うところの平和交渉は一向に進んでいません。
PKO国連平和維持軍ナンバーⅡのジャン・ピエール・ラクロワ氏はコロナに感染しリスボンで引き籠りだとか? そう言えば、エチオピアのテドロスWHO事務局長はコロナ感染の有無を明かさず、自宅隔離中でしたね? 何でもコロナの所為ですかネ、、
① パレスチナ・トップ交渉人、サエブ・エラカート博士逝去(1955年~2020年):
イスラエルとの和平交渉を最初から仕切ってきたサエブ・エラカート・パレスチナ自治政府の重鎮に、10月8日、コロナ検査で陽性反応が出た。エラカート博士はパレスチナのジェリコにある自宅に、自己隔離した。その後、容態が急変し昏睡状態でエルサレムのイスラエル医療センターに搬送された。約1か月間のベンチレーター治療を受けたが、意識を回復することなく逝去した。エラカート博士は、1993年にクリントン元米大統領が仲介したイスラエルとのオスロ和平合意から、和平交渉に参加してきた。合意に調印したPLOアラファト議長とイスラエル・ラビン首相とシモン・ペレスの3名は、1994年にノーベル平和賞を受賞した。賞金は3人で山分けしたのかな?その後、3人は夫々の事情で死亡し、和平合意は頓挫したままだ。
エラカート博士は、2017年1月28日のCNNインタヴューで、「米国が東エルサレムは併合されたと言うのなら、我々はいかなる状況でもイスラエルを国家として認めない」と断言した。さらに、「米国がエルサレムへの大使館移転に踏み切った場合、国連総会にイスラエルの加盟資格の中断を求める」と、強く米トランプ大統領を牽制した。しかし、エラカート博士は、一連のイスラエルべったり米政策を仕切っている、ユダヤ人でトランプ娘婿クシュナーには言及しなかった。20⒛年8月、イスラエルとUAEアラブ首長国連邦が正式に国交を回復した時も、クシュナーを名指しで非難しなかった。
<パレスチナの大義はアラブの正義>と、筆者がインタヴューをした時、エラカート博士は何度も繰り返した。パレスチナのジェリコにある博士の家は、眩い日差しがこぼれ、植物が一杯の温室、、アヒルや羊たちが自由に出入りしていた。コロナで病院に搬送される時、もし博士に意識があったなら、博士自身がイスラエルの病院を拒否したに違いない。アラファトがパレスチナのラマッラからパリの病院に空輸され、2週間後に殺された時と、状況が似ている。
悔やまれる、、
パレスチナ独立闘争のオピニオンリーダー、
故サエブ・エラカート博士
➁ モロッコ国王モハンマドⅥ世の王令:
ジョー・バイデン候補が米大統領選挙で勝利宣言をした時、いち早く「おめでとう」の
コメントを送ったのは、WHO(世界保健機関)事務局長テドロスと国連事務総長グテーレスだった。WHOは脱退を、国連は支援金削減やCOP(気候変動枠組条約締約国会議)からの脱退を、トランプ米大統領から宣告されていたからだ。テドロスWHO事務局長は「これで一安心」と、国連事務総長は「よろしくご協力を」と、本音を吐いた。
モロッコ国王は?モロッコ特有のオベンチャラ祝電を送らなかった。世界のリーダーたちが挙ってバイデンに尾っぽを振る11月7日、モロッコ国王モハンマドⅥ世は<西サハラに関する王令>を出した。MWN(モロッコ世界ニュース)が、「国王モハンマドⅥは、モロッコ西サハラの立場に高い目標を掲げた」と、報道した。さらに、「国王は国際世界にサハラのモロッコ化を認識させるため、これまで以上に外交的主張や経済的進展を強化させていく。国王は、これからの数カ月や数年の間に経済を急加速させ、ポリサリオの肩を持つ勢力に、ぐうの音も出ないようにしていく、、」と、国王による西サハラ占領政策を公表した。
モロッコ国王令に対して西サハラ難民政府は、「西サハラ人民は、国連と国際社会と国際法が保障している、西サハラ人の民族自決権を犯す行為には、一切、反対する。モロッコは、モロッコ西サハラ占領地に1975年から展開させているモロッコ軍を、速やかに撤退させ、西サハラの大地を開放するべきだ。西サハラ住民に対する迫害を止めるべきだ」と、声明を出した。
③ バイデンに祝辞を送った西サハラ難民大統領:
11月8日、西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリは、当選したジョー・バイデン氏に祝電を送った。そして、「アメリカが、西サハラの脱植民地化を目指す国際社会を、引き続き支援してくれることを望んでいる。そして、貴殿の政権が、西サハラの民族自決権の行使と独立に向けての運動を、よりダイナミックに援護してくださるように、、」とする、要望書を公開した。
11月11日、アメリカ下院防衛安全委員会の公聴会でアメリカ上院議員ジェームス・エンフォフ・上院軍事委員会議長が、モロッコの軍事拡大主義を強く非難した。ジェームス上院議員は、「モロッコは1991年にモロッコと西サハラが合意した停戦合意に違反し、停戦合意後も、モロッコは西サハラの鉱物資源や漁業資源を不法に採掘採取し、金を儲けている。さらに、最近はゲルゲラト地域に200人以上の兵を展開させ、西サハラ住民を脅かしている。今、まさに、モロッコに対して、国連合意を守るよう強く警告する時がきた。モロッコと西サハラの両当事者は、国連指導の下、速やかに、民族自決権に基づく<国連西サハラ人民投票>を行わなければならない。国連は、<国連西サハラ人民投票>を、早急に設定しなければならない」と、語った。
MWN(モロッコ世界ニュース)によると、2020年11月12日、モロッコの感染者数は6,195人で感染者数累計が276,821人に上ったそうです。
同じMWNが、アルジェリア大統領もコロナに感染して、ドイツで治療中だと伝えました。
コロナを利用する国連と国際機関と世界の国々、、私たち庶民も、何でもコロナのせいにしましょう、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2020年11月5日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10284:201114〕