メチャメチャな2020年でした。
<ミー・ファースト>の2020年でした。 世界の庶民を置き去りにして、国連もWHOも米国もイスラエルもモロッコも、<ミー>を主張し、<ミー>の利益を優先させた一年でした。 今のところ、強い<ミー>が勝っているように見えますが、年が明けるとどうなるのでしょうね?
① 国連安保理で西サハラ討議:
2020年12月21日、国連安保理12月議長のジェリー南アフリカ国連大使はドイツ
国連大使の提案で、西サハラ紛争に関する非公開討議を主催した。討議にはビント・ケイタAU(アフリカ連合)事務総長代理やコリン・スチュワートMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)代表などが報告したそうだ。トランプのQPQ(交換取引)による<モロッコの西サハラ領有権承認>や、ゲルゲラト緩衝地帯での戦況などが討議されたようだ。非公開というのは、世界の庶民を馬鹿にしている。
討議前の記者会見で、ステファン国連事務総長報道官は、「国連安保理の基本姿勢は変わらない。二国間交換取引で西サハラの地位を決めることはできない。西サハラ紛争は国連安保理の決議に従って、解決できる」と、トランプの<西サハラはモロッコのもの>12月10日発言を重ねて否定した。
クリストフ・ヒュウースゲン・ドイツ国連大使は討議後の記者会見で、「ドイツは、基本的に、国連決議と国連憲章の支持という姿勢を、強く維持し続ける。国連主導の話し合いこそ、地域の安定につながっていく」と、語った。さらにドイツ国連大使は、翌日12月22日のニューヨーク・タイムスで、「バイデン新政権は来年1月20日、ホワイトハウスに入ったら、すぐに、このトランプ発言を破棄すべきだ。そして、国連事務総長は即刻、2019年5月のホルスト・ケーラー前国連事務総長個人特使辞任以来、空席になっている国連事務総長西サハラ個人特使を指名しなければならない」と、アメリカ新政権と国連事務総長に圧力をかけた。
が、、残念ながら西サハラに味方した南アフリカもドイツも、今年一杯で2年の任期を終え、国連安保理から去る。来年2021年から国連安保理非常任理事国は、エストニア、ニジェール、セントビンセント、チュニジア、ベトナム、インド、メキシコ、ノルウェー、アイルランド、ケニアの10か国で、常任理事国5か国はアメリカ、フランス、イギリス、ロシア、中国と変わらない。アメリカとフランスを味方につけたモロッコは、非常任理事国に焦点を当て、ロビー活動を開始している。西サハラは敵失と幸運を待つだけで、何もしない。
② 12月22日、クシュナー閣下が民間イスラエル機でラバトに降り立った:
12月22日、CORCAS(モロッコ王立サハラ問題諮問評議会)が王室発表として、「モロッコ国王モハンマドⅥ世陛下に神のお加護を。ムライ・エルハサン皇太子殿下をお伴にした国王陛下は、2020年12月22日にラバトの王宮で、ジャリド・クシュナー米国大統領特別補佐官とベン・シャッバト・イスラエル国家安全補佐官とアブラハム・ベルコウィッツ米大統領外交特別補佐官などからなる代表団の謁見を許された。この席で陛下は、2020年12月10日に米国大統領ドナルド・トランプ閣下と電話で交わしたQPQ(交換取引)に、ひどく満足されておられると申された」と、伝えた。「陛下はクシュナー補佐官の尽力を労われ、調印式の後、一行はハッサン二世とモハンマドⅤ世の墓参をし、歴史的快挙を報告された」と、CORCAS(モロッコ王立サハラ問題諮問評議会)は言及した。
そして12月23日、ネタニヤフ政権は内部分裂で崩壊した。イスラエルでは年明けに総選挙が行われる。
トランプ政権は年明けに解散が予定されている。モロッコもアメリカもイスラエルも、それぞれの思惑で強引に年内QPQ(交換取引)を決めた。結局、モロッコ国王のみがご安泰だが、一人勝ちを謳歌し<西サハラ強奪>をほくそ笑んでいるわけにはいかない。
UN(国連)やAU(アフリカ連合)や、アメリカ新政権が、モロッコ式詐欺トリックに騙されるのだろうか? パレスチナ人民が、イスラエルと手を結んだモロッコ国王の、<モロッコは変わらずパレスチナを想っている>という、甘いお言葉に騙されるのだろうか?
モロッコに騙されない西サハラ人民は、モロッコが占領地から撤退するまで戦いつづけると、モロッコが作った<砂の壁・地雷防御壁>への攻撃を続けている、、
③ モロッコが排除したい米国の政治家たち:
12月17日、アメリカ上院武器委員会のジェームス・インフォフェ委員長(共和党)が、下院議会の公聴会で、「今、現在も、モロッコは、JPC Strategies (国外ロビー・ウオッチ)や第三サークルやニール・クリークなどに、年間100万ドル以上をつぎ込んでいる。つまり、これらのロビーイストたちはモロッコに雇われ、西サハラを陥れるモロッコのために働いているというわけだ」と、モロッコ・ロビー活動の実態を暴露した。インフォフェ米上院武器委員会委員長はさらに、リビングストン・グループ、Tew カルデナス、エドルマン広報、ミラーとシュバリエ、ガブリエルとその会社など、モロッコに雇われた7社を列挙した。そしてインフォフェ米上院武器委員会委員長は、「アメリカとイスラエルとモロッコのQPQ(交換取引)で、モロッコの西サハラ領有権を承認することなどできない。この不法な取引は国際法や国連決議に反するものだ。UN(国連)、AU(アフリカ連合)、EU(ヨーロッパ連合)、アルジェリア、そしてイギリスも、QPQ(交換取引)によるモロッコの西サハラ領有権承認を強く否定している」と、UN、AU、EU,などの声明を紹介しながら、米国下院で証言した。
米国ワシントンを拠点にするMWN(モロッコ世界ニュース)は、「アメリカ政治家によるアンチ・モロッコ発言を黙らせろ!」と、危険な扇情キャンペーンを張っている。特にジョン・ボルトン元米大統領国家安全保障担当補佐官、ジェームス・ベーカー元米国務長官、クリストファー・ロス米外交官の3人を、写真付きで<警察指名手配>のように、情報発信している。モロッコの移民の中には、金になれば何でもするテロリストがいることを、忘れてはいけない。パリ連続テロ、ブリュッセル連続テロ、などなど、、モロッコ移民2世によるおぞましいテロ事件の記憶が生生しく残っている。勇気ある米国政治家の皆さま、ご用心ください!
モロッコの指名手配3人衆、左からジョン・ボルトン、
ジェームス・ベーカー、クリストファー・ロス(出展MWN)
ちなみに、ベーカー元国務長官とロス大使は、共に国連事務総長西サハラ個人特使として、Referendum レファレンダム(国連西サハラ人民投票)の実現を目指しました。ボルトン元米大統領補佐官はベーカー特使の補佐を務め、米国連大使に就任した時にもReferendum レファレンダム(国連西サハラ人民投票)の実現に尽力しました。
アメリカの頑固な理想主義者たちは、党派を超えて西サハラ人民の権利を回復するため努力を続けています。
2020年の難題は未解決のまま、ますますコンガラガッテ2021年に突入しようとしています。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2020年12月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10410:201226〕