最近、国連定例記者会見にAFP(フランス通信社)などのフランス人記者が出没しています。 「国連事務総長が西サハラ個人特使の指名に失敗」のニュースはフランス系メデイアが発信元だったので、4月20日の国連定例記者会見を覗いてみました。
ところが、フランス人国連事務総長報道官の報告は、「正式声明を待っていたので、遅れてごめん!まだ声明は手元にないが、今朝、イドリス・デビ・チャド大統領が逝去された(戦死)。チャド内戦で少なくとも2,200,000人が緊急人道援助を必要としている。617,000,000$がいるのに、まだ6%しか集まっていない」と、戦死のお悔やみで始まったのです。
チャドには、チャド湖の枯渇と難民の取材で2週間滞在しました。 イドリス大統領にはリビアでインタヴューしました。 友人のオスマン・ラジオキャスター、大丈夫かな??
① 国連事務総長が西サハラ個人特使指名に失敗:
2021年4月16日、AFP(フランス通信社)とそれに追従するニュースソースが、「ポリサリオ戦線(西サハラ難民政府)は、国連事務総長が指名したポルトガル人の国連事務総長西サハラ個人特使を拒否した」と、伝えた。それに対して、西サハラ難民政府ポリサリオ戦線のニューヨーク国連代表シデイ・オマル博士が、反論する記者声明を出した。
その要約は、「これまでに国連事務総長は4人の国連事務総長西サハラ個人特使を指名し、国連安保理は承認し、ポリサリオ戦線(西サハラ難民政府)は全面的に協力してきた。国連事務総長個人特使を排除し国連和平交渉を妨害してきたのは、常に、モロッコだ。元アメリカ国務長官ジェームス・ベーカー個人特使(1997~2004任務)の国連人民投票実施を潰し、元アメリカ外交官クリストファー・ロス個人特使(2009~2017)の国連交渉を5年間にわたって拒否し続け、元ドイツ大統領ホルスト・ケーラー特使(2017~2019)を任期途中で辞任に追い込んだのは、モロッコだ。モロッコには、和平解決を目指す両当事者間の話し合いに応じる積りがまったくないことを、2020年11月13日の停戦破棄と今回の国連事務総長西サハラ個人特使指名の妨害で明白になった。
ポリサリオ戦線西サハラ難民政府は、国連西サハラ個人特使の指名候補者が公平で独立した有能な人格者で、なおかつ誠実にその任務を遂行できる人物であることを強く願う。
最後に、西サハラ人民の民族自決権と独立権は、UN国連とAUアフリカ連合と国際法が保障するもので、その権利を行使することに関して議論の余地はない」
② モロッコは、西サハラが指名候補者を拒否した?と非難:
4月20日、CORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)が、「モロッコ国連大使オマル・ヒラ―ルが、国連事務総長の国連事務総長個人特使の指名に関して、アルジェリアとポリサリオが妨害したと、国連安保理に警告した」と、発表した。さらに、「ヒラ―ルは、国連事務総長個人特使第一候補となった元ルーマニア首相ペトロ・ロマンと第二候補の元ポルトガル外務大臣ルイス・アマドに対して、モロッコは即座に承認したと強調している。モロッコの基本姿勢は、モロッコ国王ムハンマド6世陛下が2020年11月16日、国連事務総長へ電話で直接伝えたように、国連枠組みの中で真のパートナーであるアルジェリアと交渉に入る意向だ。<モロッコサハラには、モロッコ領有権の下で地方自治権を与える>という、2007年のモロッコ提案を基本にして話し合いで解決していく。それ以外の交渉は存在しない、と、オマルは国王陛下の御意向を反復している」と、言及した。
4月21日、国連安保理討議の直前にも、CORCAS (王立サハラ問題諮問評議会)が、オマル書簡を補足して、「アルジェリアとポリサリオ戦線西サハラ難民政府は、大嘘をついてモロッコをはめようとしている。彼らは<砂の壁・防御壁>周辺でモロッコ王立軍とポリサリオ戦線の戦闘が続いているとデマを流しているが、そんなものはない!その証拠に、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)は戦闘の報告をしていないし、国際的プレスも報道していない」と、公表した。
お言葉を返させていただきますが、今回もこれまでも、嘘を捏造し拡散しているのはモロッコのほうです、大使殿。
③ モロッコのハイテク武器買い付け:
モロッコ国連大使の嘘発言を覆す国際的プレス、それもモロッコよりのAFP(フラン
ス通信社)やル・モンド・フランス紙などが、モロッコ王立軍とポリサリオ難民軍の戦闘を伝えている。4月16日の西サハラ難民軍司令官がドローンで爆殺されたニュースは、MWNモロッコ世界ニュースでも報道された。4月17日のSPLA(西サハラ難民軍)の戦況報告でシディ・ウガル情宣局長が「イスラエル製ドローンを含めドローンが、西サハラ将兵たちの頭を狙い撃ちしてくる。エアーバス・デフェンス&スペース社が扱うイスラエル製ヘロン・ドローンの一種で、フランス空軍も使用するハーファング・ドローンが西サハラ司令官を爆殺した。イスラエルが設計したハーファング・ドローンは、レーザー距離計で確実に遠距離から標的を狙い撃ちできる。地上戦で追い込まれたモロッコ王立軍は、イスラエル設計フランス空軍のドローンに頼っている」と、フランスとイスラエルのドローン参戦を伝えた。
西サハラにモロッコの西サハラ領有権を呑ませるために、モロッコはモロッコよりの人物を国連事務総長西サハラ個人特使にするよう、国連に圧力をかけている。その一方で、モロッコはフランスやイスラエルやその他の国の、高額な最新兵器やレーダーを買い漁っている。
<アフリカ・インテリジェンス>紙が4月20日に、「モロッコがトルコ製バイラクタル TB2ドローン13機を70,000,000$で買い付けた。さらにモロッコは、サテライト4体とドローンの操縦設備を今年中に入手する」と、スクープした。
モロッコが13機も買い付けたトルコ製ドローン・バイラクタルTB2
16才以上のニューヨーク国連本部で働く職員は、殆どがコロナワクチンを打ったそうです。 しかし、その殆どが未だに自宅勤務だそうです。 4月16日の国連定例記者会見でアルジャジーラTVのベイス記者が、「スポーツもレストランも解放されていくニューヨークで、国連のオープンが最後になるのでは?」と、問い詰めると、報道官は、「ニューヨーク当局の決定を待っている。正常再開にはまだ数週間かかる、、」と、いい加減でした。
4月21日、国連安保理は予定通りに西サハラの諮問会議を開きました。が、カメラが入った公開会議ではなく密室会議で、合意も共同声明も予定通りではありませんでした。 何もかも、予定通りに国連事務総長が西サハラ個人特使を指名できなかったためです。
――――――――――――――――――――
「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
――――――――――――――――――――
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2021年4月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10770:210422〕