SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】438 タリバン、アルカイダ、アキム

 個人も国家も、「さ~どうする?」と追いつめられると、本音と本性が出てくるようですね?! ABCテレビ・ジョージ記者のアフガニスタン米軍敗退に関する質問を受けて、アメリカ大統領は自信なげに取り繕っておりました。 はっきりしない大統領に、アメリカの兵隊さんたちも先が見えなくて大変だな~と、お察ししましたが、「同盟国アフガニスタンを投げ出した米軍撤退は、他の同盟国に不安や不信感を与えたのでは?」というジョージ記者の質問に、ドッキリしました。 後者の同盟国とは日本のことです。   
 アメリカの後ろをついてくる後進国日本がウザッたくなったら、アメリカは突然、<日本撤退>をするんでしょうか?、、

① タリバンが権力回復:
 2021年8月15日、アフガニスタンの首都カブールに、イスラム教スンニ派原理主義
組織タリバンが無抵抗で凱旋した。アメリカが<想定外のスピード進撃>と舌を巻く速さで、タリバンはアメリカから祖国アフガニスタンを奪回した。タリバンとはアフガニスタン公用語のバシュトゥ―語で、<学生たち>を意味するそうだ。約40年前、ソ連(ロシア)のアフガニスタン侵攻(1979~89)に反発したムジャヒディン(イスラム戦士)たちが結集し、カンダハル州のイスラム教指導者ムハマド・オマルが1994年にタリバンとして創設した。1991年のソ連軍撤退後、2001年9月11日同時テロ勃発まで米CIAとパキスタンの情報機関である軍情報統合局(ISI)が、タリバンを支援していたことを忘れてはいけない。米国家テロ対策センター(NCTC)は、<9・11>まで、タリバンがオサマ・ビンラデインのアルカイダを匿っていたと報告している。つまり、アメリカは、オサマ・ビンラディンのアルカイダ・テロを容認していたことになる。
 そして、小学校参観をしていたブッシュ大統領(当時)が、突然、9・11同時テロ勃発を耳うちされ茫然自失となり、痴呆症状が回復しないまま、10月にはイギリスなどの同盟国とアフガニスタン攻撃を開始し、タリバンを追放した。さらに、アメリカは<テロ撲滅>の名目で偽の化学兵器証拠写真を国連で公開し、2003年3月20日にはイラクを爆撃。2005年12月、フセイン・イラク大統領を絞殺した。理由なき戦争は第一級戦争犯罪だ。
 2021年8月22日、にアフガニスタン戦争からイラク戦争に至るまでブッシュ元米大統領に寄り添った共犯者のブレヤ元英国首相が、アフガニスタン政権崩壊後に初めて、公式声明を自身の研究機関で発表した。ブレヤ元英国首相は、「米国の撤退は愚かだ」と、切り捨てた。さらに、「アフガニスタンとその国民を見捨てることは悲劇的で、危険で、不必要であり、彼らの利益にもわれわれの利益にもならない、、撤退は<永遠の戦争>に終止符を打つという愚かな選挙戦スローガンに従ったにすぎない」と、痛烈に批判した。
 アフガニスタンは、諸外国からの支援金と麻薬で賄っていると言われている。ガニ前アフガニスタン大統領は、脱出機に積み残すくらい大量の現ナマを抱えていたそうだ。アフガニスタン戦争で米英がでっち上げたカルザイ初代大統領の弟で殺害されたアフマドは、ヘロインとコカインの総元締めだった。
 
② アルカイダ:
 ガニ前アフガニスタン大統領は逃亡先のドバイで、「辞めないよ」と、居座り宣言をするし、サレー前副大統領は「俺が大統領」と主張するし、アフガニスタンは、20年前の群雄割拠時代に後戻りしつつある。
 8月19日、グテーレス国連事務総長が国連ニューヨーク本部で記者会見し、「タリバン新政府承認が唯一の外交手段だ」と述べた。さらに事務総長は、「人権の尊重、特に女性の権利が重要だ、、」と語り、「アフガニスタンがテロリストの拠点とならないように。国際社会が一致団結して監視していかなければならない」と、言及した。
 8月20日にはロシアのプーチンとドイツのメルケルが、対面でアフガニスタン情勢に関し意見交換をした。会談後の記者会見でプーチン大統領は、「テロリストが難民を装って、近隣諸国に侵入することを防ぐのが特に重要だ」と、述べた。さらにプーチン大統領はアメリカのアフガニスタン政策を念頭に、「外から価値観を押しつける無責任な政策や、型にはめた民主主義を築こうという欲求は止めるべきだ」と、批判した。
 タリバンは記者会見で明らかにしたように、アフガニスタンを彼らのシャリア(イスラム法)に基づいて治めていこうとしている。国外への勢力拡大の意図はないようだ。しかし、アルカイダやイスラム国のジハーディストたちは、目標をアフガニスタンの外に向けている。泣く子も黙る公安調査庁の<国際テロリズム要覧2020>では、「アルカイダとは、主に欧米諸国及びイスラエルに対するテロを主張するスンニ派過激組織で1988年8月にオサマ・ビンラディンとその同士により設立された。米国及びその同盟国を主な攻撃対象とする<グローバル・ジハード>を主張」と、報告している。
 2011年5月11日、ホワイトハウス状況分析室でオバマ政権幹部が見物する中、米軍はオサマ・ビン・ラデインの残忍な殺害テロをやり、アメリカは世界のテロを潰した積りでいた。しかし、アルカイダは、アラビア半島のアルカイダ (AQAP)、インド亜大陸のアルカイダ、 (AQIS)、イスラーム・マグレブ諸国のアルカイダ機構 (AQIM)、アル・シャバブ (ソマリア)、タハリール・アル・シャーム(ヌスラ戦線)、コーカサスとロシアのアルカイダ、ガザのアルカイダ、クルディスタンのアルカイダ、レバノンのアルカイダ、アブー・ハフス・アルマスリー殉教旅団、マレー諸島のアルカイダ、シナイ半島のアルカイダ、、と、全世界にアルカイダの戦闘員を拡散していった。
 その他、アブ・サヤフ (2014年にイスラム国に鞍替え)、イラクの聖戦アルカイダ組織 (のちのイスラム国)、アンサール・アル・イスラム (2014年にイスラム国と合流)などとも連携していた。

③ アキム:
 2013年1月16日、イナメナスで多数の外国人が誘拐された。そして、日本人10名を含む48人が、凶悪な<AQIMアキム>によって惨殺された。<AQIMアキム>とは、麻薬と誘拐を生業とし、紛争があれば傭兵を調達する<戦争犯罪集団>だ。主犯のムフタール・ベル・ムフタールは、「我々は欧米式の民主主義を打倒し、イスラム教国を創設する」とのビデオ声明を、襲襲撃にアラブ系衛星テレビに送った。アルジェリアのガラダイヤに生まれたムフタールは19才の時にアフガニスタンに渡り、オサマ・ビンラデインの下でアメリカの傭兵として戦った。戦闘で片目を失った<片目のムフタール>は1993年にアルジェリアに帰国しイスラム武装集団(GIA)に入り。アフガン戦争復員傭兵と一緒に、より過激なGSPC(説教と戦闘のためのサラフィー主義集団)を結成した。2007年にはオサマ・ビン・ラデインの配下に入り、<AQIMアキム>と改名した。ムフタールは、何度も戦死と伝えられたが、いまもマリに潜伏しているようだ。
 一方、モロッコのテロリストたちは、<ヨーロッパのISIS>や<MICGモロッコ・イスラム・戦闘集団Moroccan Islamic Combatant Group>などに属して、モロッコ内外でテロ活動を続けている。2015年11月13日のパリ・テロで130人を殺し300人以上を傷つけたのもモロッコ移民二世が主犯だったし、2016年3月22日のブリュッセル・テロで35人を殺し198人を傷つけたのもモロッコ移民二世だ。2017年8月17日、スペインのバルセロナとでカンブリスで16人を殺し120人以上を傷つけたテロリストたちも、全員がモロッコ出身だ。
 2021年8月17日、APSアルジェリア国営通信社が、「モロッコ人記者たちが、モロッコはアルジェリアにDirty Warテロ戦争を仕掛けていると、ネットで炎上!」と、伝えた。  
 8月に入って、アルジェリア北部の山岳地帯で山火事が広がり、アルジェリア政府は消火作業と原因追及に追われてきた。が、やっと鎮火のメドが見えてきた8月21日、アルジェリア政府はアフガニスタン新情勢を受けて、アフリカ連合安保理AUPSCに働きかけ、マグレブ北西アフリカやアフリカ全土のテロ対策に乗り出した。アルジェリア北部の畑を焼き尽くした山火事に、モロッコのテロリストが関与しているという噂が流れている、、

 アルジェリアの山火事が地中海を超えて、南フランスやスペインに飛び火しました。 被害をまともに被ったのがブドウ畑で、移民の季節労働者たちは失業し、ワインが高騰しています。  国産のワインはいかがですか?

アルジェリア北部ヵビル地方の山火事と闘うアルジェリアのファイアファイターたち

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2021年8月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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