SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】440 モロッコはサヘルのテロ共謀者(オマル大使) 

 モロッコ国王の御趣味は、民主主義やワクチン接種やサッカーや音楽祭などなどの真似事をして、世界に<モロッコ国王>をアピールすることのようです。 しかし、モロッコの名を世界に轟かせたのは、モロッコ産の残酷なテロリストたちや世界一の麻薬ハシッシの密輸密売などです。 昨年までモロッコは、テロリストや麻薬の摘発を自慢していましたが、麻薬ハシッシ産業を国営化してからはその類のニュースを流さなくなりました。

① 「モロッコはサヘル地方のテロ共犯者」オマル駐アルジェリア大使:
 2021年8月29日、INESG (アルジェリア国営グローバル戦略研究所) が国営陸軍サークルで主催した<サヘルのテロリズム研究の日>に、アブデル・カデル・タレブ・オマル西サハラ難民政府の駐アルジェリア大使が、麻薬密輸とテロリズムについて講演した。彼は、「今やモロッコは、西サハラやアルジェリアだけでなく、アフリカ全大陸やスペインやドイツやEUヨーロッパ連合とも、もめている。ラバト(モロッコ政府の通称)は、前米大統領トランプの<西サハラのモロッコ領有権承認>を追従させようと、EU やヨーロッパ諸国に大量の不法移民を送り込んで脅したが、失敗した。結局、モロッコはヨーロッパで孤立することになってしまった」と、2020年末から現在までのモロッコ外交を分析した。
 さらにオマル大使は、2017年にモロッコがAU(アフリカ連合)に復帰し、AUの分断を図っていることを、語った。かってモロッコは、AU(アフリカ連合)の前身であったOAU(アフリカ統一機構)の加盟国だったが、1984年、OAUが西サハラ難民政府SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)を正式加盟国に承認したことに激怒し、脱退した。が、モロッコは「金ばかりかかって、一銭の得にもならない」と、アフリカを馬鹿にしていたが、アフリカが力をつけ国際社会でUN やEUと対等になってくると、AUを取り込むことに方針転換させた。オマル大使は「モロッコは架空の経済計画や援助で、アフリカの国を抱き込もうとした。が、ぼろが出始め、騙された国々の目が覚め始めた。西サハラの脱植民地化は、UN 国連とAUアフリカ連合の共同懸案事項であることを、モロッコは認識していない。モロッコは投票結果がモロッコに不利になると、レファレンダム(国連西サハラ人民投票)を拒絶し、国連事務総長個人特使の任命を妨害している。レファレンダム(国連西サハラ人民投票) はUNとAUの合作であることを、モロッコは忘れている。モロッコの孤立は、EUのみならずUNやAUでも広がりつつある」と、オマル大使は語った。
 オマル大使は、モロッコがマリなどのサヘル地方に拠点を置くアキム(マグレブのアルカイダ)を操って、麻薬やテロを流している事にも言及した。アキムは、西サハラ難民キャンプのNGO活動家3人を誘拐し身代金を稼ぎ(2011年)、イナメナス人質事件(2013年)では日本人10人を含む48人を惨殺した。この事件でも多額の身代金をせしめた。
 
② EU議員がモロッコの西サハラ天然資源略奪に抗議:
 モロッコ占領地・西サハラは、1960年に国連総会が指定した<非自治地域>だ。この<非自治地域>の権利は、地域人民が自ら意思決定をするまで、国連の<預かり>になっている。従って当該地域の土地や資源に、他者が手をつけてはいけない。手をつける行為は、国連決議1514の違反になり、当然、略奪行為で制裁の対象になる。ところがモロッコは、2007年から公然と<西サハラはモロッコのもの>と主張し、国連決議を無視しモロッコ人入植者をモロッコ占領地・西サハラに送り込み資源略奪とモロッコ化を加速し始めた。昨今は、これも国連決議を無視してパレスチナ人の土地を奪いユダヤ人入植者を増やすイスラエルと、二人三脚で略奪に精を出している。
 現在モロッコが略奪生産をしているモロッコ占領地・西サハラの主な天然資源は、リン鉱石と漁業だ。EU域内諸国がモロッコとの腐れ縁を切れない理由は、二国間で結んだ漁業契約による海産物の上がりが大きいからだ。日本も同罪で、モロッコと漁業契約を結んでいる。
 9月1日に開かれたヨーロッパ議会の農業委員会で、数人の議員たちが声を上げた。彼らは、モロッコ占領当局とEU域内の国との二国間契約で、様々な西サハラ資源が略奪されていると訴えた。さらに彼らは、国際法とヨーロッパ裁判所の警告を無視して略奪するだけではなく、生産物に産地を変えた偽造ラベルを貼って出荷していると非難した。「これは詐欺行為で、明らかに犯罪だ」と、ヨーロッパ議会議員たちはモロッコを糾弾した。

③ ナイジェリアの訪問団が、西サハラ難民キャンプを視察:
 8月末にナイジェリアは、同国のイスラム過激派「ボコ・ハラム」の戦闘員とその家族ら約6千人が過去数週間の間に投降したと発表した。5月に指導者アブ・バカル・シェカウが死亡して強いリーダーを欠いたことが、投降の要因とされている。
 そのナイジェリアから、8月31日に15人の大訪問団がアルジェリア西部にある西サハラ難民キャンプを訪れた。一行はナイジェリア戦略研究所に所属する、政治、経済、軍事、の専門家たちで、難民キャンプの実情や医療状況や文化活動などを視察した。9月1日、
 ブチュラヤ・ハムーデイ西サハラ難民政府首相はナイジェリア訪問団の歓迎式で、「AUの屋台骨であるアルジェリアとナイジェリアと南アフリカの三国は、ほぼ半世紀にわたる西サハラの独立運動を、変わることなく支援し続けてくれている。コロナ禍にもかかわらず、難民キャンプに来てくれたナイジェリアの兄弟たちに、心から感謝する」と、述べた。

ナイジェリア最大の都市ラゴスで、ナイジェリアの西サハラ難民キャンプ訪問団の結団式

 アフリカ大陸の北のアルジェリア、中部のナイジェリア、南の南アフリカと、天然資源が豊かでAUアフリカ連合の財政を支えている主要3大国が、西サハラを支援している。モロッコは、この三国を抱き込めば、AUアフリカ連合をモロッコの意のままに動かせると判断した。が、三国とも、モロッコのうまい話に乗らず、国際法とUN 国連憲章とAUアフリカ連合憲章を尊重する立場を堅持した。
 ナイジェリア訪問団は難民キャンプのあるティンドゥフから首都アルジェに飛び、アルジェリアのラムタナ・ラマムラ・アルジェリア外務大臣と会談した。両国はアフリカのテロ撲滅を目指し協力することを約束した。ラマムラ・外務大臣は、「アフリカの連帯と統合を盛り上げ、様々な分野においてアフリカ大陸の利益を守ってきたナイジェリアの役割を高く評価する。テロリスト・ボコ・ハラムの解体は、我々に勇気を与えてくれた」と、称賛した。

 ゴッコがお好きなモロッコ国王陛下は、9月8日に<選挙ゴッコ>をされます。 <モロッコの民主主義を象徴する地方選挙>との触れ込みで、モロッコ占領地・西サハラも含めて<投票ゴッコ>をやります。 モロッコ占領当局から2級市民の扱いを受けている西サハラ被占領民は、学校も病院もモロッコ入植者とは切り離されています。 しかし、モロッコ占領当局は西サハラ被占領民に、投票所に来てモロッコが選んだ候補者に投票しろと、強制するのです。 西サハラ被占領民は<選挙ゴッコ>に反対しています。
 AUアフリカ連合は「西サハラはモロッコ領土でない」と、モロッコが依頼した<選挙ゴッコ>の選挙管理役を断りました。 UN国連はどうするんでしょうね?、、

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2021年9月7日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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