SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】442 国連特使は呑んでも国連投票妨害を続けるモロッコ

 2021年9月16日にマクロン・フランス大統領が、仏軍はサヘル地方の大物ISテロリストを退治したと、ツイートしました。 BBC英国TVなどによると、件のIS テロリストは、1か月前に死んだ<アドナン・アブ・ワリド・サハラウィ>と仇名される<大サハラのイスラム国>指導者、ということになっています。 名前に付け足された<サハラウィ>は西サハラ人を意味し、マクロン仏大統領は明らかにこのISテロリストとポリサリオ西サハラ政府を結び付けようとしています。 国際社会がモロッコとポリサリオ西サハラとの直接交渉再開をせっつく中、ポリサリオ西サハラをISテロリストにして排除しようする<マクロン・モロッコ>MM連合は、新たな国連投票の妨害工作を始めました、、 
 
① オマル・モロッコ国連大使が新国連事務総長西サハラ個人特使をとりあえず承認:
 9月13日、オマル・モロッコ国連大使がMAPモロッコ国営通信のインタビューで、国連事務総長が9月14日に、国連西サハラ事務総長個人の承認に向けて行動開始の予定だと、スクープした。そしてオマル大使は、「モロッコはアントニオ・グテーレス国連事務総長に、彼の指名を快諾したことを伝えた。指名を受けたデミストラ氏は、2007年来、国連事務総長に進言してきたモロッコ平和解決案をしっかり把握し、モロッコ案を前提にするならモロッコは惜しみなく協力することを、認識しなくてはならない」と、語った。
 MAPモロッコ国営通信の「ホルスト・ケーラー大統領がこの役職を辞任してから、30カ月以上も経つ。どうしてこんなに長くかかるんだ?」という質問に、「ホルスト・ケーラー大統領に匹敵する国際的人物を見つけるのは、容易ではなかった。さらに、遅れた原因は、アルジェリアとその取り巻きグループ(=西サハラ難民政府)が、多くの候補者を拒否し続けたからだ。彼らは、国連西サハラ事務総長個人特使任命遅滞の原因は、事務総長と安保理の怠慢だと決めつけ批判してきたが、もうそんな愚痴は必要ない。デミストラ氏の仲介の下に、まもなくラウンドテーブルが再開される」
 MAPモロッコ国営通信に、「デミストラ氏承認によって、モロッコは何を期待できるのか?」と聞かれて、オマル・モロッコ国連大使は、「でっち上げのモロッコサハラ(=西サハラ)論争を止めて、政治的で現実的で長期的に誰もが納得のいく解決策を見出すようにと、モロッコは国連に教示してきた」と、オマル大使はこれまでの主張を繰り返した。そして、「アルジェリア外務大臣も同席した前2回のラウンドテーブルと同様に、モロッコサハラ(=西サハラ)解決策は、モロッコ領土内での、自治案のみで自治案以外にはなく自治案だけだと、我々の主張を繰り返すだけだ。」と、モロッコ地方自治案を強調した。

② オマル・西サハラ難民政府国連代表がオマル・モロッコ大使に反論(二人は同姓):
 9月15日、オマル西サハラ難民政府国連代表が記者声明で、「モロッコ王国がスタファン・デミストラの国連西サハラ事務総長個人特使就任を認めたことを、モロッコ国連大使がMAPモロッコ国営通信のインタビューで明かした。これまでモロッコは西サハラとの交渉を嫌って、国連推薦の仲介役候補を10人近く断ってきた。候補者の国籍は、オーストラリア、ドイツ、オランダ、スカンジナビア諸国、スイス、そして国連安保理常任理事国、、と、様々だった。5月には、再登場したスタファン・デミストラ候補も拒否した。それが突然、OKを出したのは、国連安保理常任理事国の大国がモロッコに圧力をかけたからだ」と、語った。
 スタファン・デミストラは1947年にスウェーデンのストックホルムで生まれた。母はスウェーデン人で、父はイタリア人。デミストラは母方の苗字。イタリアとスウェーデンで外交修行をし、40年以上にわたり国連で働いてきた。2000年から2001年、ローマで国連情報センター課長やWFP(世界食料計画)で要職を務めた。2001年から2004年までは国連南レバノン事務総長個人代理人を、2007年から2009年には国連イラク事務総長個人特使、2014年から2019年まで国連シリア特使、、と、重職を務めた。イタリアとスウェーデンの国籍を持ち、英語、フランス語、イタリア語、スウェーデン語、アラビア語など数か国語に堪能な国連高級官僚だ。

国連のマークを背にした国連西サハラ事務総長個人特使
スタファン・デミストラ

③ 国連定例記者会見でマクロン仏大統領ツイートを紹介した記者:
 9月16日早朝、「イスラム過激派組織イスラム国(IS)に忠誠を誓う<大サハラのイスラム国(ISGS)>指導者が、仏軍によって無力化された」と、マクロン仏大統領がツイッターに投稿した。アフリカのマリ、ニジェール、ブルキナファソ一帯で活動するISGSの指導者、アドナン・アブ・ワリド・サハラウィが殺害されたことを確認したそうだ。「サヘルのテロ組織との戦いで新たな大きな成功」と大統領は自画自賛した。
 9月16日、国連定例記者会見でアフリカ系モロッコ寄りの記者が、「マクロン仏大統領がサハラのISリーダーを殺したと宣言したが、国連事務総長の見解は?」と、聞いた。フランス人の報道官は、「何も聞いてない」と、答えた。続けてこの記者は、「スタファン・デミストラの西サハラ特使就任は?」と、ニヤニヤしながら質問した。フランス人の報道官は、「進展なし。重大な人選問題は現在進行中だ。我々は、噂とか未確定な記者発表にコメントはしない。正式な声明が出たら公表する。焼きあがったらオープンから出す。よく焼けてないとね、、笑っちゃうよね」と、笑った。何がおかしいのだろう?
 以下は、フランスとモロッコが作り上げた<大サハラ・イスラム国指導者>のイメージです。実在の人物かどうか?判断してみてください。
 「アドナン・アブワリド・サハラウィと仇名される西サハラ人イスラム・テロリストは、本名をラハビブ・ワルド・アリ・ワルド・サイド・ワルド・ユマニという。彼は1973年2月16日にモロッコ占領地ラユーンで生まれ、2021年8月17日から22日頃に死んだ。
 彼はアルジェリアの難民キャンプに逃げた金持ちの商人に合流し、ポリサリオ戦線に参加する。が、彼は約束された国連西サハラ人民投票に反対し、コンスタンティーヌのMentouri大学(?)で社会科学を学び、1997年卒業後は西サハラ若者連合に参加。2004年に健康と精神を病みイスラム教に入信。(?)2010年11月、ティンドゥフを出てマリ北部のテロ組織アキム(イスラム・マグレブのアルカイダ)の分派に入った。2011年10月、このグループが西サハラ難民キャンプでヨーロッパ支援団体の女性二人と男性一人を誘拐した。(?)2017年10月、ニジェールでナイジェリア人警備隊5人と米兵4人を殺害し、大サハラ・イスラム国の指導者・アドナン・アブワリド・サハラウィが犯行声明を出した。アメリカはアドナンの首に500万弗の懸賞金をかけた」
???だらけだが、アドナンはこの世にいない、死人に口なしデス。
 アドナンが首謀者だったとする2011年10月22日のヨーロッパNGO誘拐事件から四日後の28日、筆者は西サハラ難民キャンプのジャーナリスト会長マライニンから、「この誘拐テロの目的は、西サハラ民族の悲願である独立運動を破壊することにある、、まずは、12月の13民族大会回を潰そうと企んでいる」とのメールを貰った。筆者は、2011年12月12日から12月29日まで西サハラ解放区の砂漠で開催された、その13回ポリサリオ西サハラ民族大会に参加した。モロッコ占領地・西サハラから、モロッコ占領軍の妨害にもめげず飛んできた54人の被占領民を含め、約2100人がポリサリオ難民軍に守られて民族大会を成功させた。

 2021年9月8日、130人を殺した2015年11月パリ同時多発テロの、実行犯で唯一生き残ったサラ・アブデスラム被告(31)の公判が始まりました。 公判初日のサラは長髪に長髭に黒シャツ姿で、犯行直前までの<ハシッシ・ボーイ(麻薬男娼)>の面影はありませんでした。 認証確認の質問に対して、「我はイスラム国の戦闘員、ラーイラーハイッラーラ(アッラーの他に神なし)」と、答えました。 彼は勿論、20人の被告殆どが、モロッコ移民二世です。 11月には当時のオランド大統領も証言台に立ち、花のパリでテロ裁判劇が来年5月まで上演されます。 西サハラ人はいません! 
ポリサリオ・西サハラ難民政府は、テロ組織ではありません!!

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2021年9月20日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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