SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】450 アルジェリアを馬鹿にしてモロッコが軍事攻撃

 11月1日はアルジェリアの革命記念日でした。
 11月1日にマグレブ3カ国外相会議が開かれました。
 11月1日の第26回COP首脳会議で、モロッコ国王のメッセージが代読されました。
 11月1日、サハラ砂漠でアルジェリアの物流トラック3台がモロッコ西サハラ占領軍に攻撃されました。

① モロッコ占領軍がアルジェリアの物流トラックを爆撃!:
 11月3日付けのAPSアルジェリア国営通信が、「アルジェリア人民が革命蜂起第67周
年記念を祝っていた11月1日、モロッコ・西サハラ占領軍が爆撃でアルジェリア市民3人を虐殺した。3人は、モーリタニアのヌアクショットとアルジェリアのワルグラを結ぶ交易ルートを行き来する、物流トラックのドライバーだった。この虐殺は、紛れもなく戦争犯罪だ。彼らの犯罪は、天罰を免れることができない」と、怒りも顕わに報道した。
 さらにAPSアルジェリア通信は、「西サハラ占領地のモロッコ占領軍は、最新兵器で3人の虐殺を行った。彼らのテロ行為は、占領下にある住民にも同様に下されている」と、言及した。
 11月5日付けのAPSアルジェリア国営通信は、「アルジェリア外務大臣ラムタネ・ラマムラは、モロッコ占領軍による西サハラ解放区でのアルジェリア市民3人に対する卑怯な襲撃事件を、国連事務総長アントニオ・グテーレスやアフリカ連合事務局長ムーサ・ファキやアラブ連盟事務総長アブル・ゲイトやイスラム同盟事務総長ユーセフ・ベン・アハメドなどに正式に伝えた。公式書簡でラマムラ外務大臣は、無防備な市民を殺傷力の高い最新兵器で襲撃するのは、紛れもなくテロ行為だと糾弾した。そして、在アルジェリア大使たちを外務省に呼んだ」と、報じた。しかし、アルジェリア政府は事件の詳細を明らかにしなかった。
 11月5日の国連定例記者会見で、モロッコの記者が、「11月3日、アルジェリアは民モロッコが物流トラックを襲ったと非難している。しかし、停戦を破ってから、防御壁の西側で軍事作戦を続けているのは、ポリサリオだ。本当は、何が起こったのだ?MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)は捜査しているのか?」と、副報道官に誘導質問をした。モロッコの記者は事実を捻じ曲げている。2020年11月13日に国連停戦を破ったのは、モロッコだ。副報道官は、「MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)は事件を注視している。事件は11月2日に、起こった。11月3日になって、MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)は事件現場のパトロールを許可された。正確な位置は防御壁の西側で、ビル・ラハル基地に近い。国連PKO監視団は、アルジェリア・ナンバーの2台のトラックが並べられているのを、確認した。2台とも酷いダメージを受けて、真っ黒に焦げていた」と、答えた。モロッコの記者が、「襲撃を受けた地域は、紛れもなく戦闘地域だ。なぜアルジェリアの物流車両が入れたのか?なぜ、モーリタニアとアルジェリア間の公道や正式な検問所を使用しなかったのか?」と聞いた。副報道官は、「なぜ事件のトラックがそこに置かれていたのか、などなど、細かい報告はもらっていない。これからの調査を待つ。私は、これまでの報告をあなた方と共有しただけだ」と、答えた。モロッコの記者は、モロッコの空爆を、西サハラ解放区で起きた密輸事件逮捕襲撃劇に仕立て上げたかったようだ。多分、モロッコの記者も副報道官も、ビル・ラハル地域に行ったことがないと思われる。
 ビル・ラハルはビル・ハルワとも読み、アラビア語で<甘い水><甘い井戸>を意味する。小さいオアシスがあったその昔、隊商宿があったそうだ。しかし、モロッコ軍がこの井戸に毒を投げ込み、以来、人が住み着くこともなくなった。周辺は砂漠で、道路などない。国境などない。あるのは車の轍だけ、、

② マグレブ3カ国外相会議が共同声明を発表:
 「マグレブ」とはアラビア語で「陽の沈む所」「西方面」を意味し、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、と、北西アフリカ諸国の総称だ。かって、故カダフィ大佐が「ワーヒダ・マグレビーヤ(マグレブは一つ)」と叫び、マグレブの団結を呼びかけた。カダフィ大佐は、「マグレブに国境はいらない!」と演説し、誰かのパスポートを破り捨てるというパフォーマンスをやった。が、「アラブの嵐」に、カダフィの想いは吹き飛ばされてしまった。
 モロッコはCOP26にモロッコ国王のメッセージを送り、「西サハラはモロッコ領土で、マグレブの安定はモロッコ国王の支配下でのみ存在する」と、強調した。
 アルジェリアは西サハラ難民を45年以上庇護し援助を続けている:アルジェリアは、「2021年度国連西サハラ決議2602は西サハラとモロッコを平等に扱っていないし、MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)は西サハラ人民を守るという約束をしていない。アルジェリアは西サハラ国連安保理決議2602を支持しない」と、非難した。
 チュニジアは西サハラ紛争に関して中立の立場をとっている。チュニジア大統領府は、国連主導の両当事者直接交渉と決議2602を支持した。
 リビアは故カダフィの西サハラ支援姿勢を崩さず、アルジェリアに同調している。「アルジェリアとチュニジアとリビアは協力してマグレブの安定を目指し、リビア内戦解決に一致団結してあたろう」と、アルジェリアとチュニジアとリビアの外務大臣3人は共同声明を出した。

③ 国連を舞台に、モロッコの見え見えの捏造虚偽工作、どうする?西サハラ:
 11月5日、MAPモロッコ国営通信は、アルジェリア民間人爆撃に関して、11月4日の国連定例記者会見で報道官が、「国連事務総長は様々なチャンネルと人材を駆使し、モロッコを敵対視するアルジェリアの怒りを鎮めろと直接語りかけた」と、報じた。
 しかし、(報道官ではなく)報道官補佐は両国の名を挙げなかったし、「怒りを鎮めろ」などと直接命令を下したりしていない。補佐官は、「事務総長は事件を知っているはずだ。彼は緊張を緩めるため、緊急会談が必要だと望んでいる」と、発言し、直接関係者に声をかけたかどうかは知らないと語った。モロッコは勝手に解釈して、「西サハラは元々モロッコ国王の領土で、1975年にスペインから返してもらった。モロッコ国王のご判断は神聖だ」という主張を、正当化しようと躍起になっている。
 モロッコ国王は、2021年11月6日の<第46回緑の行進記念日>に、再度、モロッコ・サハラをスペインから奪還したと、演説した。<緑の行進>とは、1975年11月6日に、当時のモロッコ国王ハッサン二世の号令で、モロッコ人36万のデモ隊がスペイン植民地・西サハラの国境を越えた。実際には10万人弱の雇われデモ隊が、モロッコ・スペイン国境の砂漠にチョットだけ入り、すぐに引き返したということだ。
 一方西サハラ難民政府は?、アルジェリアのモロッコに対する怒り爆発に、勝手に独自の見解を示すことができない。何といってもお世話になっている庇護国アルジェリアを越えて発言するわけにはいかない。アルジェリアが、「国連西サハラ新決議2602を支持しない」と言うと、西サハラ側は新決議を歓迎していても、アルジェリアに忖度しなくてはならない、、辛いものがある。「First nail to the coffin(棺桶に一発目の釘をかました)」と、アルジェリアに忖度して、新決議2602を非難してみせた。棺桶に誰が入っているのかな?

 11月5日、西サハラ国連代表でMINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)担当のシデイ・オマル博士がニューヨークの国連本部で、11月1日から着任したスタファン・デミストラ国連事務総長個人特使と初会談しました。 正直、ホッとしました。
 やっと西サハラ難民大統領も重い口を開いて、独自にモロッコ国王の西サハラ史捏造を非難し始めました。
 西サハラはアルジェリアに不必要な遠慮をせず、自分たちの独立を目指してください。 
 

国連本部で会談する、左にシディ・オマル西サハラ国連代表と、
右にスタファン・デミストラ新西サハラ国連事務総長個人特使

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]  英語版URL:   https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2021年11月9日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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