1991年に国連が約束した西サハラ人民投票が、未だに手を付けられていない理由が、やっと判明してきました。 それは賄賂です。 金です。 カタール・ワールドカップ汚職でEUヨーロッパ議員たちが逮捕されて、モロッコの西サハラを巡る汚職もばれました。
モロッコは国連西サハラ人民投票をやりたくないので代替案として、モロッコの西サハラ領有権を2007年ごろから主張し始めました。 領有権は認められていません。 そこでモロッコは、賄賂を使って、国際組織に領有権を認めるよう圧力をかけてきました。
① EUのカタール・ワールドカップ汚職から、モロッコとEUの汚職へ:
カタール・ワールドカップの様々な感動余韻に世界が酔っている裏で、EU議員とカタルのワールドカップを巡る汚職捜査が進んでいる。同時進行で、EU議員とモロッコの西サハラ領有権を巡る汚職がクローズアップされてきた。
2022年カタール・ワールドカップは、数々のスキャンダルに見舞われた。中でも美貌のEU議会副議長を含む4人が12月9日にベルギー首都ブリュッセルで逮捕・起訴された事件は、ワールドカップ開催国カタールへの誘致問題などが絡んでいるだけに、ヨーロッパのマスコミに火を点けた。
12月12日、ロイターなどが、「ベルギー検察当局は9日、ブリュッセルで16カ所を捜索し、現金60万ユーロ(63万1800ドル)を押収。11日には声明で、4人の容疑者を犯罪組織への参加、マネーロンダリング、汚職の罪で起訴した」と、発表した。12月13日のロイターは「-欧州議会が13日、議会本会議で採決を行い、サッカー・ワールドカップ開催国のカタールから金品を受け取ったとして逮捕されたエバ・カイリ副議長を解任」と発表した。
カイリ氏は14人いるEU議会福議長の一人で、逮捕された他の3人は欧州議会元議員のピエール・アントニオ・パンツェリ氏、国際労働組合総連合(ITUC)のルカ・ビセンティーニ書記長、カイリ氏のパートナーのフランチェスコ・ジョルジ氏。いずれもイタリア国籍だ。また、ロイターが確認した文書によると、ベルギー当局はイタリア国内にいるパンツェリ氏の妻と娘の逮捕状も取った。同氏はカタールとモロッコから金銭を受け取って欧州議会で影響力を行使した疑いがあり、妻と娘もそれを認識していたという。
12月20日の東洋経済が、「現在ブリュッセルで収監されているイタリアの元国会議員アントニオ・パンゼーリ氏の疑惑も浮上した。 フランスのニュース専門チャンネルBFMTVは、2011年付の機密メモの中で、モロッコ大使が西サハラの領有権問題を有利に解決するため、パンゼーリ氏が10年間、モロッコの利益を擁護する言動を繰り返し、金品を受け取っていた疑惑を報じている。EUは過去に、肥大化した欧州委員会の官僚による統治が批判され、民主主義を守るため、欧州議会の権限を増す転換を行った」と、書いている。
パンツェリ氏は、深刻な人権侵害に対する責任追及と国際司法を促進するために設立された国際NGO(非政府組織)「ファイト・イムピューニティ(刑事免責と戦う)」の会長を務めていた?? ただし、このNGOはEUに登録せず、ロビー活動をしていた。
② アメリカのテレビ<デモクラシー・ナオ>:
2022年12月20日、アメリカのテレビ<デモクラシー・ナオ>が,<モロッコ占領地・西サハラ>がEU議会汚職問題の中心>というタイトルで、モロッコ占領地・西サハラ紛争の特集を放映した。<デモクラシー・ナオ>は、「今月初めのベルギー検察が公開した多数のEU議員が絡む多額の賄賂事件で、贈賄側のモロッコとカタールがEUを不能にしている。ポルトガル外交官で元EU議員のアナ・ゴメス女史は、<EUでカタールとの汚職が問題になっていた時、EUとモロッコとの汚職がそれに代わって大問題になってきた>と、語った」と、報道した。アナ元EU議員はモロッコ賄賂の根源が、モロッコの西サハラ領有権主張にあることを知り、EU議員団を組んで西サハラ問題の真相を知るため、モロッコと西サハラ難民キャンプを訪れた。そして、彼女がEU議会で報告した時、EU議員の中に西サハラの存在すら知らない者がいて。驚いたと言う。元駐インドネシア大使として東ティモール国連人民投票を経験したアナ女史は、西サハラ紛争の解決策は国連人民投票だと強調する。
2022年12月20日のアメリカTV「デモクラシーナオ」が報じたEUとモロッコの賄賂
番組もう一人のゲストは、その国連西サハラ人民投票を実現しようと尽力した、当時のアナン国連事務総長西サハラ特使フランチェスコ・バスタッリ・イタリア外交官だ。彼は、「西サハラ紛争解決策は国連西サハラ人民投票だと。関係者は信じている。しかし、人民投票を拒否するモロッコは国連内で賄賂をばらまいて、安保理で拒否権のある米仏を、味方につけた。さらに、賄賂でスペインを黙らせた。EU 対策に、モロッコは<フレンド>という名の巧妙なNGOロビー組織を作り、漁業、リン鉱石などの二国間取引でEUを賄賂で縛り、天然資源を含む西サハラ領有権の承認を迫っている。モロッコの西サハラ占領は国際法上、違反だ。にも拘わらず、モロッコは大金で西サハラを買い取ろうとしている。西サハラの戦略的位置と豊かな天然資源は、モロッコにとって手放せない。国連人民投票を一旦は受けいれたものの、モロッコには<帰属か独立かを選ぶ人民投票>に勝つ見込みがないからだそうだ。それで、賄賂という金で、西サハラ領土を買い取ることにしたとは、信じ難いけど、真実だ。
③ 西サハラの対応:
12月22日のデモクラシーナオは、モロッコから金を貰ってEU域内で様々な不正交渉をしていた活動家兼政治家のホセ・ボべ氏をインタビューした。フランス農民に自由取引と称して、2009年から2014年までモロッコ占領地・西サハラでの漁業や農業を開発した。「モロッコ側と賄賂の相談をしたのは、12月24日~1月1日(2008年?)にかけてだ」と、氏は語っている。すかさずモロッコは、モロッコ首相にボべ氏を偽証罪と虚偽罪で告発させた。このニュースは、モロッコ第4位ワールドカップ大祝賀の歓声に掻き消された。
一方、西サハラだが、ポリサリオ難民政府は人権問題サハラウィ人民委員会に非難声明を出させた。声明は、「これまで人権問題に真摯に取り組む国際機関として信頼してきたEUが、西サハラ人権問題に関して加害者モロッコを庇う理由は、モロッコの賄賂による根回しだったことが判明した」と、モロッコ賄賂工作を糾弾した。さらに「EU 司法裁判所が、西サハラ領海を含むEUモロッコ漁業取引は違反行為としたにもかかわらず、モロッコの賄賂で取引を続ける行為は犯罪だ」と、非難した。が、モロッコの賄賂と闘う決意と方策は表明されていない。西サハラEU代表に問い質したが、まだ返事がない。
ポリサリオ西サハラ難民政府は未だに、正式声明を出していない。
バイデン米大統領は、ウクライナに対する450億ドル(約5兆9600億円)規模の緊急支援を含む年末の歳出法案の採決控えた2022年12月21日に、ゼレンスキー・ウクライナ大統領をワシントンに呼びつけました。 そしてその夜、連邦議会でゼレンスキーに演説をさせ、ジョー・バイデン米大統領は、23日、総額1兆7000億ドル(約224兆円)規模の2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算案を賛成225票、反対201票で可決させました。 西サハラといいウクライナといい、金の力を見せつけられた2022年でした。
最上のクリスマスプレゼントを貰ったバイデンだけが、ニッコニコ、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年12月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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