2023年1月18日、BBC 英国TVが、「汚職疑惑の元EU議会議員が司法取引に応じる (ベルギー検察発)」と、報じました。 ベルギー検察は17日に、「賄賂を受け取った犯罪ネットワーク4人のうちの一人が司法取引に応じた」と公表しています。
彼の供述で、EUとの汚職に関わったモロッコの犯罪実態が明らかになってきます。
① モロッコゲートが開いた!:
ベルギー検察との司法取引に同意したのは、元EU議員でイタリア人のピエ―ル・アントニオ・パンチェリだ。ベルギー検察官が、「司法取引に応じたパンチェリは、非常に重い実刑判決の代わりに禁錮1年と罰金が科され、100万ユーロ(14065万円」の資産が没収される」と、説明した。その見返りにパンチェリは、どの国が関与し、誰から賄賂をどうやって受け取り、EU議会にどう働きかけたかなどの、詳細情報を提供しなければならない。
元EU議会副議長を含む容疑者4人は、2022年12月、警察からアパート、家、ホテルへの家宅捜索を受け、で約1.5百万ユーロ(21097万円)現金を押収され、起訴された。200ユーロ、50ユーロ、20ユーロ、10ユーロの紙幣の隠し場所の写真が警察によって公開された。現金が詰め込まれたスーツケースの画像も、含まれている。4人はカタールとモロッコとの汚職捜査を受けているが、特にパンチェリは、モロッコから賄賂を受け取り、EU議会で、漁業権や西サハラ領有権の問題をモロッコに有利な違法ロビー活動をしたことが、問われている。
パンチェリ(67才)は2019年のEU議員選挙に落選した後、白々しく、ファイトインプニティ(免責と闘う)と呼ばれるロビーグループを創設した。汚職事件発覚後のパンチェリは、自分が助かるために司法取引をし、地元イタリア北部の都市ブレシアの裁判所に、自分の娘シルビア・パンチェリや妻マリア・コッレオーニも売った。2人の女性は現在自宅軟禁されていて、ベルギー検察に引き渡すかどうかの最終決定は、イタリア最高控訴裁判所が下す。
ベルギー検察官は、「パンチェリが、イタリア系ベルギー人でEU議員のマーク・タラベラとアンドレア・コッツォリーノの二人も事件に関与していると、漏らした」と、発表した。
イタリアの新聞は、「モロッコ占領地・西サハラのモロッコ諜報機関が賄賂と引き換えに、パンチェリを西サハラ難民キャンプに送りこんだ」と、報じている。パンチェリが11年前に、現駐ポーランド大使のアブデ・ラヒム・アトモンを通じてモロッコから金銭を受け取っていることも、同紙が明かしている。パンチェリは2011年にモロッコからスパイとして西サハラ難民キャンプに送り込まれ、モロッコ政権に都合の良い報告書をEU議会に出した。また、同紙は、モロッコEU代表のメモも公開している。
パンチェリの名前は、彼がモロッコと西サハラを公式訪問する直前に、当時の駐ブリュッセル・モロッコ大使が政府へ送った手紙で紹介した。手紙にはパンチェリが、「モロッコ・ミッション(大使館)に、チンドゥフでのプログラムの開発(モロッコスパイ活動)について情報を提供し続けることを誓った」と、特記している。パンチェリの元補佐官フランチェスコ・ジョルジが検察官に、「EU議員に落選したパンチェリは、外交官アブデ・ラヒム・アトモンの仲介で、モロッコ対外諜報機関と秘密協定を結んだ」と、明かした。ブリュッセルの連邦検察官による調査は、「EU汚職でのモロッコ関与が明らかになり、議会への妨害と干渉に関するモロッコとその秘密諜報員の役割も把握した」と、明言している。
端的に言うと、モロッコのスパイ・パンチェリは50,000ユーロ(7032万円)の賄賂をモロッコから貰い、EU議会でモロッコに対する占領政策や人権侵害などに関する非難決議を、ことごとく踏み潰したということだ。
EUの看板を背に左がモロッコゲートの主役・アントニオ・パンチェリ元EU議員、
左はモロッコ人外交官
2023年1月18日、BBC 英国TVが、「汚職疑惑の元EU議会議員が司法取引に応じる (ベルギー検察発)」と、報じました。 ベルギー検察は17日に、「賄賂を受け取った犯罪ネットワーク4人のうちの一人が司法取引に応じた」と公表しています。
彼の供述で、EUとの汚職に関わったモロッコの犯罪実態が明らかになってきます。
② 西サハラの反応:
モロッコゲートに関するパンチェリ司法取引のニュースが流れた1月18日の西サハラ難民キャンプでは、<第16回西サハラ民族会議>の48時間延長を決めたところだった。
AFPアルジェリア国営通信は、「1月18日に、EU議会の議員有志がEU加盟国に対して、モロッコゲートの特別記載を含む年次報告の重大な修正を促した」と、報道した。
SPS西サハラ難民通信は、「ポリサリオ戦線のEU代表メンバー・ムーレイ・エルハッサンが、2023年1月16日から20日にかけてストラスブールで開催されたEU議会の公開セッションのサイド会議に参加した。サイド会議はEU議会内の汚職スキャンダルに於けるモロッコの関与、別名モロッコゲートとして知られる事件を扱った」と報道した。
サイド会議に参加したEUの議員たちは、EUとモロッコ間の違法な協定や、サハラを含む不法漁業貿易協定に関して、EU司法裁判所の明確な判決に照らし会わせつつ、モロッコのEU不法干渉について調査を行う必要性を強調した。
1月19日、EU議会がモロッコゲートに関する声明を出した。これを受けてモロッコ最高諮問会議(御前会議)が開催され、「<モロッコゲート>は根拠のない噂に過ぎない」と、反発した。
一方、1月20日の<第16回西サハラ民族会議(ポリサリオ戦線会議)>はさらに72時間の延長を決めた。ポリサリオ戦線事務局の事務総長や事務局員の選挙を行うためだとか?
モロッコゲートに関してシダティポリサリオ戦線会議スポークスマンは、「今回の汚職事件は氷山の一角にすぎない」と、他人事のようにコメントした??
③ モロッコ・イスラエル軍事同盟:
EU 議会に大金をばらまき、饗応し、まさに贈賄罪に問われようかという時に、モロッコはそれほど慌てていない。「イスラエルとアメリカのシオニストと組んでいるから安心デス」と、モロッコ国王特別アドバイサーでユダヤ系モロッコ人アンドレ・アズライの、国王に囁く姿が目に浮かぶ。
先代の故ハサンⅡ世からムハンマド六世まで、国王助言者を務めているアンドレ・アズライは、1941年4月17日にモロッコのエッサウィラで生まれた。彼自身がユダヤ・モロッコ人の家系だと公言している。1991年から先代のハサンⅡ世が死ぬ(1999年没)まで先代に寄り添った。故ハサンⅡ世も容認した国連人民投票(1991年)の実施に向け動き始めた1993年に、アブライは外国企業誘致を故ハサンⅡ世に進言し、イスラエルの参画を図った。後継者のムハンマド六世はモロッコ占領地・西サハラの経済開発を急速させ、アズライは世界経済を牛耳るイスラエルの傘下にモロッコを導入した。正式国交などなくても商取引はできる。かくして、ユダヤ系モロッコ人のアズライは、モロッコのイスラエル化を成し遂げた。
2023年1月17日、MAPモロッコ国営通信が、「モロッコ王国軍最高司令官である国王陛下のご命令で、第一回モロッコ・イスラエル合同防衛会議が、2023年1月16日と17日に首都ラバトで開かれた」と、報じた。西サハラを含む南方司令官と王立軍観察総監を兼任する王立軍中将がモロッコ王国軍を代表し、イスラエル国防省のドロール・シャローム政治軍務部長が出席し、様々な分野での共闘を結んだ。具体的には、軍事演習、武器開発、情報交換、空の防衛、モロッコ南部の防衛などの相互協力をさす。モロッコ南部とは西サハラを指す。
軍事情報サイト「グローバル・ファイヤーパワー」によれば、モロッコ軍には現役で31万人、予備役で15万人の兵士がいる。モロッコ軍は、2020年に10年間延長された条約の下、米軍と緊密に連携。6月には、モロッコで米軍との合同軍事演習「アフリカン・ライオン」が実施された。
そもそも、西サハラを餌に、イスラエルとモロッコ国王を結びつけたのは、トランプ前米大統領の娘婿でシオニスト・ユダヤ人のクシュナーだ。モロッコの西サハラ領有権を容認するトランプ大統領署名と、イスラエル・モロッコの国交正常化との交換取引を、モロッコ国王に呑ませた。
バイデン大統領になっても継続している。なぜなら、ブリンケン米国務長官もシオニスト・ユダヤ人だからだ。クシュナーもブリンケンも、イスラエルのためなら、何でもすると公言している。シオニストとはユダヤ民族主義者を指す。
日本を仕切っているシオニスト・ユダヤ人は、ラーム・イスラエル・エマニュエル・アメリカ大使です。名前が示すように、イスラエル人です。
大使は総理訪米直前のNHKインタビューで、防衛費増額の決定を岸田総理がしたのでホワイトハウスに招くことになったと、真相を明かしました、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年1月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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