明日2月27日は、SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)の建国記念日です。 47回目になるこの日を、今年もまたアルジェリア西部の難民キャンプで迎えてしまいました。
バイデン米大統領がキーウを訪問し、プーチン露大統領がウクライナ戦争1周年演説をし、地震に揺れる世界は第3次大戦に突入し、中国停戦案でゼレンスキーとバイデンに亀裂ができ、、地球は目まぐるしく変わっていくのに、西サハラ難民キャンプはそのまんま!
① 西サハラ論争に再び火をつけたのはロシア外務大臣ラブロフ:
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、1月下旬と今月の2度にわたってアフリカ7か国を歴訪した。欧米メデイアは、アフリカ諸国で存在感をアピールし、欧米主導の対露包囲網に対抗する思惑だと、報道した。ラブロフは、1月23~26日に南アフリカ、エスワティニ、アンゴラ、エリトリアを、2月7~9日にマリ、モーリタニア、スーダンを訪問した。
2月8日のモーリタニア記者会見で、「西サハラ問題の行き詰まりを克服し、国連安保理決議に基づく和解を促進する方法についての具体的なステップを積極的に模索する必要があると考えている」と、述べた。ラブロフはまた、西サハラの友人グループ(スペイン、フランス、ロシア、英国、米国)が当分の間その活動を停止したことは遺憾だと語った。
<西サハラ友人グループ>?そんなもん、あったんだ?! 幻の<西サハラ友人グループ>をぜひとも、再興して欲しい!!
とりあえず、ロシアと西サハラ周辺国との友人関係を検証してみる。
ロシアとアルジェリアの関係は、極めて良好―
2月2日、ラブロフ外相があらゆる分野で両国が共同作業を進展させていることを強調し、ロシアとアルジェリアの卓越した歴史的関係を称賛した。
ロシアとモロッコの関係も良好―
2月8日、モスクワでロシアのヴェルシニン副外相とモロッコのロシア大使ブチャアラが西サハラを含む「国連の議題に関する共通の関心事」を討議した。
ロシアとモーリタニアの関係も正常―
ラブロフ外相は国連西サハラ和平交渉のオブザーバー国であるモーリタニアの
モハメド・サレム・ウルド・メルズーク外相と会談し、西サハラ紛争早期解決で一致した。
ロシアと西サハラ周辺国との関係は、極めて正常だ。
② 国連事務総長がAU首脳会議に参加してロビー活動:
2月16日から19日まで、グテーレス国連事務総長はエチオピア首都アジスアベバでのAU平和・安全保障会議やAU首脳会議に出席し、アフリカの首脳級と会談した。基調演説で国連事務総長は、「アフリカには潜在力がある。その証拠にアフリカはたくさんの雇用機会を作った」と、持ち上げた。アフリカをアメリカに置き換えると、バイデン米大統領の2023年基調演説にそっくりだ。そして国連事務総長は、「アフリカの課題は二つある」と、教示した。「一つ目は、G20など、先進国資金をもたらす企業を呼び込む新経済体制をつくることで、二つ目はグリーン・テクノロジーを基本にした気候変動対策行動を起こすことだ」と、英語であじった。そしてフランス語で、サヘル諸国のテロ戦争はAUの責任だと、ロシアの介入を牽制した。元アフリカ植民地宗主国ポルトガル出身で欧米代弁者である現国連事務総長は、アフリカ諸国からロシアを引き離そうと試みた。国連事務総長の目的は、2月23日に国連総会で行われる<ロシア軍撤退要求>などの決議案採択で、アフリカ票を集めることだった。
「私たちのAUは、脱植民地化という不変の教義を遵守し、その役割を果たすことが不可欠とされている。その論点からも、AUは西サハラ問題に対して、全責任を負わなければならない」との、アルジェリアのアブデルマジド・テブン大統領のメッセージをアイメン・ベナブデラマネ首相が代読した。さらにアルジェリア首相は、「国際条約と決議に沿って、自由で公正な人民投票の組織を通じて、サハラウィーの人々が自決権を行使することを、アルジェリアは揺るぎなく支持している」と、強調した。
AU首脳会議に招待されたモハマド・シュタイエ・パレスチナ首相は、パレスチナの兄弟を再会させパレスチナ支援の<アルジェ宣言>を提唱したアルジェリアに、謝意を述べた。
モロッコは西サハラをAUから排除するための<タンジェ宣言>を可決させようと、首脳会議に先駆けてアジズ・アカヌーチ首相が代表団を率い、ナセル・ブリタ外務大臣などがいつものように脅迫と賄賂を使ってサミットの廊下やホテルでロビー活動を行った。が、AU総会は<タンジェ宣言>を拒否した。
2月18日、AU首脳会議と委員会は、コモロ連合のガザリ・エル・オスマニ大統領を2023年のアフリカ連合議長に選出した。コモロは、SADRを支援するSADCのメンバーだ。SADRとはサハラウィ・アラブ民主共和国で、SADCとは南アフリカが中心になって南部アフリカ16か国が構成する南部アフリカ開発共同体の略称である。
ファキAU連合委員長がAU首脳会議の終了記者会見で、招待状のないイスラエル代表が他人の許可書で不法侵入していたと発表した。モロッコなどによる<イスラエルをAUのオブザーバー国にしよう>という提案は、2022年、既に拒否されている。
③ スタファン・デ・ミストラとステファン・デュジャリック:
ステファン・デュジャリック国連事務総長報道官はスタファンの動向を報告する時、必ず<我らが友>と、皮肉屋報道官としては最高の誉め言葉をつける。
2023年2月16日の国連定例記者会見で、ステファン報道官は、「西サハラの国連事務総長の個人特使である<我らが友>スタファン・デ・ミストラは、サハラ問題に対する<公正で実行可能で相互に受け入れられる解決策>を見つけるために関係者との接触を続けている」と、報告した。さらに報道官は、「国連特使はドイツ・ミュンヘン安全保障会議に出席し、西サハラ問題に関する協議を実施する。4月には、西サハラ紛争に関する安全保障理事会で演説する」と、言及した。
スタファン・デ・ミストラは、イラクや南レバノンやアフガニスタンやシリアで国連特使を務め、米国務長官も露外務大臣も一目を置く国連のスーパー外交官だ。 デ・ ミストラは2021年に国連事務総長西サハラ個人特使に任命され、2022年にはモロッコも任命を承認した。が、未だに両当事者の交渉は再開されていない。しかも、<我らが友>は一度も国連担当記者団の前に姿を現したことがない。
2月20日の国連定例記者会見でも西サハラは話題に上らず、<ノルドストリーム原油パイプライン爆破工作事件>で盛り上がった。
「バイデン米大統領がキーウに行きウクライナへのさらなる軍事支援を約束したことが、プーチンを和平と国連憲章遵守に向かわせられると思うか?」と、ウクライナ記者がメモに書かれた誘導尋問を薄ら笑いを浮かべて読んだ。「見解や分析は君たち記者の職域だ。アメリカ大統領とウクライナ大統領がやろうとしていることを、予測したり色眼鏡で見るのは我々の職域内にはない」と、報道官は答えた。報道官は中立の立場を装った。
一方、<彼のボス>国連事務総長は、23日の国連ウクライナ採決に向けた総会緊急特別会合の真っ最中に乗り込んで、突撃演説をやった。そして、ロシアをこき下ろし、ロシア批難決議への賛成票を集めようとした。22023年2月24日、国連総会はウクライナ戦争1周年記念祭に向け、<ロシア批難決議>を、賛成141、反対7、棄権32で可決した、193国連加盟国=141+7+32+?、?の13か国はどうなってるの?
2月19日、ウクライナ大統領宮殿でバイデン米大統領は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領閣下に新たな武器援助を約束しました。 ゼレンスキー閣下は、訪問はありがたいけど戦闘機が欲しいんだと言ったとか?
宮殿の外では、「武器援助はたくさんだ!双方に死者を出すだけだ。私たちは和平交渉を望んでいる」と叫ぶ市民デモがありました。
LGBTの虹色旗もヒラヒラしてたよ!!
今年の建国記念日も、旧式カラシニコフ銃と鉄兜の行進で開始する、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年2月26日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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