6月12日から23日までニューヨーク国連本部で開催された国連C24脱植民地化特別委員会の年次総会で、国連が指定した西サハラを含む17の植民地地域が討議されました。
モロッコは、「西サハラはモロッコ領で触民地ではない。委員会の植民地リストから西サハラを外せ」と、ゴネています。
① アルジェリア国連大使は国連西サハラ人民投票を促す:
国連C24脱植民地化特別委員会年次総会の初日に、アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使は、「委員会は今日、西サハラの人々の自決権を支持する多くの代表団の言葉を記録した」と述べた。「アルジェリアもその代表団の一員として名を連ね、国際的人道主義の信念と西サハラの人々の自決権を擁護し続けるという、不変の原則に従う」と主張し、「C24は国連憲章の神聖な目的を担う組織の1つ、すなわち人々の平等な権利の原則と自決権の尊重を支持する任務を持つ<特別な委員会>である」と、C24の存在意義を主張した。
さらにアマル大使は、C24の議題に上っている17の領土のうち、アフリカで最後の植民地・西サハラの領土は、国連総会決議1514が明記する<未確定地域>だ」と、強調した。
「これに加えて、国際司法裁判所(ICJ)の1975年の勧告的意見は、西サハラとモロッコの間にいかなる種類の法的つながりもなく、決議1514の実施に悪影響を与える可能性があると明確に結論付けた。かくして、ICJは、西サハラの人々の自由な意志表現による自決に対する不可侵の権利を明確にした」と念を押した。アマル大使は、1988年に故ハッサン2世国王が1991年の両当事者承認前に賛同したように、「西サハラの紛争に対する公正かつ決定的な解決策は、自由で誠実で、制約なしに行われる民族自決の人民投票以外にない」と、繰り返した。そして、アマル大使は、「西サハラの人々の正当な権利のために脱植民地化プロセスを進めることは、C24の責任でもある」と言及した。「西サハラの人々との協議なしには、既成事実や一方的な宣言や行動が法的効力を持つことはできない」と断言し、モロッコ代表団に、「モロッコ占領地・西サハラが幸せな楽園だと言い張るのなら、なぜモロッコはその人民との協議を拒否したり、自由で公正で制約のない人民投票を避けたりするのだ?!」と、迫った。
オマル・ベンジャマ氏はキャリア外交官で、とりわけ<サハラウィの大義>を擁護する目的でアルジェリアの国連代表に任命された。スキクダ(東部)出身で72歳の大使は、「チームを作り、率いる方法を知っている大使」とか、「彼はやや無愛想な性格で、一見楽観的だが、実際には外交官や職員の個人的な試練にまで敏感だ」とも、評されている。エチオピア、フランス、ベルギー、ルクセンブルグの大使を歴任し、2001年から2005年まで駐日大使を務めた。
② モロッコ国連大使の悪口雑言ヘイトスピーチ:
「サハラ(モロッコの西サハラ呼称)が天国とは言ってない。、独立後60年も経ったアルジェリアに比べ、数年で素晴らしい所になったモロッコのサハラに、アルジェリア新大使は嫉妬しているのか?そこでは、(アルジェリアのように)並んでパンを買うことなどないと、新大使に教えてやる」と、アルジェリア国連大使に向かって、C24委員会に参加していたヒラール・モロッコ国連大使は悪態をついた。
ヒラール・オマル・モロッコ国連大使の、西サハラとアルジェリアに対するヘイトスピーチは、虚偽と悪意に満ちていて犯罪に値する。これまでヒラール大使は、西サハラと支援するアルジェリアを、<テロリスト>とか<麻薬販売人>とか<人買い>と呼ばわり、西サハラ大統領を<セクハラ>と<不法拘禁>で逮捕しろと、スペイン政府に脅しをかけたりした。ヒラールは国連安保理理事国や国連加盟国に宛てて「西サハラ難民政府とアルジェリアは共謀して、西サハラ難民キャンプへの支援物資を横流しし、難民キャンプで子供たちを誘拐し軍事訓練をし外国に売り飛ばしている」との書簡を送ってきた。
2023年国連C24脱植民地委員会での、ヒラール・モロッコ国連大使はアマル・ベンジャマ・アルジェリア新国連大使を新米だと馬鹿にして、自身が捏造した持論を並べ立てた。「2001年に元国連事務総長個人特使のジェームズ・ベイカーを買収した故アルジェリア大統領アブデルアジズ・ブーテフリカが、資金を提供して、サハラをアルジェリアとポリサリオという分離主義武装グループとで共有することを企んだ、、しかし、モロッコ領土は一つに統一されておりサハラはモロッコの南部だ」と、サハラ(モロッコの西サハラ呼称)はモロッコのものであると強調した。アルジェリア国連大使の国連憲章と決議に基づいた発言を、意味や事実や証拠や法的根拠や政治的議論などなどが欠如し、時代遅れで歴史認識不足だと口汚く罵った。
さらにヒラール・モロッコ大使は、「チンドゥーフ収容所(西サハラ難民キャンプのモロッコ呼称)に隔離した住民を、45年以上にわたって、民主主義が完全に欠如したアルジェリアが金を出し、ポリサリオ戦線という分離主義者に支配させている、」と嘯いた
そしてヒラール・モロッコ国連大使は、「アルジェリア国連大使が引用する、国連総会決議1541および2625は、アルジェリアの主張を裏付けていない、、国連がアルジェリアの解釈に従って民族自決の原則を適用する場合、この組織は193か国ではなく600を超える加盟国を持つ、、(??)」と、意味不明な言葉を吐き続けた、、
③ オマル博士の陳述とモロッコ人の西サハラ支援宣言:
6月12日の国連C24脱植民地化特別委員会で、西サハラ政府国連代表兼MINURSO(ミヌルソ・国連西サハラ人民投票監視団)のコーディネーターであるシディ・モハメド・オマル博士は、「西サハラ人は、あらゆる合法的な手段によって自らの権利と国家独立の願望を守り続ける。どんなに時間がかかっても、、」と、演説した。彼は、「モロッコによる西サハラの違法な占領は、国際社会と国連憲章とこの委員会に対して、恥ずべき蛮行だ。西サハラの脱植民地化を、即時かつ平和的な解決策で達成するため、全身全霊の努力をする」と、強調した。
モロッコ国連大使の発言にもめげず、正攻法で頑張るシデイ・オマル西サハラ国連大使
オマル西サハラ国連代表の演説の後、凄いことが勃発した。国連C24脱植民地化特別委員会では、初めて、モロッコ人が西サハラ支援演説を叫んだのだ。モロッコの一市民としてC24 委員会の証言台に立ったアフメド・ファナン氏は、西サハラ人の自決権、自由、独立の支持を語り始めた。西サハラ占領国・モロッコの国連副代表はファナン氏の発言を止めようとしたが、ファナン氏はマイクを放さなかった。ファナン氏は国連に対し、国際正義に従って西サハラ問題の解決に取り組み、西サハラの政治囚を釈放させ、刑務所と占領地内で日常化している拷問、誘拐、拘留を停止させ、国際法廷で拷問者を裁判にかけるよう訴えた。そして、改めてサハラの人々への支持を宣言した。 モロッコ秘密警察に暗殺されないように、、
他の勇気あるモロッコ市民の告発も、MAPIndependent(西サハラ難民独立系ネット通信)が、伝えている。MAPによると、「6月11日に放映したAl-Shorouk Newsのインタヴュー番組で、モロッコ王立陸軍の亡命将校であるアブデリラ・エッソがモロッコ王室内での王女銃撃事件を語り、軍隊に蔓延している混乱と腐敗の状況、そしてこの軍隊が南アメリカから西サハラを経由してアルジェリアやヨーロッパ諸国に麻薬を密輸する犯罪集団に変わっていく経過を明らかにした」と、発表した。エッソは、「敵とみなすアルジェリアを麻薬(ハシシとコカイン)漬けにし滅亡する計画は、モロッコ王国政府から王国軍に下された」と、言う。
「中でも、コカイン密輸入は大仕事だ。コカインをラテンアメリカからモーリタニアと西サハラを経由する密輸は犯罪組織の活動で、モロッコ軍の監察官からの指示を受けたモロッコ正規軍はそれに協力する、、指示を拒否した兵士は解雇される。命令に従った兵士には特別手当が出ているが、その金は上級将校に行く、、」と、エッソは語っている。
モロッコとイスラエルがモロッコ占領地・西サハラを舞台に企んだ<6月ネゲブサミット②>は、お流れになったようです。 「モロッコは9月に<ネゲブサミット②>を主催する用意があり、政治的状況が良好になることを望んでいる」と、 6月23日にナセル・ブリタ・モロッコ外務大臣が発表しました。
<政治的良好>とは?、何を企んでいるのでしょうネ??、、
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年6月24日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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