習近平中国主席から公式招待されたアブデルマジド・テブン・アルジェリア大統領は、2023年7月17日から20日まで中国を訪問しました。 7月18日、習主席とアルジェリア大統領は共同コミュニケで、「政治協議の強化、安全保障協力の強化、経済パートナーシップの深化、あらゆる分野での協力の強化を継続することに合意した」と、固い結束を表明しました。 両国関係は、今始まった仲ではありません。
北京の人民宮殿で、左にアブデルマジド・テブン・アルジェリア大統領、右に習近平中国主席
① 昔からの仲良し、中国とアルジェリア:
アルジェリアの長~い鉄道や気が遠くなるほど長~い砂漠の一本道を、率先し汗を流して作ったのは、中国の人々だ。AUアフリカ連合本部の建物も、中国が建設費一切を引き受け2002年に完成させた。対する欧米は、国連での一票欲しさに、自ら汗を流さず、昔々の支配者意識で中国をけなし蹴落とそうと情報機関を暗躍させ捏造情報を流し続けている。
2023年7月17日、カタールの公式訪問から直行したアブデルマジド・テブン。アルジェリア大統領は、アフメド・アタフ外務・在外国民共同体大臣、アジズ・ファイド財務大臣、モハメド・アラカブ・エネルギー・鉱山大臣、カリム・ビビ・トリキ郵政・電気通信大臣、アリー・アウン貿易・輸出促進大臣、タレク・ベラリビ住宅・都市・都市大臣、ラクダル・ラフルフ公共事業・灌漑・基地施設大臣、知識経済大臣などの重要閣僚全員参加代表団を引き連れ、対応する中国閣僚代表団と会談を行った。アルジェリアの新興企業に加え、零細企業も参加して、19の両国間の合意と覚書文書に署名した。
ウクライナ戦争に関して両国は、「<対話と交渉、国際法及び国連憲章の目的と原則の尊重を通じた平和的手段による紛争の解決>を求め、<ある国の安全を確保して他の国家に損害を与えることは許されない>とし、<一方的な制裁やその他の強制的な措置に訴えない>ことの必要性を強調した。そのうえで、ウクライナ戦争危機の平和的解決策を見つけようとする中国を支持すると結んだ。
8月22~24日に南アフリカで予定されているBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)経済共同体サミットにアルジェリアも参加する予定だ。プーチン露大統領だICCを承認している南アフリカに入国したら逮捕しようと、欧米は目論んでいる。が、プーチンはビデオ参加に決めた。「わが身可愛さにBRICSを棄権するんだろう!」と、黒幕のわが身を考えず講演して、プーチン焙り出そうと、ムーアM16イギリス秘密情報機関長官が必死で煽った、
② 中国とアルジェリアは西サハラとパレスチナを支援:
訪中三日目の7月18日、テブン・アルジェリア大統領は中国人民大会堂本部で、<中国・アルジェリア議会機関間友好グループ創設を宣言し、「アルジェリアは国際レベルで中国の決定を支持する」とテブーン大統領は述べ、お返しに中国は「アルジェリアの決定への支持」と応えた。さらに双方は、「国連安全保障理事会で中国・アルジェリア間の緊密な連携」を。約束した。2024年~2025年にかけてアルジェリアは国連安保理の席に着く。
パレスチナ問題に関し「アルジェリアと中国は、パレスチナが国連および関連機関への正会員になるために、努力する」と、約束した。中国側は、パレスチナ諸派の再統一とパレスチナの和解と統一の達成に向けたアブデルマジド・テブーン大統領のたゆまぬ努力と、「アルジェ宣言」を称賛した。一方、アルジェリア側は、習近平国家主席がパレスチナ問題の解決のために提示している<三項目提案>を歓迎した。<三項目提案>とは、習主席が6月14日、直接パレスチナ議長に手渡した①和平交渉再開、②エルサレムを首都とするパレスチナ国家支援、③国際機関にパレスチナ支援強化を促す、という、3点の提案を指す。
西サハラ問題に関して、中国とアルジェリアは、「国連憲章の原則とその目的に合致する措置に従い、西サハラの人々に自決権を保証することができる、関連する国連決議を含む国際合法性の枠組みの中で永続的かつ公正な解決を達成するための国連の努力を支持する」と、表明した。そして、ステファン・デ・ミストラ国連事務総長個人特使の活動を支援すると、約束した、
アルジェリア大統領はまた、中国国家主席が立ち上げた世界文明構想を歓迎し、「異なる文明間の寛容、共存、交流、相互学習の重要性」を強調した。
③ 中国とアルジェリアの両首脳による西サハラ国連解決に、ノーを宣言のモロッコ国王:
わざと、アルジェリア大統領の中国訪問時期にぶつけて、ムハンマド六世モロッコ国王はネタニヤフ首相から手紙が来たと、王室発表をさせた。モロッコの外交権と軍事権は、国王が握っている。モロッコ国王は独断で外交命令を出せる。
2023年7月18日、モロッコ王室が写真を付けてお触れ~―
【ムハンマド6世国王陛下は、イスラエル国首相のベンヤミン・ネタニヤフ閣下から手紙を受け取った。この手紙で、イスラエルの首相は国王陛下のご注視を受けることができた。それは、神が彼を助けてくださいますように、<西サハラの領土に対するモロッコの主権を認める>というイスラエル国の決定だ。イスラエル首相は、彼の国のこの立場は<イスラエル政府のすべての関連行為および文書に反映される>と述べた。さらに、彼は、この決定は<国連、イスラエルが加盟している地域および国際機関、ならびにイスラエルが外交関係を持っているすべての国に伝達される>と強調した。イスラエル首相は手紙の中で、イスラエルがこの国家決定の一環として、<ダハラ市に領事館を開設する>ことを前向きに検討していると通知した】
7月18日、国連定例記者会見で国連事務総長報道官が、「西サハラ問題に関する我々の立場は変わってない」と表明した。
7月19日、サハラ・アラブ民主共和国は、モロッコの西サハラ主権を認めるイスラエル決定は法的根拠がなく国連憲章に違反」と非難した。
7月20日、アルジェリア外務省は、西サハラ領土のモロッコ主権をイスラエルが承認したことに関し、声明を出した。同省の声明によると、「アルジェリアは、西サハラの領土に対する占領者モロッコの<主権>とするシオニスト占領者による<承認>をモロッコ当局が発表したことに、驚愕している。この決定は、<西サハラ問題に関する国際法および安全保障理事会と国連総会の決議の重大な違反>である。疑いの余地なくこの行為は、イスラエルとモロッコという占領者同士が政策をすり合わせ国際法違反をものともしない共謀だ。前者は、アルクドゥス(エルサレム)を首都とする独立国家設立を目指すパレスチナ人の正当な権利を踏みにじり、後者は、国連安全保障理事会とアフリカ連合の決議が保障する西サハラの人々の自決権を踏みにじっている」と、驚きと怒りを露わにした。
イスラエルは、「モロッコ占領地のダハラに領事館を開くことを約束したのだから、モロッコもアルクドゥス(エルサレム)に早くモロッコ大使館を置け」と、命じている。アルジェリアの声明は、「これは悪質な取引に他ならない。サハラウィの領土の占領を正当化したり、サハラウィの人々の不可侵で神聖な自決権に手を付けることはできない」と、明記している。が、両占領者の暴虐を止める術は示していない。
テブン・アルジェリア大統領は7月20日に北京で、在中外国人を含む中国国家コミュニティ(国家共同体)の代表者と会談しました。 その中で、テブン大統領は、「アルジェリアは今日、特に大国と友好国との地位を回復し、中国、トルコ、ロシア、カタール、そしてヨーロッパの友好国との良好な関係を維持している」と、語りました。
そしてテブン大統領は、7月21日と22日に予定されているトルコ訪問に直行しました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年7月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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