ブラヒム・ガリSADR西サハラ大統領兼ポリサリオ戦線事務総長は、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)からアフリカ大陸の指導者に送られた公式の招待状を受け取り、8月22日から24日まで開催された第15回BRICSサミットに参加しました。
2023年8月24日、BRICSサミットで{最後の{アフリカ植民地解放」を訴える
ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領
① 第15回南アフリカ・ヨハネスブルグBRICS サミット:
「国連事務総長はこれまで見向きもしなかったBRICSに、どうして今回は参加するのか?何が狙いか?」と、2023年8月21日の国連定例記者会見でショーウィン・南アフリカ記者が質問した。「招待状を貰ったからだ、、多数の重要人物が集まるBRICSの場を、宣伝の国際舞台として使用したい、、」と、国連事務総長報道官は答えた。
今回のBRICSサミットの第一目標は、BRICSメンバーの拡大にある。
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、アフリカ53か国を含む67か国の指導者を招待したが、西側諸国の指導者は招待しなかった。南アフリカのBRICS大使によると、公式の要請書を出した23か国を含む40か国以上がBRICSへの参加を希望しているそうだ。
因みに、BRICS正式加盟申請をした国は、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(以上は2024年1月1日から正式メンバー)ベラルーシ、アルジェリア。モロッコ。セネガル。ナイジェリア、トルコ。インドネシア。キューバ、ベネズエラ、タイ、ベトナム、ボリビア、コモロ、ガボン、コンゴ民主共和国、カザフスタン、バングラデシュ、(チュニジア、スーダン、シリア、ジンバブエ、ウルグアイ、、)
第2目標は、BRICSでの共通通貨新設にある。
BRICS のメンバー国と参加希望国の計45か国以上が、米ドル単一基軸通貨の横暴に悩まされてきた。アメリカが気に入らないと、即、制裁と称して銀行口座を凍結する。「なぜ、高い換金料金を取られて、ドル払いで買い物をしなければならないのか?と、政治家を志したときから大きな疑問を抱いていた」と、ルーラ・ダシルバ・ブラジル大統領は事ある毎に<ドルからの独立>を訴えてきた。多くのBRICS諸国はすでに現地通貨での二国間貿易協定の決済を開始している。BRICS 諸国は世界の国土の26.7%、地球上の総人口の約41.5%、世界経済のGDP割合は31.5%と、G7の30.7%を超えている。
2015年設立のBRICS 新開発銀行(NDB)はこれまでに、加盟5カ国や発展途上国に対し、300億ドル(4兆3750億円)のインフラ投資をした。2023年3月24日に選ばれたNDB新総裁は元ブラジル大統領でルーラ現大統領の弟子・ジルマ・ルセフ女史だ。
② プーチン・ロシア大統領のビデオ演説:
8月23日に行われた<BRICS ビジネスフォーラム>では、ラマポーザ・南アフリカ大統領、モディ・インド首相、ルーラ・ブラジル大統領とBRICSメンバー国の首脳が所信を表明し、中国は習国家主席に代わって王商務相が中国経済論を展開した。
プーチン・ロシア大統領に、ICC(国際刑事裁判所)から逮捕状を出させた欧米は、BRICS 潰しに勝算ありとほくそ笑んでいた。プーチン・ロシア大統領は、ビデオで登場した。
プーチン大統領は、「BRICS諸国はパートナー支援の原則で協力しあっており、ロシアとパートナー諸国との貿易高は2300億ドル(33兆5200億円以上)を超えた、、BRICS諸国は市場の意図的な価格変動や一連の国の無責任な行動によって引き起こされているインフレの圧力を背景に、複雑に絡み合う難題に翻弄されてきた。しかし、世界のGDPに占めるBRICS諸国の割合はほぼ26%に達し、購買力平価でもG7を上回っている」と、指摘した。
そして、プーチン大統領は、このフォーラムの焦点は依然として、パンデミック後のBRICS経済の回復、市民福祉の向上、産業の近代化、効率的な輸送・物流チェーンの構築、公正な技術移転の推進に当てられていると語り、「我々の経済関係では、脱ドルという客観的かつ不可逆的なプロセスは勢いを増しており、相互決済や通貨金融管理のための効果的なメカニズムの構築に尽力が傾けられている。その結果、BRICSの輸出入取引に占めるドルの割合は減少しており、昨年(2022年)はわずか28.7%に留まっている」と、分析した。
プーチン大統領はまた、「パートナーらがロシア側に対する義務を果たしてくれれば、ロシアは穀物合意に復帰する用意がある。ところが、現在のロシアは、穀物と肥料の供給を意図的に妨害されたうえに、国際市場に困難をもたらしたなどと理不尽にも非難されている、、ロシアの2022年のアフリカ向け穀物輸出量は制裁にもかかわらず、1150万トンで、2023年上半期ではすでにほぼ1500万トンに達している」と、指摘している。
プーチン大統領はまた、穀物の無償供給についてアフリカのパートナーらとの交渉がまとまりつつあることに注意を喚起した。そして、演説の最後に、BRICSビジネスフォーラムの参加者に対し、9月10日からウラジオストクで開幕の東方経済フォーラムへの参加を呼びかけた。
プーチン大統領は8月24日、モスクワ北西で23日に墜落した小型機に乗っていたとみられる民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏について、「確かにもし、乗っていたとすれば、の話だが、最初に出されたデータではワグネル社の社員が搭乗していたことになっている。素晴らしい才能の持ち主だったこの人物が果たした偉大な貢献を、、我々は忘れない」と、哀悼の意を表し、事件の捜査は余すことなく、最後まで行われると遺族に誓った。
③ 西サハラがBRICS に参加、モロッコは不参加:
ブラヒム・ガリSADR西サハラ大統領兼ポリサリオ戦線事務総長は、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)からアフリカ大陸の指導者に送られた公式の招待状を受け、8月22日から24日まで開催されたBRICSサミットに参加した。オリヴィエ・タンボ国際空港に降りた西サハラ大統領ブラヒム・ガリは、公共サービス行政大臣ノクソロ・キヴィエットと南アフリカ西サハラ大使ムハメド・ヤスラム・ベイサットに迎えられた。
西サハラ排除を南アフリカとブラジルとインドに強く働きかけたモロッコは、失敗した。
第15回BRICSサミットのスローガンは「BRICSとアフリカ:相互に加速する成長、持続可能な開発、包摂的な多国間主義のためのパートナーシップ」だ。参加国は、ビジネスチャンスや経済的補完性を目指し、政治的および社会経済的調整の議論を交わした。
BRICSサミットの最終声明で、BRICSグループは、「安全保障理事会の決議に従い、国連西サハラ国民投票ミッション(MINURSO)のマンデートの実施において、西サハラ問題に対する永続的かつ相互に受け入れられる政治的解決策に到達する必要性」を、訴えた。さらに第15回BRICSサミットは、4月26日に南アフリカのケープタウンで開催された会議でBRICSの中東・北アフリカ副外相・特使が発表した「西サハラ人の自決権を保証する即時の政治的解決を求めた共同声明」への支持も再確認した。
BRICSの融資金欲しさに、モロッコは早々とBRICS参加を申請した。が、西サハラがBRICSサミットに招待されたことで、またまた、モロッコはごねた。なんとかBRICSから西サハラを排除しようと、BRICSのメンバー国である南アフリカやインドやブラジルに、モロッコ式恫喝外交でねじ込んだが、失敗した。モロッコは南アフリカに、散々、悪態をついて、BRICSを欠席した。
チュニジアで開催された第8回TICAD(東京国際アフリカ発展会議)でもモロッコは西サハラ排除を画策し、結局、西サハラ出席モロッコ欠席となった。2025年には日本でTICAD9が予定されている。
モロッコが根性悪をしませんように、、
国連報道によると、国連事務総長は8月23日のBRICS晩餐会から出席し、24日のBRICSプラス対話会議で意見を述べました。 22日から参加したガリ西サハラ難民大統領も、晩餐会に続いて24日の会議で、「アフリカ最後の植民地解放」を訴えました。
BRICSは、「国際的な正当性に規定されているように、西サハラの問題に対する両当事者(モロッコとポリサリオ戦線) による永続的で受け入れられる政治的解決に到達する必要性」を強調しました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年8月26日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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